氷海の巨人
三十一層は一転して極寒エリアだ。
辺り一面雪に覆われた白銀の世界。ところどころには枯れ木が残されている。気温はマイナスで、はぁーと吐いた息は真っ白だ。吹き荒れる風に乗った雪は体に当たり、体温を奪う。
ダンジョンで設定されているのか、雪の深さは均等で十センチあまりだ。
その雪原を歩く二つの人影のうちの一人が溢す。
「砂漠と雪原、足して二で割ったらいいと思うんだけど」
フードを深く被り、雪を踏み締めて先を行く。真っ黒なコートは雪に塗れて白く染まっている。
「そうですね」
灰熊の毛皮の外套を身に纏ったサクヤも周りと同化している。
カイトは平気そうだが、サクヤはいつにも増して口数は少ない。この寒さに相当に堪えているようだ。
ザックザックと足音を立てながら、雪道を歩く。
ふと視線を持ち上げると、自分達に巨体を揺らしながら近づく影を、遠目により強化された眼が捉えた。地震のような震動を伴いながら。
「俺はつくづく熊に縁があるなぁ」
カイトの言う通り、脇目もふらずに突撃してきているのは熊だ。白くて巨大な熊だ。
カイトが遭遇した中でダントツの大きさだ。寒ければ身体が大きくなるというのは魔物にも適用されているみたいだ。
カイトもサクヤもそれぞれ武器を構え、相手の一挙手一投足を観察する。
距離が十分に縮まったのを見て、白熊が爪を振るう。魔力の斬撃が雪をブワッと舞わせて、より視界が悪くなる。
粉雪が舞う。それを突き抜けて飛んできたのは尖った氷の礫。粉雪に次々に穴が空き、大小さまざまな氷の礫が襲い来る。
「フレアウォール」
凄まじい熱量を持った壁が雪を溶かして、ぶつかってくる氷の礫も溶かしていく。
ただ、雪の中では火魔法は使いづらい。魔力の変換効率が最悪なのだ。そのせいで、すぐに炎の壁が消えてしまう。
遮るように発動していた魔法も消え、見晴らしが良くなる。この環境下で鍛え抜かれた魔物の視力がカイトの姿を捉え、次の氷の礫を生み出そうとした。
「ふっ」
カイトに気を取られ、雪に紛れて近づいたサクヤに気付かずに肩から先が消えた。野生の勘で間一髪避けられたのは幸運だったのか。少なくとも、寿命は数秒伸びた。
サクヤがもう一太刀浴びせようとするが、それを邪魔するように氷の壁が間に割り込む。
今度はサクヤに気を取られ、カイトから視線を外した。
いつからそこにいたのか、思考を中断して爪を振るう。それを横にずれるだけでかわし、白熊へ大きく踏み込む。
振動魔法を利用した震脚は雪を巻き上げる。震脚と胴の捻り、全ての衝撃を集約した拳は腹部にアッパー気味に放つ。
巨体は軽々吹き飛ばされた。やまなりに飛ばされ、背中から勢いよくズザザザッと地面をまるで滑るように着地を決め、魔石へと姿を変えた。
突き出していた拳を収め、手をパンパンと払う。
「サクヤ、手を出せ」
もちろんセクハラなどではなく、スキル:冷耐性をサクヤへ移動するためだ。
サクヤも黙って手を差し出す。寒さで赤くなった手を包むように握ると、サクヤへスキルが譲渡される。
「ありがとうございます。楽になりました」
「それは良かった。次の魔物探さないと俺が凍え死にするから早く行くぞ~」
「先にカイトが持ってても良かったんですよ?」
ニコニコ笑いながら言うサクヤに少し困り顔のカイト。サクヤの額を軽く小突いてから歩き出した。
「いいから早く行くぞ」
痛くもない額を擦ってから、早足のカイトの横に少し間を空けてサクヤも歩く。
白熊との戦闘から十分と経っていないのに、次の魔物とエンカウント。
カイトとサクヤを囲む鹿の群れ。
赤く血走った目は、いかにも気性が荒そうな印象を受ける。後ろ脚が異常に発達し、頭からは二本の角が長く伸びる。
「氷槍」
白熊から奪った氷魔法だ。Lv3だが、既存の魔法がないため、大量の魔力に物言わせ詠唱なしで魔法を発動させたのだ。
五本の氷の槍がそれぞれ不定の軌道を描き周りを取り囲む茶鹿へ一斉に放たれる。
「水よ、敵を貫け、アクアランス」
詠唱省略を使ったサクヤの魔法は、茶鹿が氷の槍から逃げた先に撃たれた。
地に足がついていない状態ではかわすことが出来ずに、四体の茶鹿が胸を穿たれて息絶えた。
血を含んだ水の槍は地面に衝突して、雪を赤く染め上げた。
残された茶鹿も着弾したことで脚の肉を消し飛ばされ、動けない。
茶鹿からスキルを奪うと、HPが尽きて魔石になった。
「冷耐性あると楽だな」
「そうですね。これで吹雪でなければ外套を脱げるんですけどね」
吹雪は弱まる気配もない。
「天候を変えたいところだが………」
「すぐ吹雪になりますよね?」
「そうなんだよな」
吹雪もダンジョンの設定の一つだ。今ある分をなくしたところで、またすぐに吹雪くだけだ。
「まあ、あともう少しだからいいか」
「分かるんですか?」
「音の跳ね返り方が違う部分があるからな」
広さが決まっている場所なら音波魔法によるソナーは実に有効だ。これを使えば迷うことはまずないだろう。
「便利ですね」
この一言に尽きる。
「そうだろ。っと、見えてきたな」
雪の奥には、壁にぽっかりと空いた大きめの穴が見えてきた。吹雪から逃げるように駆け込む。
外套についた雪を払いながら、次の階層へ続く螺旋階段を降りた先は変わり映えしない雪原だったが、嬉しいことに吹雪いていなかった。
次の階層も、その次の階層も。
変化が現れたのは三十九階層。
一見してなんの変哲もない雪原エリアだが、おかしい。
「気配感知に引っかかっているのに魔物がいない?」
そう、十メートル内に一体の反応がある。魔力も体長も相当なもののはずだが、目視できる範囲に何もないのだ。空を見上げても、横を向いても何にもない。
「ということは………っ!?サクヤ、跳べっ!」
カイトが下を見て大きく跳ね、サクヤも後を追うように飛び跳ねる。空中に結界を張り、足場にする。
突如、床に罅が奔り、今まで歩いていた氷が砕ける。下には水がある。どうやら、水の上に張られた氷を進んでいたようだ。ならば現れたのは、さしずめ、この階層の主とでも言うべきだろうか。
それは巨大な腕だった。腕だけでも十メートル以上と規格外のサイズだ。
氷を突き破ってもう一本腕が生えてきた。手探りでカイトとサクヤを探しているようだ。
「逃げるか」
「逃げましょう」
わざわざ面倒ごとに首をつっこみたくない。結界を伸ばし、宙を歩く。巨人は氷を次々破壊していき、まともな足場が見つからない。
そこに、転移の時に起こる光が発せられる。遠目で見ていたカイトとサクヤは、そのタイミングの悪さに何とも言えない表情だ。
「今日は三十九層クリアまで……って、うお!」
「え、何で氷海の巨人が!?」
「逃げろ!上の階層だ!」
「来てるわ!横に避けなさい!」
四人の冒険者はこの階層まで来られるだけあって判断は迅速で正しい判断だ。が、タイミングが悪すぎる。神から見放されていると言っていいレベルだ。
氷海の巨人の腕が周りで一番大きい氷を鷲掴みにすると、力一杯投げつけた。
氷塊は四人の冒険者を分断するように真ん中へ突き刺さった。
さらに絶望すべき事態が発生する。腕と腕の間の氷がど派手に割れ、分厚い氷が散乱する。
そこから出てきたのは、気味の悪い男の顔だった。
「ウォオオオオオ!!!!」
鼓膜をむしり取られそうなほど不快な咆哮がこの階層に響き渡った。
カイトもサクヤも耳を塞ぐだけで害はなかったが、四人の冒険者はすくみ上がって、女性二人はへたり込んでいる。咆哮と共に放出された魔力に当てられたらしく、顔色はすこぶる悪い。
氷海の巨人はゆっくりと腕を振り上げる。使い物にならない冒険者達は涙目で振り下ろされてきた鉄槌を眺める。
視界を塗りつぶす死の鉄槌。それを邪魔するように透明な斬撃が連続で放たれる。
トンと軽やかに着地して、冒険者達を庇うようにカイトとサクヤが前に立つ。年端もいかない少年少女の背中とは思えない安心感を冒険者達にもたらした。
「サクヤ、どうしようか」
台無しだ。かっこよく現れたくせに、なんとも情けない台詞だった。
「今の状態で倒せます?」
後ろにいる冒険者達にステータス制限、不安定な足場。不安要素が頭に流れる。
「難しいな。おい、動けるか」
流暢に話しているが、氷海の巨人から投げられる氷塊の対応で手一杯だ。後ろに被害をださないようにカイトは逆手に持った二刀で粉々に、サクヤは剣域と瞬刀を併用して、切り刻む。
「俺達二人は大丈夫だが………」
ちらりと確認すれば、女性二人は放心状態のまま動けずにいる。
転移結晶は所有者が魔力を入れないといけない。最初に投げられた氷塊が入り口を塞ぎ、階段は使えない。彼女達の脱出は絶望的と言っても過言ではない。
恐怖の感情は光魔法でも効果は薄い。なおかつ、使えるのが教会等にバレれば厄介だ。
長く考える時間はなく、この場における最善の策を判断を下した。
「お前等だけでも逃げろ!」
「っ!ナーシャ達はどうする!」
カイトに怒鳴るのはお門違いと理解していながらも、仲間を見捨てろと言われれば激昂せずにはいられなかった。
そんな彼に怒鳴るでもなく、冷徹に言い放つ。
「置いていけ」
ギリギリと歯噛みするが、魔物は待ってくれなかった。
「ウルゥオオオオオ!!!!」
二度目の咆哮。魔力も何もない咆哮に冒険者達は胸をなで下ろす。カイトとサクヤは微塵も油断などしていない。神経を尖らせて、変化を探す。
何の前触れもなく、氷を突き破って水を含んだ竜巻が起こった。何本も発生し、天井まで伸び、大粒の雨が視界を塞ぐ。
気を抜いていた四人の冒険者は直撃はしなかったものの風により浅くない傷が肌に刻まれた。
より戦いにくい環境へと変化したが、それは向こうにも言えることだ。
無詠唱で、姿を隠す幻覚魔法、幻景想を発動させる。
女性二人の目に痛みによって意識が覚醒した。意識を取り戻した矢先に見た光景が荒れ狂う海で、口を空けてぽかんとしていたが。
そんな足手纏い共を背に、適当に撃ち出されていく水弾を二刀で切り裂く。
「足手纏いだ。早く行け」
歯に衣着せぬ物言いだが、今はカイトが正しい。
「ぐっ。けど…」
「早く行け!」
確実に狙いが定まってきている。水弾のペースが上がり、いよいよ後ろに攻撃が行くようになってきた。
「早く行きましょう!」
回復した女性だけでなく、残りの二人も言う。少し迷った末に、頭を下げてから転移結晶を使った。
庇う相手がいなくなり、水弾の対処に余裕ができて、会話する余裕もできた。
「大丈夫か?」
「荷物が無くなれば余裕です」
「なら良かった。俺は左、サクヤは右だ」
「了解です」
カイトがスパンッと水弾を斬ったのを合図にサクヤも右に向かって駆ける。
手応えがなくなったのを認識してか、氷海の巨人が戦略を切り替えてきた。
足を踏み出した場所を感知して氷の槍が突き出すという器用な攻撃だ。
どうかわせばいいのか。答えは簡単だ。槍が出る前にその場から離れればいいだけだ。
意味がなくなった攻撃方法は捨て、新たな攻撃を仕掛けるが、全て無駄に終わった。
カイトとサクヤが氷海の巨人を捉えた瞬間、その場を食い破るように竜巻が直撃した。
意思を持ったような竜巻。さすがに切り払うことも出来ずに、かわし続ける。魔法を扱っている張本人は竜巻に守られ、手出しができない。
「外からは手が出せないな」
「何か方法はありますか?」
気付けばサクヤが近くへ来ていた。サクヤも打つ手がないようで、少し息も切らしていた。
氷もガリガリと削り取られて、足場も徐々に少なくなってくる。このままいけばジリ貧だ。
ひたすら襲い来る竜巻を避けること数分。慣れていない重力魔法を使うのは結構な負担になり、時間がかかってしまったが、完成した。
「玄焉」
妙な圧力を感じさせる漆黒の球体。ゆっくりと進む漆黒の球は魔法を吸い込む。
氷海の巨人も焦りを露わにして、次々に魔法をぶつけるが全てが呑み込まれる。氷海の巨人の魔力の一片すら余さず吸い取った玄焉は霧散して消えていった。
最大の武器がなくなり丸裸となった氷海の巨人は氷をかき分けて逃げようとするが、それよりも早くカイトが氷海の巨人の肩へ辿り着いてしまった。
魔力で伸長された刃が綺麗に首を刎ねた。くるくると回る首は生々しい音を立てて、氷の上に落ちた。
直径四十センチを超えているボス級の魔石を指輪に収め、辺りを見回した。
「酷い惨状だな」
氷は竜巻によってズタズタに割れ、陸が続いている所は見つからない。カイトが立っている場所も陸から切り離された孤島のようなものだ。
周囲に散らばっている魔石も集め終えたところで、サクヤがカイトに声をかける。
「今日は疲れましたし、帰りません?」
「俺も疲れたし、帰るか」
ダンジョンから出て、屋台で売っていたケバブもどきをギルドへ向かう。冒険者の割合が多い大通りを歩きながら、モグモグとケバブもどきを咥えたサクヤがカイトに尋ねる。
「あの魔物のことは報告するんですか?」
「そうだな。レントには言っておくか」
ひょいと最後の一口を口に放り込む。
「こう問題ばかりだとレントは大変だなぁ」
「問題を持ってくる張本人が何を言ってるんですか」
「俺は巻き込まれただけだ」
「カイトって、結構なトラブルメーカーですよね」
サクヤもケバブもどきを食べ終わる。
「苦労をおかけして申し訳ありません」
「でも、カイトが巻き込まれた分だけ、助かる人が増えるんですけどね」
仄かに笑みを浮かべて、カイトを見る。周囲にいた老若男女の視線の全てを釘付けにするその可憐な笑み。
励ましてくれているサクヤの優しさに思わず涙が出そうだ。
「ありがとな」
「どういたしまして」
ギルドの扉を開くと、ジョッキを持っていた数人の中年男性が、こう言ってはなんだが、巨人にも勝るとも劣らない笑みを向けて、口々に言った。
「刀神と刀姫のお出ましだっ!」
「あれが二刀か」
「若いな。本当にあいつが魔族を討伐したのか?」
「ああ。すごい戦いだったぞ」
酒場の視線が突き刺さる。
ちなみに二刀は、勝手につけられたカイトとサクヤのパーティ名だったりする。刀神と刀姫、名前に二つ刀がついているからという安直なネーミングだ。
ピシャリ
それはともかく、カイトは勢いよく扉を閉める。中に入るか、Uターンするか。少しの葛藤の末に扉を閉めた。
「カイト?」
サクヤはカイトの後ろにいたせいで見えていなかったから不思議そうな顔で見つめてくる。
「すまん。帰っていいか?」
「えと、何でですか?」
「それはな」
理由を説明しようとした瞬間に、扉がバンと開けられ、カイトが中に引き込まれた。
「なんで逃げるんだよ」
「離してくれないか、ジン」
「ハハハ、断る。俺の奢りだ」
酒場に引き込まれたカイトの後を追ってサクヤも酒場に入っていった。
酒臭さが充満した室内はいるだけで酔いそうだ。サクヤの周りは女性冒険者に囲まれ華やかになっているが、カイトの周りはと言えば
「刀神、今どこまで行ってるんだよ」
「兄ちゃん、あの剣技は我流なのか?」
「刀って東の方の武器だよな?」
ガッチリとしたおっさんに囲まれ、華やかさの欠片もない。質問攻めを適当に答えていると、カイトの前にもジョッキが差し出される。中にはなみなみとエールが注がれている。
この世界の成人は十五歳からだ。カイトは法的に酒を飲んでも良い年齢なのだ。
カイトはジョッキに手をかけ、一気に飲み干す。ごくごくと喉をならし、ジョッキを下ろしたときには中には何も入っていなかった。
「良い飲みっぷりだな。うちの息子とは大違いだな」
「エールを樽で持って来い!」
「おっと、やるのか?毎回恒例の新人飲み比べ」
ジンが肩にビール樽を担いで歩いてくる。それをドンッと地面に置くと、カイトの対面に座る。エールが注がれたジョッキが並べられるのを見て、拒否権はないのかとカイトは諦観する。
酒場の一角がざわめき始める。ギャラリーが増えていく。注目されているのは、運ばれてくるジョッキを空にしていくカイトとジンだ。
カイトは素面だが、ジンの顔は真っ赤だ。アルコールは毒と判断されるようで、毒耐性が働いているようだ。
そして、ついにジンが机に突っ伏して動かなくなった。
「おお、楽勝じゃねぇか!次は俺だ!」
「俺だって!」
その日、ギルドの灯りが消えることはなかった。
飲み比べで挑んできた全員を打ち負かしたカイトはギルドマスターの部屋の前で立っていた。
「入るぞ、レント」
ノックと同時に開けるが、静止の声は特になかった。
「呼び捨てか。それよりどうかしたか?」
困った奴を見るような目を向けるレントに、あくまで気付いていないふりをしてソファに腰掛ける。
「三十九層でボス級の魔物に遭遇したんだが」
「ああ、その話なら結構前に来た冒険者に聞いたな。“氷海の巨人”に手を出すとは、やるな。詳しいことを聞かせてくれ」
「その前に四人の冒険者はどうしたんだ?」
「教会で治療を受けてる。大事をとってな」
「そうか」
それほど長い話でもないため、すぐに終わった。話し終わった後、また面倒ごとが増えたと眉間にしわを寄せて、おもむろに立ち上がった。そのまま茶を用意しだした。
「ほれ」
差し出された茶器。焦げ茶色の液体が湯気を立てている。
「今、ちょっと飲めないんだが」
「おっさんが淹れたから、とかの理由だったら顔にかけるぞ」
「それは三割程度だから安心しろ。飲み比べで飲み過ぎただけだ」
「そうかい」
「そういえば」と言ってから周囲を見る。部屋に入ってから気になっていたことを聞いてみた。
「アイリスさんはいないのか?」
「俺が呼び捨てでアイリスがさん付けなのか、聞いてもいいか?」
「なんとなくだ」
「………まあいい。あいつは色々な対応に追われててな」
カイトは、ふーんと興味なさげに返すと紅茶を無理矢理飲み干してから立ち上がり、扉の取っ手に手をかけた。
「紅茶、ごちそうさま」
「変なところで律儀だな。じゃあな」
カイトは手を振って、ギルドマスター室から出ていった。
一階に降りてから、酔い潰れたサクヤを回収してギルドから退散した。




