第18話 余裕と互角の違い
閲覧ありがとうございます。
戦闘回となります。
そこまでグロかったりはないはずですが、苦手な人は気をつけてください。
「はぁ、はぁ……どうだ!? 俺は強いぞ。この剣は俺のだ。俺の物だあ!!」
息を乱しながら、まるで自分に暗示をかけるように繰り返すゴンザ。
しかし俺はすました顔で『くない』をゴンザに向けて何度も何度も打ち込む。
「何だよ。あのガキ、汗一つ、かいてねえぞ」
「化け物か?」
血の狼の雑魚達がざわつきながら俺とゴンザの戦いを見ている。
「だが、ゴンザはあのガキの攻撃を受け止めてるぜ!?」
「そうだ!ゴンザが負けるはずがねえ!!」
わー!!
雑魚達は歓声をあげるが、一兄だけは違った。
「馬鹿な奴らだ。『余裕』と『互角』の違いも分からないとはな」
そう言って一兄は腕を組み、笑みを浮かべて口を開く。
「飛鳥! 遊んでないでさっさとケリをつけろよ」
ムカ。
いちいち口出しするな。
ほら、そんな事するから、睨まれるじゃないか。
しかし、一兄は気にしない。
ニコニコと笑顔で俺とゴンザを見ている。
「ふざけるなよ! クソガキがああああ!!」
ゴンザはブン!! と大きく剣を振ったため、俺との距離が少しだけ遠くなった。
「ふむ」
俺は少しだけ考え、『くない』をクルリと回して再び打ち込むために構えをとる。
ゴンザは肩を大きく揺らしながら呼吸をしている。
『限界』なのだろう。
「このクソガキめ!! 何度やっても無駄だ!! 俺からこの剣を奪うことはでき――っ!?」
ゴフッとゴンザは口から血を吐き出した。
近くにいなくてよかった。
でも攻めるなら今だ。
「悪いな、お前の声は聞こえない」
俺は表情を動かすことなく、ゴンザへ再び打ち込んだ。
ガチャン!!
俺の『くない』をゴンザの『剣』が受け止める。
けれども、ゴンザの腕はプルプルと震えている。
「諦めろ。限界だ」
俺の言葉にゴンザはギリッと奥歯を鳴らす。
悔しいのだろう。
勝てると思っていた相手に決定的な『差』を見せつけられたのだから。
「自分の実力も測れずに、ここまで耐えたのはある種の『才』だ。誇るといい」
せめてものフォローをしたのだが、ゴンザには伝わらなかったのだろう。
ゴンザの持つ『剣』に力が入り、押し返された。
俺は後ろに飛ぶ。
そして、『くない』をしまう。
それを見たゴンザは勝利と勘違いしたのだろう。
大声で笑い始めた。
「ふはははは!! 見たか! お前は俺に勝てないのだ!!」
幸せな奴だな。
「まさか。もう必要ないからしまっただけ」
俺は拳を握り、ゴンザへと向かう。
「はっ!! 馬鹿め!! 丸腰でこの俺に勝てるわけがないだろうが!!」
ゴンザはニヤリと笑い、剣を掲げる。
「馬鹿はどっちだか。この勝負、飛鳥の勝ちだ」
一兄だけがそう言って笑みを浮かべる。
逃げることをすっかり忘れて、立ち尽くしていたウッドとメッシュは、意味がわからないという表情をしていた。
そう。
普通なら先ほどまで打ち込んでもかすり傷一つも与えられなかった俺が、丸腰で勝てるなんてあり得ない。
しかし、それは俺自身が『本気』を出していた場合だ。
「――!? 消えた!?」
突然姿を消した俺にゴンザは剣をどこに向けたらいいのか、判断できなくなってしまう。
そんなゴンザの後ろに俺は姿を現した。
「ゴンザ! 後ろだ!!」
血の狼の仲間がゴンザに向かって声を出すが、もう遅い。
その声をゴンザが理解する前に、俺はゴンザの首の下の部分を手刀でバシッと叩いた。
「がはっ!」
ゴンザは白目になり、剣から手が離れた。
「やった!!」
ウッドとメッシュが声を出す。
「いや、まだだ」
一兄が喜ぶ二人を止めた。
驚く二人だが、一兄が言うように、ゴンザは倒れず、ギリギリ踏ん張った。
「最後の気力だな」
一兄が目を細める。
その理由はこういうタイプは倒すとなると、しぶとく粘るから厄介だからだ。
しかし俺の目的はゴンザを倒すことじゃない。
『剣』に『触れる』ことだ。
俺は落ちた剣を蹴り上げた。
「しまった!!」
ゴンザは声を出すが、もうどうしようもない。
剣はクルクルと回転し、俺はそれを空中でキャッチする。
ブオオオンと振動が鳴るような音が響き、『剣』が更に輝きを増した。
まるで打ち直された『剣』のようだ。
俺は試しにその剣を一度振ってみる。
すると、先ほどのゴンザとは比べ物にならないくらいの風圧が起こった。
これは……――。
馴染むどころではない。
俺の身体の一部の様にすごく軽い。
なにせ、軽く一振りでこれだ。
本気で振り回したら、街など吹っ飛ぶのではないだろうか。
それを見ていた一兄が感心したようにヒューっと口笛を吹く。
少し意外そうな顔もしてるけど。
まあ、俺は『剣』タイプではないからな。
扱えないわけじゃないけど。
慣れるまではそれなりの『経験』は必要になってくるだろう。
そうしていると、ゴンザがプルプルと震えだした。
「このクソガキがあぁぁぁぁぁ!! 返せ!! 俺の剣を返せえええええぇ!!」
そう言って俺を襲おうとする。
しかし、ゴンザが一歩足を動かした瞬間、ガクッと自ら倒れ込み、膝を地面につける。
「なっ!? 何故だ――」
「身体の限界だよ」
俺は剣を肩に担ぎながら答えた。
「言ったろ? お前は剣に『使われている』ってな」
そう言って俺は軽くゴンザの肩を蹴った。
そうすれば、ゴンザはあっけなく仰向けに倒れ、ゴフッと血を吐いた。
読んで頂いてありがとうございます。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
この回は主人公TUEEE回ですな。
もし、よければまた次回お会いしましょう!




