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レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第一章 出発編

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第1話 似てない双子の物語

 閲覧ありがとうございます。

 ようこそお越しくださいしまた。

 こちら、本編となります。

 どうぞよろしくお願いします。

 

 深い森の中、俺、久原(くばら)飛鳥(あすか)と似ていない俺の双子の兄、久原(くばら)一馬(かずま)は歩いていた。

 俺達は姿は似ていない。

 俺は茶髪で元モデルの母さん似。

 兄の一馬、通称一兄(かずにい)は俺よりもつり目、膝まで長い黒髪が特徴。

 そして、どちらかというと父さん似だ。

 俺達の先祖が特殊だったのか、理由は知らないが、俺の瞳は青色がかっていて、一兄の瞳は紫がかっている。

 双子って言うと瓜二つが一般的なポイントなのに、俺達はそんなポイントをどこかに置いてきたようだ。

 けれど俺達は血の繋がった正真正銘の双子だ。

 それは間違いない。


「あー、ダメだ。完全に迷子だ。俺達もう高校二年生なのに迷子とか笑えねえ」


 一兄がガックリと肩を落とす。

 俺はその横で表情を変えることなく「ふーん」とだけ答えるが、この年齢で迷子とは、確かに笑えないと内心思う。


「一兄、地図は?」

「地図ぅ? そんなもんねえよ! あるわけないだろ! 『扉を通り抜けたら、そこは森の中でした』だったんだぞ!」 


 うん、それは知ってる。

 一緒にいたし。


「自信満々に歩くから何か情報とか持ってるのかと思ってた。普通に考えて、知らない森を闇雲に歩いたら、高校二年生とか関係なしに、普通に迷子になるのは当たり前だろ」

 

 俺が無表情で首を傾げれば、一兄は「うう」と唸る。

 一兄は、何が気に食わないんだ。

 

「俺、今ほどお前の表情筋が動かないことを恨んだことはないよ」


 あ、なるほど。 

 思い当たる節があり、俺は反射的に「ごめん」と謝った。


「そうじゃない。そうじゃないんだ。お前は表情を『動かさないため』に、必死に感情を押し殺している……だろ? だから責めたいわけじゃないんだ」


 しゅん、と項垂れる一兄を見て、俺は心底申し訳なく思った。

 でも、俺は表情を極力、動かしてはいけない。

 俺が表情を動かせば、『呪い』が発動するからだ。

 

 俺達双子は『久原家(くばらけ)』の家の出だ。

 『忍者』の末裔というわけではないのだが、長い間、独特の武器と技術で裏の仕事を生業として栄えてきた一族だ。

 一般的な『忍者』と大きく違うのはその身体能力。

 大抵の武道と呼ばれるものは卒なくこなせるし、『本気』というものを出せば、歴史的記録を残せるだろう。

 地上からジャンプして家の屋根に飛び乗ったり、ビルとビルの間を飛んだりとか普通にできるし。

 勿論生まれつきそういう能力があるわけではなく、幼い頃からしっかり『教育』されてのことだけど。

 しかし、そういう『力』は表ではあまり見せられないが、裏なら様々なことで需要がある。

 犯罪に手を貸したりはしないが、あまり褒められたこともしていない。

 そしてここからが本題になるのだが、今、俺達は明らかに地球ではない『場所』にいる。

 ここは『ニュー・アース』という地球ではない全く別の世界。

 つまり異世界だ。

 俺達は『ある扉』を通ってここに来た。

 

「ああ、『呪い』をかけられる前、幼い頃に『お兄ちゃん』と言って俺の後ろを追いかけてきた日々が懐かしい」


 一兄が「ほう」と頬を赤く染めた。


「いつの話だよ、それ」


 本人が覚えていない記憶を勝手に捏造しないでもらいたい。

 一兄は兄弟が関わると、たまに……いや、確実に『キモい』ときがある。

 今はまさにそれだ。


「一兄、キモい」


 俺がゴミを見るような視線で一兄を見ると、一兄は不服そうな顔をする。


「お前、そういう表情だけはするよな?」

「この『表情』は『呪い』の影響を受けないって知ってるからな」


 そういう顔ならいくらでもしてやる。


「ふふふ、お兄ちゃんは知ってるぞ。鏡に向かってどれなら大丈夫かなって、当時一生懸命練習してたもんなあ。懐かしいなあ」


 自慢げに言う一兄に、俺は「は?」と言って硬直する。

 確かに小学生の頃にこっそりと練習をしていた。


「何で知ってるんだよ」

「え、見てたから?」


 ゾワッ!


 背筋に悪寒が走る俺とは対照的に、キョトンと首を傾げる一兄があまりにも気持ち悪くて俺は反射的に殴ってしまう。

 勿論一兄はノーダメージなのだが。

 

「ああ、飛鳥がお兄ちゃんに冷たい。(やなぎ)の笑顔が恋しい」


 シクシクシクと泣くフリをする一兄を、俺は軽く蹴る。


「まだ離れて数時間もたってないぞ?」

「何だよー。お前も柳も俺にとっては可愛い弟なんだぞ! 少しくらい恋しがったっていいじゃないか。というか、お前は恋しくないのかよ」

 

 だから、その言い方がキモいって。

 俺だって、恋しくはないけど心配はしている。

 けれど、これとそれはまた別問題だ。

 

 俺達には少し年の離れた弟の(やなぎ)がいる。

 一兄と同じく父さん似なのだが、まだ小学六年生ということもあり、純粋無垢な笑顔がキラッキラで、幼い所がある為、可愛いと思える弟だ。

 だが――。


「一兄の『兄弟愛』はキモい」


 そろそろ俺も一兄に対して遠慮がなくなってくる。

 

「キモいキモい言うなよ。これはただの兄弟愛じゃない! 麗しき兄弟愛なんだ!」


 拳を握ってドヤ顔でいうセリフではない。


「だから、そういう所がキモいんだよ! バカ兄貴、離れろ!!」


 しがみついてきた一兄を俺は引き離す。

 一兄は大きなため息をついた。


「うう、飛鳥にお兄ちゃんの愛は伝わらないのか。柳なら、飛んで跳ねて喜ぶのに!」

「あーあーあー、可愛げのない弟で悪うございましたなあ」


 もう、どうでもいい。

 相手をするのが疲れた。


「そんなことはない! お前はお前で可愛いぞ。大丈夫だ」

「全然大丈夫じゃない!!」


 俺は先が思いやられて頭痛がする。

 本当なら柳は『残された家族の内の一人』だから連れてきたかった。

 けれど、我が家の守護者的な存在であり、こつ然と消えてしまった両親の代わりに、俺達を育ててきた親代わりの『スコロール』が却下したのだ。

 お読み頂いてありがとうございます。

 はい。

 本編第1話でした。

 楽しめましたでしょうか?

 もし気に入ってもらえてたら、今後の更新でまたお会いしましょう。

 もしくは、先にカクヨムでお待ちしております。

 (アクセス先はあらすじのところにあります)

 では!

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