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リザードマンは妻と娘の待つ世界に帰りたい  作者: 須藤 蓮司


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15話

 …おい、どうしてこうなった?


『いや~、結構面倒だったんだぞ?』


『捕まえる時かなり暴れられましたからねぇ…。』


 …あれれ?俺の聞き方がおかしかったのかな?

 …何なんだコレはって聞いてんだよクソ共ッ!!


『…え?もしかしてお望みのモノと違ったッスか?』


『…これに決めたのはノーキンなんよ。』


『あ!ズリィぞドクロ、テメェまた俺のせいにして!!』


 …ダメだこいつ等、早く何とかしないと…。

 何故だ…どうしてこんな事になってんだ…。


『…ウゥゥッ、バウワウッ!!(ちょっと!私をどうする気です、変態共!!)』



 

 転生30日目。


 なんか馬鹿共が犬人族コボルトを攫ってきやがった。


 …マジで、なんで犬人族コボルトなんか攫ってきたのお前等?

 意味わかんないんですけど。


『え…だって前アギト兄ィが「犬人族コボルト飼いたい」って言ってたから…。』


『あ、大丈夫ッスよ?俺等兄貴の性癖に口出しする気は無いッスから!』


 …はぁ?

 ちょっと待て、何言ってんのカリブ君?


 殺すよ?


 …殺すね?


『…いやいやいやっ!!ちょ、ちょっと待って下さいって!!』


『あっ、兄貴が言ったんじゃないッスか!「犬人族コボルト可愛い」「犬人族コボルト飼いたい」って!』


 …ぇぇぇ…。


 そりゃお前、普通に愛玩動物として可愛いって意味だろう…。


『…アイガン動物?』


『兄ィって偶に意味わかんない事言うよな。…結局の所、何が気に入らないんだ?兄ィの好みと違ったのか?』


 確かに俺の好みとは違ぇよ。

 確か俺トイプーって言ったもんな?

 コレどう見てもパグだもん。


『バウッ!!がるるるっ…!!(いやらしい目で見ないでっ!!汚らわしいっ!!)』


 …マジどうすんだよコレ…。

 何言ってんのかサッパリだし、なんかムカツク顔して吼えてるし。

 

 …これ、アレだよな。

 このまま開放して自分の群れに帰らせても、いらんイザコザの元になるよな…。

 

 …殺っちゃうか?


 …殺っちゃうか!


『くぅぅん…。きゅーん…。(助けて…パパ、ママ…。)』


 …。

 潤んだ瞳で見るなよ…。

 …何かのCMかよ。

 ありゃチワワだったろ。


 …あー!!クソッ!!

 面倒臭ぇな!


 …仕方ねぇ。

 とりあえず、コイツ俺の部屋に連れてくから。

 あ、あと誰かヒカゲ青年呼んで来い。


『…あれだけ否定しといて、早速手ぇ出すんスか!?』


『兄ィケダモノ!!』


『しかもボスも巻き込むとか…!!鬼畜すぎる…!!』


 …よし、とりあえずお前等いっぺん死んでこい。



▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △



『おはようッス。』


『…おう、おはよう。』


『?なんか元気ないッスね?昨日噛まれた頭がまだ痛むッスか?』


『…俺の部屋、兄ィの部屋の隣だろ?』


『…ま…、まさか…!?』


『…一晩中だよ。なんか叫び声やら遠吠えやら、そりゃあもうお盛んで…。』


『うわぁ…。それは…ご愁傷様ッス…。』


『…もし、もし今夜もあんなだったら、俺どうすればいい?正気でいられるだろうか?』


『う…。…じゃあ、今夜は俺の部屋に避難するッスか?』


『…ってゆーか、俺と部屋交換しない?』


『それは無理ッス。』


『薄情者め…。』


『いや、俺にはハードル高いッスよぉ。…そうだ、キザあたりに代わってもらったらどうッスか?アイツ昨日は一人で作業してたみたいッスから、事情を知らない筈ッスよ。』


『…お前結構ワルだな…。…しかし、アイツ「あれ」だぞ?この前お前も見たろう?流石にソレは…。』


『自分が不幸になるくらいなら身内でも売るッス!』


『…お前…一周まわって尊敬するわ。』


『…?なんだお前ら、訓練サボって立ち話か?』


『…おお、キザ!ちょうどお前の話をしてた所ッスよ!』


『…俺の話?』


『そうそうキザ、お前と俺の部屋、交換しないか?…ホラ、アギト兄ィの部屋まで遠くって、襲撃なんかがあった時に駆けつけづらいみたいな事、前に言ってたろ?』


『…何を企んでいる?』


『!…ば…バッカお前、何も企んでなんかねぇよ!』


『そうッス!これは親切心からの提案なんス!』


『…お前らにそんな心があるとは思えんのだが…。』


『…俺、聞いてたんよ。』


『!?ドクロっ、いつの間に…!?』


『二人はキザを犠牲にしようとしてるんよ。兄貴の部屋でおきている惨劇の…。』


『!?アギトに何かあったのか!?』


『あっ、ちょ…!待つッス!今あの部屋に入るのは不味いッス!!』


『放せカリブ!!アギトが危ないんだろう!?』


『うん、まぁ…危ないのは確かッスけど…もう手遅れっていうか…。』


『!?』


『俺達の知ってた兄ィは…もう死んだんだ…。』


『…そんな…、まさかアギトに限って…。』


 お前ら朝からうっせぇえよ!!!

 何を騒いでんだクソがっ!!


『アギト!?生きているじゃないか!!』


 …んだコラッ!?

 生きてちゃ不味いんかキザ野郎コラァ!?


『…いや、アハハハ…。おはようございます兄ィ。』


『…やぁ、みんなおはよう。流石に徹夜明けは眠いねぇ…。』


『!!おはようございますッス、ボス。』


『さ…昨夜はお楽しみでしたね!』


『?ああ、まあ最後の方は中々楽しかったけど…?』


『『『(ボスも死んだ…。)』』』


 ?お前ら、さっきから何なんだよ?

 昨日俺に噛まれた傷が化膿して、脳が腐ったか?

 

『…?あ、アギトッ!?その犬人族コボルトは!?』


『がぅ…バウバウっ!(眠いですわ…)』


 ああ、コイツはまぁ…お客様かな?


 …バウッ!ガウワウッ!!(朝メシ、食う?)


『『『『!?』』』』


『ガウガウッ!くぅん…。(ええ、いただきますわ。)』


『ワンワンッワン!グルルル…。(お口に合うと良いんだけれど。)』


『えっ!?何スかソレ!?本当に会話成立してるんスか!?』


 ああ、メッチャ苦労したっつーの…。

 一晩中青年と一緒に話しかけ続けて、やっと朝方頃に通じるようになったわ。

 …まぁカタコトだけど。


『はぁ!?えっ!?いや、おかしいでしょ!?犬人語コボルトごで会話できるなんて!!』


 別におかしくは無ぇだろ。

 俺らリザードマンは成長の早い種族だって知ってるだろう?

 真剣に取り組めば一晩で異種言語なんか覚えられるって。


『…いや、リザードマンでも普通は難しいと思うよ…?正直、僕も最初は半信半疑だったんだけど。』


 そうか?

 そのわりには俺より早く犬人語コボルトごマスターしたじゃん?

 しかも流暢に喋りやがって。


『バウッ!(お褒めにあずかり光栄です。)』


『くぅん?(何のお話ですの?)』


 がうがうっグルル…。(いや、メシ食おう。ち○こ。)


『ガウッ!?(えっ!?)』


 …あ、間違えた。

 ぐるるるっ…。(さあ、行こう。)



▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △



『…くぅん…はっはっ…。(リザードマン料理…侮りがたし…。)』


 えーと、何だっけ…?

 …バウッ!(お褒めにあずかり光栄です。)…だっけか?


 しっかし、食ったなぁコイツ…。

 まぁ昨日から何も食ってなかったんだから仕方無ぇか?


『アギト…この犬人族コボルトは一体どうしたんだ?』


 ああ、キザは知らなかったっけ?

 …そこのバカ共が昨日攫ってきやがったんだよ。


『…オイ、なんか兄ィめっちゃ睨んでるぞ…?』


『…それよりキザが弓を手にしてるのが恐ろしいんスけど…。』


『俺は無関係なんよ。』


『『…。(コイツも結構クズいよな…。)』』


 まぁ攫ってきちまったもんはもう仕方無ぇ。


 …つーことで、俺と青年で送り返してくるから。

 キザ、お前もついて来い。


『…それは良いんだが…三人で行くのか?』


 大人数で押しかけたら襲撃だと思われるだろ。

 ましてや相手の群れの娘っ子連れてるんだから。

 少数精鋭でいいんだよ。


『…そうか。分かった、準備してくる。』


 …さてさて、一時はどうなることかと思ったけど。

 これはむしろチャンスかもな。


『…うん、そうだね。』


『?チャンスって、何が?』


 昨日話を聞いてみたら、なんでも犬人族コボルトと敵対するきっかけ作ったのって、前のクソボスだったんだとよ。

 …で、そのクソボスは俺が追放したワケだから、敵対する理由はもう無い。


『…え?…もしかして犬人族コボルトと和平交渉とかするんスか?』


『え~…流石にソレは無茶なんじゃあ…。』


 まぁ、難しいだろうな。

 だけどな、俺達の群れは数が減っちまってる。

 この前のザリガニはなんとかなったが、そんな毎回死傷者が出ないワケが無ぇ。

 …和平交渉は無理でも、不可侵条約位ならなんとかなるかもしれねぇだろ?


『う~ん…俺にはどっちも難しい気が…。』


 まぁ、無理なら無理で良いんだよ!

 とりあえずコイツを送っていって、交渉はそのついでだ。

 


 (…つーか、実は俺犬飼ってたの思い出しちゃったんだよ…。)

 (…思い出しちゃったから、犬殺すとかもう正直無理。)

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