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レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第一章 旅の始まり編

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第12話 双子の作戦会議

 閲覧ありがとうございます。

 ギャグ回です。



 俺達はスコロールの名前を呼んで、思い出した。

 この世界に来る前に渡された、この勾玉の『機能』のことを。


『聞いて驚け、見て俺を讃えろ! その勾玉には生きてる生物以外のものなら、何でも入れることができる! ……(てか、生命活動してなけりゃ人間でも入れられるんだけどな)。武器でも本でも、服でも何でもござれ!! しかも、食べ物の鮮度キープ保管付き! 熱々な鍋を入れても取り出せばあっちっちでレンジいらず! 冷たいものと一緒に入れても問題なし! さあ、お前らも入れて入れて入れまくれ! な、高性能機能がついているのだあああああ!!』


 そして一兄が「出し入れするときはどうするんだ?」と聞いたときの回答を――。


『ん? 普通に『入れ!』とか『出てこい!』みたいに『思うだけ』でいいぞ? 別に声に出してもいいけど、それは格好悪いんじゃないか?』


 そう、俺達はしてしまった。

 自分達で突っ込んでいたのに。

 (思うだけでいいのかよ!!)

 内心思っていたのに。

 (もっとかっこいい言い回しとかないのかよ!!)


 ……実に恥ずかしい。

 俺と一兄は服を持ったままその場に立ち尽くしてしまう。


「そう言えば、『地球』では無理って言ってたよな」


 一兄が服を死んだような目で見つめながら言った。

 俺も今の今まで忘れてたから一兄へのフォローのしようがない。

 何か言えば、傷口をえぐってしまいそうだ。

 するとまたポン! と音が聞こえて、今度は一枚の紙切れがヒラヒラと目の前に落ちてきた。

 手に取れば何か書いてある。

 一兄がそれを覗き込んで読み始めた。


「えーっと、『俺が言い忘れてたら勾玉からこのメモが飛び出すようにしておいた。読んでるってことは、言ってないってことだな。ハハハ! 天才でも忘れることがあるってことだ! ま、気にすんな。おっと、忘れていたことだが、その世界の服や必要な道具とか便利グッズが一通り『俺』チョイスで入れてあるからな! どんなものが入っているか、じっくり考えて取り出してみてくれ! そうそう、当たり前だが収納するときはちゃんと対象物に触れておけよ! 触れずに収納とかやったらだめだぞ! 泥棒はどの世界でも犯罪だからな! 後、分解機能は付いていないから、獣を狩ったらちゃんと血抜きはしとけよ! 以上! 双子を愛する素晴らしい育て親、スコロールより』……」


 俺と一兄に風が吹く。

 数秒してから俺はグシャッと紙を握り潰した。

 その紙を更に俺の手から抜き取り、一兄が手に取りビリビリに破り捨てる。


「ざけんなよ! 糞スコロール(野郎)!! 何が素晴らしいだ! 何が血抜きしとけよ! だ。色々と後出ししてるんじゃねえ! そう言うのは最初に言っとけってんだ! めちゃくちゃ大事なことじゃねえか!!」


 一兄が怒りから口から炎でも出しそうな勢いだ。

 俺はそんな一兄を見て、ため息を吐くことくらいしかできない。


「無駄だよ一兄。スコロールは『報・連・相』って言葉を知らないんだ。最早あれは大人じゃない。大人の皮を被った子どもなんだ」

「いーや! 子どもだって言うべきことならちゃんと言うね! くっそ! 柳をあんなダメ大人のところに置いてくるんじゃなかった! あの野郎、今頃柳をこき使ってたりしねぇだろうな! してたらただじゃおかねえぞ!!」

「同感。帰ったら一発殴ろう。何もしてなくても殴ろう」

左緒(さお)右緒(うお)だって同罪だ!! あんなダメな大人を放置しやがって!! そもそもあいつらがスコロールを甘やかすからいけないんだ!」

「それな」


 俺と一兄はスコロール達への不満を一通り叫んだ後、結局、出てきた服に着替えることにした。

 不満はあれど、使えるものはしっかり使わないといけない。

 生きるための鉄則だ。


「うわぁ、気持ち悪いくらいサイズがピッタリなんだが?」


 一兄の顔が引きつる。


「一兄、そのツッコミはスコロールには無駄。スコロール(あのおっさん)の情報力だけは無駄にレベル高いから」


 途中で名前を呼ぶ価値もない気がしてきたので敢えて呼ばずに言う。


「いや、そこまで無駄無駄言わなくても」


 一兄が少し言い過ぎでは? という顔をするけど、俺はそうは思わない。


「実際無駄だろ? よく言う無駄の無駄遣いというやつだ」


 俺の言葉に一兄が「ひでえ」と声を漏らすが、俺と目が合えば、一兄は笑って誤魔化した。

 別に俺は気にしないのに。


「とにかく、この格好なら普通に通してもらえるはずだ。これで乗り込むぞ」


 一兄は自信満々に胸を張る。


「それはいいけど、『何の設定』でいくつもり?」


 やましいことがあるわけじゃないが、こういうのは大事だ。

 特に何が常識か分からないなら尚更だ。 


「んー、小さな村。そうだな、名前も知らない、地図にも載らないくらいの田舎の村から出てきたとかでいいんじゃないかな?」


 ふむ、それなら適当に誤魔化せそうだな。


「身分証明とか言われたら、夢を見て家を飛び出してきたとか適当に言えばいいだろ。そうだな、表情のこともあるし、飛鳥は喋れないってことにしとこうか。俺だけが一方的に喋れば口を挟まれないだろ」

「ああ。それで問題ない」 


 寧ろ喋らないで済むならそれほど楽なことはない。

 無口、楽!!


「いや、今はちゃんと喋ってくれ」


 一兄に突っ込まれた。


「それでもまずは言葉が通じるかだ。それをクリアしないと本当に何もできなくなるからな」

「うん。最悪の場合は逃げるしかないな」

「それは万が一の最終手段だ。基本は俺が対応するから、何か不都合があれば合図する」

「わかった」


 こうして俺達は、改めて街を目指し歩き出した。

 読んで頂いてありがとうございます!

 ギャグとお約束てんこ盛りのつもりで描きました。

 楽しんでもらえたら嬉しいです。

 さて、いよいよ街へ向かいます。

 では、次回もよければ、そんな街でお会いしましょう!

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