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レッドムーン ―ニュー・アース編―  作者: 瀬田 彰
第一部 第一章 旅の始まり編

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第9話 双子とクソジジイ 後編

 閲覧ありがとうございます。

 今回は後編となります。

 心理描写的に苦手な方はご注意ください。


 『曽祖父(クソジジイ)』の笑い声が響き渡る中、俺と一兄の視線が合った。

 一兄の瞳がジッと俺を見つめる。

 

 違う。

 違う。

 俺は『一兄の死』など望みはしない。


「……っ!!」


 けれど俺の首は横に動くことを拒む。

 違うのに。

 否定したいのに。

 それをしたらただの『言い訳』に見えてしまいそうなのが、とてつもなく、『怖い』。


「飛鳥……」


 一兄の低い声が俺の名前を呼ぶ。

 怖い。

 『曽祖父(クソジジイ)』の笑い声が耳鳴りのように頭に響く。

 もしかしたら、心の奥底に俺の一兄に対する憎悪が、本当にあるのかもしれないと、思えてくる。

 違う。

 違う。

 でも、違わないかもしれない。

 俺は一兄を恨んでいるのかも、しれない。

 俺とは違い、表情を作れる一兄が、自由に語れる一兄が。


『恨めしい』


 ああ、ダメだ。

 『堕ちて』しまう。

 そう思ったときだった。


「うおらああああああああ!! 俺の『大事な弟』に勝手なことを吹き込んでるんじゃねえええ!!」


 一兄の怒声が聞こえ、俺は我に返った。

 見れば、一兄が『曽祖父(クソジジイ)』に重い一撃を食らわせたところだった。


「一兄!?」


 いつの間に!?

 驚く俺。

 慌てて、一兄の元へ走る。

 そして、一兄の横顔を見た瞬間その足を止めた。

 一兄の目は鋭く、そして冷たく、心が凍りつきそうなほど冷酷に、『曽祖父(クソジジイ)』を見ていた。

 こんな一兄は久しく見たことがない。

 俺は思わず固唾を飲み込む。


『何、をする。お前の殴るべきは、お前を苦しめた、『弟』へ向けられるべきものだろう?』


 『曽祖父(クソジジイ)』がヨロヨロと身体を起こす。

 殴られた一部が黒く変色し、欠けている。

 やはりこの『曽祖父(クソジジイ)』は『偽物』だ。


「フン戯言(ざれごと)を。遂にボケたか『曽祖父(クソジジイ)』」


 一兄が殺気を『曽祖父(クソジジイ)』に放てば、『曽祖父(クソジジイ)』が少しだけたじろいた。

 一兄が本気で怒っている。

 そう思った次の瞬間、一兄が動いた。

 スッと消えたかと思えば、『曽祖父(クソジジイ)』の背後を取り、後頭部を手で掴んで地べたへと叩きつける。


『ぐはっ!?』


 声を上げる『曽祖父(クソジジイ)』だが一兄は手を抜かない。

 長い黒髪をなびかせながら一切の隙をみせずに、『曽祖父(クソジジイ)』を踏みつけた。


『おのれ、小童(こわっぱ)! 曽祖父であるこのワシを、足蹴にするのか!! 今すぐにどけろ!』


 『曽祖父(クソジジイ)』はバタバタと手足を動かすが、一兄は力を緩めるどころか、更に力を入れる。

 メキメキと音を立て、『曽祖父(クソジジイ)』は地面にめり込んでいく。

 そんな『曽祖父(クソジジイ)』を一兄は鼻で笑う。


「曽祖父だと? 笑わせるな。俺達二人にとって、貴様は『曽祖父』なんて素晴らしい響きで呼ぶ『対象物(存在)』じゃねえんだよ。胸糞悪い」


 一兄の足に更に力が加われば、『曽祖父(クソジジイ)』が『ぐっ!!』と、うめき声を上げる。


「どうせお前は『偽物』この程度、痛くも痒くもないんだろう?」


 一兄は笑みを浮かべた。


「『本体(クソジジイ)』に伝えろ。俺はもう昔みたいに、『大事な弟』を守れない『無力な兄貴』じゃねえんだよ」


 一兄がそう言い放つと、『曽祖父(クソジジイ)』は動くのをやめて真顔になる。

 それを見た一兄が鼻で笑い、前かがみになって『曽祖父(クソジジイ)』に問う。


「あんな耳が腐りそうなくだらない内容で、俺と飛鳥が殺し合いになるとでも思ったか? だとしたら、とんだ大馬鹿野郎だな」


 ニヤリと笑う一兄に『曽祖父(クソジジイ)』は舌打ちをする。


『まだケツの青いガキが偉そうに。年上は見習い敬えと、『あの男』から教えられなかったか?』


 あの男?

 誰だ?

 一兄も同じところで引っかかったのか、少しだけ言葉が止まる。

 しかし、すぐに心当たりが浮かんだのだろう。

 「はっ!」と笑う。


「まさか『あの男』、とは『スコロール』のことか? だとしたら、余計にお笑い草だな。貴様の様な『糞』相手に、『敬意』を払えなど教えられるわけがないだろう? 寧ろ逆だ。貴様は『軽蔑』する対象としてしっかり教えられたよ」


 そう言って一兄からは笑みが消え、一兄の黒い瞳が更に黒くなった。


「消え去れ、下衆が」


 そう言い、一兄は体重をかけていた足に一気に力を入れる。


 バキン!!


 重く、鈍い音だけが響いた。

 相手が『普通の人間』なら確実に死んでいるだろうが、俺達と対峙していたのは、俺達にかけられた『蜘蛛(呪い)』から現れ、『曽祖父(クソジジイ)』の形を模した『紛い物(偽物)』。

 そんな『物』に同情をかけてやるほどの優しさは俺達にはない。

 『曽祖父(クソジジイ)』は原型が保てなくなったのか、真っ黒く色が染まり、砂のように粉となってサラサラと消えていく。

 一体今のは何だったのか。

 俺と一兄はしばらくその場から動けず、黙って立っていた。

 読んで頂きありがとうございます!

 いかがでしたでしょうか?

 ちょっと嫌な気持ちになったかもしれませんが、こんな感じ?で、これからどんどん?進んでいく予定です。

 気に入った! などありましたらブクマ等をよろしくお願いします。

 また、先を早く読みたい! という素敵な方は、カクヨムにてすでに掲載しております。

 作者の活動報告より、アクセスしてください。

 コメントなどもありましたら是非!

 どちらでもお待ちしております!

 では、よければ次回もお会いしましょう!

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