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リザードマンは妻と娘の待つ世界に帰りたい  作者: 須藤 蓮司


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13話

『ガニィィィッ!!ガニガニィィッ!!(我が同胞はらからを殺めし罪、断じて許すまじ)』


『ギチギチッ…ギチギチギチッ…ぶくぶくぶく…(貴様の命を以て償え。ぶくぶくぶく…」)』



 うっせぇ!

 リザードマン語で話せっつーの!

 


 …転生27日目。



 懸念していた問題の一つ、ザリガニ共がラストアタックを仕掛けてきやがった。

 今まで何処に隠れていたのか、指揮官クラスと思わしきひと回り大きな個体もチラホラ。

 


 そして今、俺の目の前に2体の巨大ザリガニが立ち塞がっている。



 向かって右側でガニガニ言ってる奴は、なんか…青い。

 青くて細長い。


 …しかも、デカい。

 たぶん6m位はあるな、コレ。


 …とにかく、青くて細長くてデカい。


 …うわっ!

 よく見たら、全身に白いフジツボみたいなのが張り付いてるっ!

 キモッ!!


 …あと生臭っ!!



 一方、左側のギチギチ言ってる奴は、なんと赤と白の縞模様。

 …正月?いや、クリスマスカラー?

 とにかくおめでたい奴め。


 こいつもデカいが、青いのとは逆に横にデカい。

 …もうザリガニっていうか、蟹に近くねぇかお前?

 

 …あ、あとコイツもやっぱり生臭ぇ。



 サイズや色、鋏の形状も他の雑魚とは違う。


 …明らかに変異個体だ、コレ。

 やっべ、ちっと荷が重いかも。 



 クソッ!こんな時に同期達あいつらは何処行きやがった!?


 …朝から猟に出てるんだったわ。

 俺は昨日徹夜しちゃったから休んだんだ。


 大事な時に居ないとか流石俺の同期達!

 クソがっ!!



 ちなみにヒカゲ青年は非戦闘員の防衛&避難にまわっている。


 …こっちは、まぁ仕方ない。


 訓練は始めたけれど、女衆に実戦はまだ早い。

 魔法に関して光るモノを見せた個体が何人かいるので、今後に期待だな。



『ガニガニィィィ!(【水鉄砲】)』


 …うぉっ!危なっ!?


 テメェ!さっきまで呑気に泡吹いてたくせに、いきなり水なんか吹くんじゃねぇ!

 ガノト○スかっ!



『ギチギチギチ…(【四次元アッパー】)』


 うげぇぇっ!?


 何で俺の真下から鋏が出てくるんだよっ!?

 結構イイの貰っちまったぞ、この野郎っ…!!



 …つーか。


 つーかよ?


 お前等、生意気にも魔法使うのな。

 甲殻類の分際で魔法とか。

 雑魚ザリガニは使ってこなかったのに。



 …ん?なんか思いつきそう…。

 なんつーか…こう…。


 …やべぇ屁が出た。

 そんで一気に忘れたわ。

 糞が。



 …よし、いいだろう。

 幸か不幸か、周辺にはザリガニ共しか居ないコトだし。

 お前等に魔法の何たるかを享受してやろうじゃねーの!



 くらえっ!爆裂魔法っ!!

 エビフライになりやがれっ!!



『ガニィ!(痛い)』


『ギチ…(でも平気)』



 …甲羅堅っ!!

 クソがっ、焦げ目がついただけかよっ…!


 …あ、でも香ばしい良い匂い…。

 そういえば朝飯がまだだったんだよな…。

 飯テロかよクソッ…!


 

 畜生が…こりゃあ認めるしかねぇな。

 コイツ等、俺より格上だわ。



 

 …つーことで、とっておきを出そう。

 貫けっ!ミサイルランス!!



『ガニィィィィッ!?(超痛い)』


『ギチギ…ぶくぶく…(熱…死ぬ…ぶくぶく…)』


 ざまぁみさらせ! 

 シーフード(沼だけど)バーベキューじゃぁっ!!



 格上が何だってんだ、こちとらジャイアントキリング上等だクソ野郎!

 むしろ今腹ペコだから食いでがありそうでウェルカムだっつーの!!

 やっぱ海老ザリガニ海老ザリガニらしくチリソースに絡まってるのがお似合いだわ。

 マヨネーズでも可。


 あ、ミサイルランスは、槍の石突部分に炎の魔石を組み込んだ新兵器な。

 昨日の夜徹夜した原因。


 魔力操作しながら投げると石突が爆発して、その名の通りミサイルの如く飛んでいくの。

 んで、ぶっ刺さって燃える。

 バーベキューにもってこいの一品が完成しました。


 威力の方はご覧の通り申し分無い。


 …まぁ難点を挙げれば、今現在は俺しか使えない事。

 赤い魔石で爆発を起こせるのが、現状俺だけなんだよなぁ…。


 あとは回収が面倒な所か。

 下手に当たって、刺さったまま逃げられたら大損だなコレ。

 コスパ最悪。


 

 …っと、そうこう言ってる間に悲鳴が止んでるし。

 焼きあがったかな?


 ったく、マジで荷が重いっつーの。

 6m級の大物2匹とか、巣の中まで運ぶの一苦労じゃねーか。

 …とりあえず置いといて、他のザリガニ駆除の手伝いでもしてくるか…。



『…ギュチチ…ギュエーッ!!(…同胞の仇…死ねぇーっ!!)』


 !?


 新手かっ!?

 しかも変異個体っ!?


 武器は…。


 …やべ、刺さったまんまだわ。



 あ、俺死んだかも。




『…まったく、お前という奴は…。』



 …うおっ!!

 何だこの突風っ!?


『ギュチーッ!!(無念ーっ!!)』


 …は?


 …は?


 …ザリガニ、吹っ飛んでったんだけど。



『だから、いつも言っているだろう。戦闘中に気を緩めるなと。お前は慢心しすぎだ。』


 …あ゛っ?

 誰だテメェ?


 初見で因縁つけてくるとか、良い根性してんじゃねぇかコラ。

 テメェ何処のリザードマンだオラッ。


『…ああ、こんな所にいた!探したっスよアニキぃ!!』


『なんでザリガニ共が巣の中にっ!?』


 …ンだよ、今更到着しやがったか。

 今忙しいから後にしてくれ、後に。


『イヤイヤ、アギト兄ぃ。こっちも大変だったんだぜぇ?出先でザリガニ共の奇襲にあってよ。』


『なんとか撃退したんスけど、キザの奴が突然倒れちまって…。』


 キザが倒れた!?

 …嘘つけ、アイツが殺られたってのか?

 ザリガニ共程度に殺られるわけねぇだろ!!


『ちゃんと最後まで聞いて下さいよ。キザは無事ですから。』


『アイツ…倒れたと思ったら急にシワシワになって…脱皮したんよ。』


 は?脱皮?


 脱皮って…ソレお前…。


『…どうも俺は、変異したみたいだ。』


 …じゃあ、何か?


 さっき因縁つけてきたお前がキザなのか?

 顔なんかまるっきり別人…いや、別リザードマンじゃん。


 うわー…デジャブ感パネェ。


 つーか俺を差し置いて、先に変異してんじゃねぇ!!

 どう考えても順番的に俺が先だろーが!

 お前モブだろうがよ!


『もぶ…?どんな意味の言葉だ?』


 真面目に質問してんじゃねぇよ!

 モブはモブだよ、なんつーかエキストラみたいな…。


『…エキス虎?…魔物の類か?』


 …あーうっせーうっせー!!

 グダグダ喋ってんじゃねぇ!!

 帰ってきたんならさっさと他の救援にでも行けクソ共がっ!!


『…兄ぃ、先を越されたのが悔しかったんだな…。』


『…子供じゃないんスから…。』


 ぜ…全然悔しくなんか無いっつーの!

 俺ってホラ、大器晩成型だし?


『…なんか、スマンかったな…。』


 テメェ本気で謝るなよ!!

 マジで俺が悔しがってるみたいじゃねぇか!!

 

『良かった、みんな無事だったみたいだね。…?ど、どうしたの、この空気?』


 青年まで来ちゃったよ!

 何だよこの空気!俺が知りてぇよ!!


 もう面倒くせぇ!!

 知らねぇよ!!

 クソがっ!!

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