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レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第三章 ファーストタウン編 vsゴンザ編

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第17話 ゴンザの剣

 閲覧ありがとうございます。

 さて、ちょっと空気が変わってきましたよ。


「どけ!! 俺がやる!!」

  

 オロオロする血の狼(ブラッディウルフ)達を押しのけて、いかにも悪人面といった人物が現れた。

 しかし、正直に言って強そうには見えない。

 それなのに何故空気がピリつくんだろう?

 俺と一兄は念のため警戒を怠らないように神経を集中させる。

 すると、後ろで尻もちをついた音が聞こえた。


「ゴンザだ――」


 ウッドが顔を真っ青にし、声を震わせながら言った。


「気をつけてください! ゴンザはここにいる者達の中で一番強いんです! その『剣』で何人もの人が無惨に殺されたと聞いています!」


 ご丁寧に忠告してくれるが、俺と一兄からみれば、このゴンザという男、風格は確かにあるが大したことはない。

 警戒すべきは別の『何か』だ。

 すると、ゴンザが持っている『剣』が視界に入ってきた。


「あの剣――」


 俺と一兄はジッと『剣』を見つめる。

 それはファンタジーに出てくる勇者が持つようなものではないが、どこか惹かれるものがあった。

 それと同時に、ゴンザという男が強いのではなく、そいつが持つ『剣』が凄いのだと感じる。

 何故ならば、普通の剣がこれほどまでに美しく輝き、異彩を放つわけがない。


「いい剣だ」


 思わず声に出して呟いてしまう。

 それを聞いたゴンザはニヤリと笑う。


「ほう。青臭いガキのくせにいい目利きじゃねえか。コイツはとある場所から頂戴した『特別な剣』だ。これだけはトニーや(かしら)にだって、やらねえ。まあ、奪われそうになっても、この剣は俺と相性がいいのか、離れようとしねえがなあ」


 そう言ってゴンザは剣を眺めながら高揚する。

 気持ち悪っ!

 しかしどんなに甘く評価しても、ゴンザに特別な力があるとは思えない。

 となると、あの剣がゴンザから離れない理由(ワケ)があるということか。

 俺が剣をじっと見つめていると、一兄に肩を叩かれた。


「飛鳥、深追いはやめろ。(アレ)はまずい。普通の『剣』じゃないぞ」


 一兄にもわかったんだ。

 あの剣が普通じゃないことを。

 しかし、次の一兄の言葉で俺は衝撃を受ける。


「あんなに『禍々しい剣』、見たことがない」

「禍々しい? 何を言ってるんだ? あんなに『美しい』のに?」

「は?」


 俺と一兄の会話が噛み合わない。

 どういうことだ?


「ガタガタうっせーぞ! この剣は俺のだって言ってるだろうがあ!!」


 ゴンザが剣を振り下ろせば、砂埃がブワッとゴンザを中心として波を打つ様に広がる。

 一兄は前腕(ぜんわん)で顔を遮るが、俺はその場で立ったままだった。

 風は確かに向かってきたが、宙に舞う砂埃は何故か俺を避けたからだ。

 それを見た一兄が驚いて目を見開く。


「どうなってるんだ?」


 俺も不思議に思ったが、ゴンザが持つ剣をもう一度見つめたとき、ドクンと剣からの鼓動を感じた。

 それは『共鳴』と言えばいいのだろうか。

 高鳴る鼓動。

 熱くなる血管。

 そうか、『あの剣』は――。


「一兄、悪い。あの剣、俺が貰い受ける」

「え?」


 一兄が驚くのとほぼ同時に俺は駆け出していた。

 あの剣を俺は『知っている』。

 あの剣は譲れない。

 あの剣は俺の(・・)剣だ。


「って、おい飛鳥!?」


 驚く一兄だが、小さなため息をついて「仕方がないな」と残りの雑魚(ザコ)を相手にすることを決める。

 俺は建物の壁を蹴りゴンザを翻弄する。

 一度でも、一瞬でも剣に触れれば、きっと剣は俺に応えるだろう。


「クソっ! ちょこまかちょこまかと!!」


 苛立つゴンザに俺は隠し武器の『くない』を二本取り出した。

 オリジナルの武器の『くない』なら複数手に持ち投げるのが一般的。

 しかし、俺専用のこの『くない』は投げるためのものじゃない。

 父さんの『くない』が防御と破壊に特化しているとするならば、俺の『くない』は接近戦タイプ。

 普通の『くない』より細長く、短剣に近い。

 そしてこれは二刀流として使う。

 ガチャンとゴンザがくないを剣で受け止めた。


「嘘だろ!? アイツ、飛鳥のスピードを捉えた!?」


 一兄が声を上げるが俺からしたらそれは『想定内』だ。


「ぐぬぬぬぬぬっ」


 ゴンザの腕に血管が浮かんでくるが、『剣』は俺を弾こうとはしない。

 やはり、この剣。

 喋りはしないが、意思はある。

 俺はゴンザを押し返した。


「なっ!?」


 よろめくゴンザの腹部を『くない』の持ち手で一発食らわせる。

 ゴンザは一瞬(うめ)くがすぐに剣を振ってきた。

 俺はバク転でかわし、『くない』をクルリと回して構え直した。


「今お前の動きを見てはっきりとわかった。お前は剣に認められているんじゃない。使われている(・・・・・・)。お前はただの駒にすぎない」


 俺の言葉にゴンザは腹部を押さえながらも、いくつもの青筋を立てた。


「何を勝手なことを!! そんなわけあるわけがない! 俺はトニーからも、(かしら)からも、この剣を奪われることはなかった!!」


 叫ぶゴンザに、まだ残っている雑魚達が「そうだ!そうだ!」と声をあげ始める。

 

「ゴンザは今やトニーさんと(かしら)も手が出せないんだぞ!!」

「ゴンザ、そんなガキさっさと殺っちま――!?」


 一兄が一番近い雑魚に拳を食らわせた。


「わーわー、うるせえんだよ。群れないと強がれない雑魚どものくせに偉そうに」


 一兄はそう言って舌打ちをすると、雑魚達は震え上がった。

 舌打ちぐらいで情けない奴らだな。

 俺は彼らを一瞥してから、ゴンザへと視線を戻す。

 ゴンザは身震いをした。

 俺は、ゴンザに来いよとクイッと手を動かし、挑発をかける。

 

「信じられないなら、試してみるといい。相手をしてやる」


 すると、ゴンザは顔を真っ赤にして俺へと向かってきた。

 単純。

 俺は再び地面を蹴って飛び上がり、ゴンザに『くない』を振り下ろした。

 ガチャンと再びゴンザは俺のくないを受け止める。

 しかし、見切っているわけじゃない。

 俺は表情を変えることなく、繰り返し『くない』を打ち込む。

 しかし、何度やってもガチャン、ガチャンとゴンザは俺の『くない』を剣で受け止めた。

 読んで頂きありがとうございます。

 初めて名前ありの敵が出てきました。

 さあ、この後どうなるのでしょうか。

 よければ次回またお会いしましょう。


 もし、続きが待てない!という素敵な方は、カクヨムにて先に公開中です。(10話以上先行投稿中!)

 作者の活動報告にアクセスリンクがありますので、よければご覧ください。

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