第15話 巻き込まれた双子
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さあ、街での騒動が始まります。
今、俺と一兄は人生の中で一度体験するかしないかという、ある意味とても貴重であり、とんでもない場面に遭遇していた。
それは地べたに額を擦り付けている、このデカ男のことだ。
このデカ男、こちらが何を言っても「クリスと彼女達を助けてください」としか言わず、話が全く通じない。
しかも逃げようとすれば俺達の足に泣いてしがみついてくるという厄介さ。
流石に見ず知らずの一般人に手を挙げることは出来ないし、俺と一兄は完全に参っていた。
もし周りに人がいたら確実に注目の的だろう。
しかしその人の気配が今は全くないのだが……。
「お願いします! どうか! どうか!」
あー、うるさいな。
いい加減にしてくれと、そろそろ言いたくなってきた頃だった。
「おい、メッシュ! お前、まだこんな所にいたのか! さっさと逃げろ! 奴等、もうすぐそこまで来てるぞ!」
助かった。
名前を呼んでるってことは、彼の知り合いなのだろう。
ここに居るデカ男とは違ってヒョロっとしてひ弱そうだけど、そんなことはどうでもいい。
このデカ男を早く引き取ってくれ。
今なら手数料とかいらないから。
「ほら、メッシュ! 行くぞ!」
「嫌だあ! 俺はこの人達に、クリスと彼女達を助けてもらうんだあ!」
うわ、何だよ。
すごい力。
俺と一兄はその場に立っているのがやっとというくらいに力が強い。
普通の人間ならそのまま足の骨を折られてしまうんじゃないだろうか?
自称、メッシュという名の男友達よ。
早くこのデカ男、メッシュをなんとかしてくれ。
相手は見るからに年上だし、流石にそんなこと言えないけど!
「はあ、はあ、確かにこの少年達はお前がしがみついてもビクともしないし、すごい子達だとは俺も思うよ? でも場所を考えろ! 場所を!」
そう言ってメッシュの友人は息を切らしながらも再び強くメッシュを引っ張った。
しかしメッシュは微動だにしない。
寧ろ余計にしがみついてくる。
やめろ。
アルマという中年兵士みたいに、嫌悪感はないけれど、俺達双子にはそんな趣味はない。
「はあ、はあ。ダメだ」
諦めないでほしい。
「すみません。俺の力じゃメッシュを引き剥がせません。全く、無駄に馬鹿力なんだから」
ずり落ちたメガネを戻しながら答える彼に、一兄はニッコリと冷たく微笑んだ。
「いいえ、貴方は頑張ってくれたと思います。ですが、俺達の足にしがみついているこの人には、そろそろ離れてもらわないと困るんですけどね」
そう言って一兄はメッシュの友達を名乗る人物が来た方向へ視線を向けた。
これにはその友人もメッシュも、様子が変だと思ったのか、一兄と同じ方向を見れば、遠くから「わーわー!」と人の声がこちらへ段々と近づいてくる気配がした。
メッシュの友人はそれで察したのか、再びメッシュを引っ張り始める。
「もう、メッシュ! 早くこの子達から離れるんだ! このままじゃこの子達を巻き込んでしまう!!」
「嫌だ!! この子達が助けてくれると返事をするまで、俺は絶対に離れない!!」
いや、そこは離れてくれ。
すると、メガネの男が遂にキレた。
「メッシュ! これ以上わがままを言って無関係な人を巻き込むな! 元はといえば、お前が仏心を出したのがいけないんだろ!! この図体ばっかの、へっぽこ野郎!!」
「ウッド。いくら幼馴染みの仲だからって、そこまで酷いことを言わなくてもいいじゃないか……」
しょんぼりするメッシュの手がやっと緩んだ。
眼鏡の男はウッドというのか。
改めて見ると執事みたいな人だな。
後ろで一本の三つ編みをピシッとしているから、尚更そう思う。
俺と一兄はそんな二人を観察しながらそっとメッシュの手から抜け出した。
うわ、ズボンにシワができてる。
「大体。クリス、クリスって、いつまでお前はキャサリンを引きずってるんだよ!」
俺と一兄はまさかの恋愛事情に巻き込まれたというのか?
一気に馬鹿らしく思う反面、少しだけ気にもなってしまう。
俺と一兄は少しだけ様子を見ることにした。
近づいてくる集団も気になるし。
「元カノの弟ばかり気にかけるなんて、傍から見たら、元カノに未練タラタラにしか見えないだろ! そもそもあんな性悪女の弟なんて気にかけなくてもいいじゃないか! お前はもう前に進むべきなんだ!」
一気にまくし立てたウッドは、肩で息をしている。
「失礼な! 俺はキャサリンのことはもうちゃんと区切りはつけた! でも、クリスは別だ! あの子はキャサリンとは違う。あの子は俺にとって、本当の弟みたいな存在なんだ! キャサリンはどうなったとしても、クリスだけは見捨てられない!!」
デカ男メッシュも負けていない。
「だから、そんなことをしてるから無関係な少女達を巻き込むんだろうが! そして今回は少年達か!? お前いい加減にしろよ!!」
幼馴染みのウッドの言葉だからなのか、メッシュはグッと怯んだ。
ここまでだな。
俺と一兄は軽く息を吐き、二人の間に割り込んだ。
「お取り込み中申し訳ないですが、そろそろやめましょうか。邪魔ですので少し下がっててください」
一兄の言葉にウッドはカッと怒りを表す。
「邪魔って何がっ――!?」
ウッドの言葉は途中で途切れ、目を見開いたまま停止する。
キレてて追いかけてきた奴らの存在を忘れてたのだろう。
今俺達四人の前には、自分達がガラが悪いと自ら告知している宣伝部隊のような連中が、俺達を囲むように立っていた。
読んで頂き、ありがとうございます。
いつの間にか、囲まれてる展開。
お約束です。
さあ、二人はどうやって切り抜けるのか。
よければ次もお会いしましょう!




