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リザードマンは妻と娘の待つ世界に帰りたい  作者: 須藤 蓮司


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19/24

19話

 簡潔に結果から言おう。


 巨大金魚クッソ不味かった。


 長時間しっかり火を通しても何故かビチャッと水っぽいし、ウロコや内臓の処理もしたのに何処か生臭ぇし、おまけに寄生虫はワンサカいるしで流石の俺も四分の一ほど食った所でギブアップした。

 食材を無駄にしてすんませんした!


 …つーか誰だ!?こんなドブ魚食おうって言った馬鹿はっ!?

 頭に虫わいてんじゃねぇの?寄生虫とか。


『『お前〈キミ〉だよっ!!』』


 …はい、ここまでテンプレートです。

 色々応用もきくので皆さん忘れずに覚えておきましょうね~。


 あ、でも捌いてみたら魔石がザクザク出てきたのは面白かったな。

 流石は川の主(笑)を気取ってただけあって、変異種も結構食ってたみたい。

 どれもこれも小粒だったけど、見たことの無い色の魔石も幾らか混じってたし、正に玉石混合ってヤツ?

 …まぁ、肝心の金魚の魔石の方は、ミサイルランスの直撃で、砂みたいになってたけどな。

 

『…もしかして、あの魚の異常な強さって魔石を大量に摂取してたからなのかなぁ?』


 …ほう、面白い。

 続けたまえ。


『お腹から出てきた魔石はどれも小粒だったけれど、これって少し変だよね?僕等の仮説だと、魔石は変異した時に発生するんだから、いくらなんでもアレは小さすぎると思う。だとすると…。』


 …ヤツは食った魔石から、魔力を吸収してたってか?

 

『うん。その分、君が砕いたキンギョの魔石、粉々にはなっていたけれどかなりの量だったよね?それに、僕等は獲物を食べる時はちゃんと解体してるけど、あのキンギョはそんなに行儀よくは食べないでしょう?なにせ「悪食」なんて呼ばれてる位だし。』


 ふむふむ、そうするとだ。

 アイツの「獲物を丸飲みにする」って習性が、偶々魔石を摂取するに至って、あれだけの強さを手に入れたって事か…。


 …これって、俺達リザードマンも魔石を食ったらパワーアップ出来るって事か?


『調べてみる必要はあると思うけどね。一応アイツは魔物で、僕らは亜人だから、違いはあるのかもしれないし。それに、僕らは体内に魔石を持たないからね。』


 ですよねー。

 そんな簡単なことで強くなれるとかチートもいい所だわ。

 …そもそも俺には魔物と亜人の境界線がよく分かってないんだが、やっぱアレか?意思の疎通ができるかどうかとかなの?


『それもあるけれど、文明的な暮らしを営んでいるってのも一つの境界線かな?』


『…文明…的?…リザードマンの暮らしは文明的か?』


 …ほぼ原始人だもんな、俺ら。



▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △



『おおっ…!おおおっ!!これぞ正しく我らが宿敵、悪食っ…!!…お前さん、本当に食ったのかい…。』


 おうよバアさん!クソ不味かったぜ!

 やっぱドブ魚はダメだな!


『アギト様!ヒカゲ様にキザ様もっ!お帰りが遅いので心配しておりましたわ!!…それにしても、アギト様達は本当にお強いのですね…。』 


 あ、パグミだ。

 まぁ三人がかりでフクロにしただけだから、大した事ないけどな。


『…犬人族コボルトじゃあ十人でかかっても返り討ちにあうんだろうけどねぇ。何にしても、大儀じゃったな、客人達よ。』


 いやいや、むしろ見つけ出す方が大変だったぞ?


 …あ!思い出した!!


 ババアてめぇ!話が違うじゃねーかコラ!!

 川に行けば簡単に会えるみたいな言い方してやがったのによぉ!

 アイツ滝の上に居やがったんだぞ!?


『…滝の上?そんな所にいたのかい?…珍しい事もあるもんだねぇ、あの滝の上流は川幅も狭くなっているし、あの巨体じゃあそんなに自由に泳ぎ回るスペースも無さそうに思えるがのぅ。』


 あ゛あ゛っ!?

 いうに事欠いて俺を疑ってんのか!?

 ウソじゃねーし!

 いきなり頭の上から降ってきたから、ほんのちょっとだけビビッたし! 


『いやいや、アンタ達を疑ったりはしていないよ。ちゃんとこうして悪食を仕留めてきてくれたことだしねぇ。感謝してもしきれない位だよ。』


 …よし!許す!


『…リザードマンが…!?し、信じられん。本当に三人で悪食を仕留めたというのか!?』


 …あ゛あ゛っ!?誰だテメェ!?

 だから!ウソじゃねーし!!

 ちゃんと目の前に証拠が…。


 …って…。


『…テディお兄様!!いくらお兄様でも、それは失礼ですわ!!アギト様達はオババ様との約束通り、こうして種族の友好の為に悪食を倒してきてくださったといいますのに!!』


 …おいおい…コイツがパグミの兄貴かよ…。


 …なんてこった。



 …メチャカワのトイプーちゃんやんけ…。


『…くっ!し、しかしだな!リザードマンとは野蛮な種族なのだ!そもそも相いれない存在…おっ!?おいっ!?何だオマエはっ!?やめろっ!?』


 よーしよしよし暴れない暴れない。

 良い子でちゅねー?

 モコモコしてて気持ちいいでちゅねー?

 …ホラ、ここが気持ちいいんでしゅかー?

 こちょこちょこちょ~。


『…っつ!?貴様っ!?やめっ…!!おっ、オイお前等!コイツをどうにかしろっ!?』


『え~?無理だよ~。アギトがそんな良い笑顔してる時は、僕でも下手に止められないから。』


『ギャース。(犬人語コボルトごは分からんな。)』


 ホーラホラ、お腹が痒いんでちゅか~?

 わーしゃしゃしゃ。

 わーしゃわーしゃ。


『…はうっ…な…なんという手業テクニックっ!!…こ、このままでは…!!』


『お…おい…見ろよ…。』


『マジかよ…犬人族コボルト最強の剣士、テディさんが…。』


『…なんか、ウットリしてる…。』


『…我がお兄様ながら、羨ましいですわ!!なんか嫉妬しますわ!!』


『…ホッホ。見よ!皆の者!ここに犬人族コボルトとリザードマンの、新しい共存の姿が垣間見えるじゃろう!…ちぃとばっかし爛れた姿じゃがのう。』


 あぁ~幸せなんじゃ~。

 …撫でてて思い出したけど、俺が飼ってた犬ってやっぱトイプーだったんだな。


 トイプーのパパイヤ。


 もじゃもじゃだから。


 娘がチョコだかマロンだかがいいって言ったのを、俺の独断で決めたんだった。


 …まさか嫁や娘の名前より先に、飼い犬の名前を思い出すとはな…。

 …なんか俺って、薄情者っぽい?


『…もう!お兄様ばかりをそんなに撫でまわして!!そんなに犬人族コボルトが撫でたいのでしたら、どうぞ私を撫でまわして下さいまし!!さぁ遠慮なさらず!!』


 …えぇ~?

 …いいよ別に、遠慮します。


『なっ…!!?男のお兄様の方が良いとおっしゃいますのっ!?』


 …いや、だってバグミ、ブスいもん。

 俺の好みと違うし。


『…。』


『ちょ…!アギトっ!口が過ぎるよ!?女の子相手に!』


『ギャース!!(ざまぁ!!)』


『キザ君、途中から犬人語コボルトご分かってるでしょ!?』


 いや、だってよぅ…こればっかりは仕方が無いだろ…?

 好みの問題だからよぅ…。


『……ですわ。』


『?パ…パグミちゃん?』


『…全・面・戦・争ですわ~っ!!!!』


 …ハイハイ、つらの話だけにってね。

 …お後がよろしいようで。

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