表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第一章 旅の始まり編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/23

第10話 双子の会話

 閲覧ありがとうございます。

 今回は気軽に読んでもらえます!


「あー!! 胸糞悪い!!」


 一兄が頭を押さえながら、叫んだ。


「何なんだよ! 『さあ、これから旅の始まりだ!』ってときに水を差すようなことをしやがって、あの曽祖父(クソジジイ)!! ほんっと、嫌がらせの能力だけは無駄に高い奴め!!」


 一兄の怒りが爆発し、曽祖父(クソジジイ)(偽物だったけど)への、不満は中々収まりそうにない。

 ある程度不満を言ったところで、一兄は動きを止めて、ハタと何かに気がついたように悟った素振りを見せた。


「まさか、曽祖父(クソジジイ)は嫌がらせの能力がカンストしているんじゃないか? ありえる! アイツならありえる!!」


 キーッ!! と再び怒りだす一兄。

 最後の比喩は、ちょっと意味わからないけど。

 しばらくは続きそうだ。

 一方の俺はというと、『呪い』を受けた右手を見つめていた。

 スコロールから常にはめておけと、言われたグローブの手の甲で、勾玉が赤く宝石の様に輝いている。

 今はもう『黒いモヤモヤ』は出ていない。

 スコロールはこのグローブをつけていれば『呪い(蜘蛛)』の動きがマシになると言っていたが、信じていいのだろうか。

 もしかしたら、スコロールが嘘ついて――。


「飛鳥、バカな真似はよせ」


 ガシッと一兄にいきなり手を掴まれて、俺は驚いて動きを止めた。


「一兄? 俺――」


 あれ? 何でグローブを外そうとしていたんだ?


「疑心暗鬼になるのはわかるが、それはやめておけ。スコロールは胡散臭いおっさんだが、俺達を罠に嵌めたり、嫌がらせをするような奴じゃない。わかってるだろ?」


 一兄に言われて俺は「ああ……」と頷き、グローブをはめ直した。

 そんな俺の動きを見ながら、一兄は顎に手を添えながら考え始めた。


「あの曽祖父(クソジジイ)の狙いはコレだったのかもしれないな。不安にさせて、グローブを外させるつもりだったのかもしれない」

 

 一兄はそう言って舌打ちをする。


「やっぱり気に食わないジジイだ。こんなことなら、アレは偽物だったわけだし、もう少し痛めつけてからトドメを刺してもよかったな」


 一兄はそう言いながらパンッ! と(てのひら)に拳を叩きつけた。

 そんな一兄を見て、俺も同じように思ってもいいのかもしれない。

 スコロールを疑うようなことを考えるくらいなら、もう一発ぐらい、あの憎たらしい曽祖父(クソジジイ)の顔を殴っておけばよかった。


「ああ、でも俺、あのときは『嬉しさ』が勝ってしまったんだよな。もう、危なく顔がニヤけるところだった」


 ん?

 嬉しさ?

 何故、ニヤける必要が?


「だって、飛鳥言ってたじゃないか。『俺の、『大事な兄貴』』って」


 あ。

 そう言えば夢中になってて、『うっかり』、言ってしまったかもしれない。


「いやあ、まさか飛鳥にあんなに想われていたとは。お兄ちゃんは、嬉しいぞ!」


 そう言って一兄は両手を広げ、ハグを求めてくる。


「やめろ! キモい!」


 俺は全力で拒否をするが一兄は諦めない。

 クソ!

 目を輝かせて嬉しそうにするな!

 喜ぶな!!


「ほらほら、照れるな、照れるな。俺達双子なんだし、いいじゃないか!」


 何をしても諦めない一兄に俺は怒鳴った。


「照れてない! バカ兄貴め!!」


 そうやって言い合っていると、ふと、一兄の左手首付近が血で汚れているのを見つけた。


「一兄、それ……」

「ああ、コレか? 黒いモヤモヤが出てきたときに思いっきり掴んだからな。そのせいだな」


 痛くないのか? と聞こうとしたが、愚問だ。

 このくらいなら少ししたらすぐ治ってしまうのだ。

 どういう理屈でそうなっているのかは知らないけど。


「ほんと、俺達の身体は人間離れしているな」


 俺がそう呟くと、一兄が「違うぞ」と訂正してきた。


「『俺達』の身体が人間離れしてるんじゃない。『俺達一族全員』が人間離れした身体なんだよ。勿論、柳や彩だってその対象だ」


 ビシッと言われ、俺はパチパチとまばたきをした。

 一瞬言われた意味がわからなかったのだ。

 そんな俺を見て一兄は頭を抱える。


「これだから、我が弟は視野が狭いんだから、困る」


 視野が狭くて、悪かったな。

 てか、上から目線がムカつく。


「責めてるわけじゃねえよ。心配しなくても『俺達』は、『一族』と大差ない。お前は他者からの言葉に影響されすぎなんだよ。ま、そればかりは仕方がないことなんだけどさ」


 一兄は少し寂しそうな表情をしながらそう言って、俺の額に軽いデコピンを食らわせる。

 その一打が地味に痛い。


「……っ! もう少し手加減しろ! バカ兄貴!」


 そう言い返せば、一兄はニッと笑う。


「そうそう。そうやってもっと顔に出していけ。何にも怖くなんてないんだからさ。いきなり泣けや笑えやとは言わねえけど、ここは『地球』じゃないんだ。それに前にも言ったろ? 俺も『蜘蛛(呪い)』を受けてるんだ。俺にお前の『蜘蛛(呪い)』は効かねえってな」 

「そんな話、俺は聞いた覚えがないけど?」

「うん、今俺が思いついた」


 おい。


「でも実際、俺とお前の間で『何か』あったことがあったか?」

「いや、……でもそれは俺も『努力』してるからだし」


 俺がそう言うと、一兄は「いやいやいやいや」と、否定するように手を左右に振る。


「それ、努力の方向が違うから。な?」


 な? と言われてもどう返せばいいのかわからない。

 困っていると、一兄は少しだけ口角を上げて、鼻を鳴らす。


「さぁ気を取り直して、とっとと街へ向かうぞ。よく見たらもう少し先にそれっぽいのがあるじゃないか」


 こうして、俺と一兄は街へと足を向け歩き出した。

 閲覧ありがとうございます。

 実に平凡。

 平凡だけど、それがいい。

 そんな回です。

 そして、後書きも多くは語らない。

 では、もし、よければまた次回お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ