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【本編完結済み】鉄パイプ令嬢は逃走王子を尻バットする〜処刑直前に王冠を押し付けられたからハッタリだけで国を乗っ取りました〜  作者: 朱音ことは
前編 バカ王子に王冠を押し付けられたわよ!

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16話 ハッタリだけで国を乗っ取りました

 滑稽で荒唐無稽な就任式は、(つつが)無く幕を閉じた。



「一件落着!めでたしめでたし!ですねぇ」



 控室。白の式典用ワンピースを着たミュウは「お嬢様がとっても綺麗で泣いちゃいそうでした~」と鼻をすする。


 ……危なかった。式典中に涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにされたら威厳がなくなるところだったわ。



 わたくしは立ち上がり、鏡の前でくるりと回った。



 久々に施された繊細な化粧。結い上げられた豊かな金髪。

 衣装は、お母様のウェディングドレスをわたくしの体格に合わせて仕立て直したものだ。



 総レースのロングスリーブと広がりを抑えたAラインスカートは、華美な印象を与えず、威厳と女性らしい美しさを兼ね備えている。




 ――譲位宣言書を入手した旨を早馬で実家に報告したところ、わたくしの下へ凄まじい量の荷物が届いた。


 ジィノからは、わたくしが気に入っていたぬいぐるみと、お祝いと少しだけ泣き言が混ざった手紙。


 お母様からは、手刺繍のハンカチーフ、花嫁衣装を含めた大量のドレス一式と、新王となるわたくしへの励ましの手紙。


 お父様からは、元王・元王子の行方が書かれた報告書と、『融通』させた50億の借用書。


 隣にいたグリースの「……侯爵様、やっぱやべぇな……」という呟きが印象深かったわ。



 もちろん、ヴィルシュ家と我らの派閥は今日の式典にも参列している。


 お母様とジィノはわたくしの晴れ姿に涙を流し、お父様がお母様を後ろから優しく抱きしめていた。


 ……そういえばお父様とは一度も視線が合わなかったわね。まぁ、いつものことだからいいけれど。



 なんて、鏡の前で感慨に耽り――。



「……もう、限界っ……!早く脱がせて……!」



 囚人服とお仕着せに慣れてしまった身体に、久しぶりのコルセットは少し酷だったみたい……。



 ――



 すっかりいつも通りのわたくしとミュウは執務室

、ではなく隣にある宰相室に顔を出した。



「「「「オザーッス!サイコーッシタァ!」」」」

「お疲れ様。あなた達も、仕事に加えて戴冠式の用意まで進めてくれて大変だったでしょう。ありがとう」


「「「「シャス!!」」」」

「しゃす!えへへ、ですよねですよね!やっぱりお嬢様はさいこーに可愛いです!」



 先に業務に戻っていた彼らは、ミュウと一緒にどこが良かっただのとなんだのと盛り上がっている。

 仕事は……今は見逃してあげましょうか。



 わたくしは、机がずらりと並ぶ室内を眺めた。


 最初の7名が自らの責任を持って人材を登用する、というルールを作った結果、実務メンバーは15名まで増えた。

 執務室では席が足りないため、宰相室に引っ越させたのだ。



 また、先日の人力馬車パレードを観た者の一部は城に戻っており、少しずつ機能を取り戻すべく動き始めている。



 ……出戻りを素直に受け入れたのか?


 そんなわけないでしょう。職務放棄で一度全員懲戒解雇して、年齢経歴関係なく全員新人採用よ。

 仕事にありつけるだけマシだとお思いなさい。


 それはともかく。



「ミシェル、お父様からの借用書は目を通した?」


 行きがかり上宰相になってしまった彼は、相変わらず顔色が悪い。着替えもせず、式典服の上着だけを椅子に引っ掛けている。


「問題ありません。()もありませんでした」

「あら、意外ね。ありがとう」

「意外とは……いえ、戻ります」


 彼は何か言いたげな顔をして背を向けた。まぁ、実の父親から借金だなんて、顔色も悪くなるわよね。


 ミュウには決裁が必要な書類を持たせ、わたくしは執務室に向かった。



 ――



 デスクで借用書を一読する。書面にサインと、わたくしの個人紋――四つ葉のクローバーがモチーフの印を押し、ミュウに眼を通させた。


 国庫の出納確認完了後にすぐ返済を始めれば、利子も高額にならずに済みそうね。


 あの時、譲位宣言書が見つからなかったらと考え、今更ゾッとする。……ゴーミルが鼻紙にしていなくて本当によかったわ。



 わたくしは、家族への返信と借用書が入った封筒を、『ポスト』の棚に置いた箱へ投かんした。

お読みいただきありがとうございました!


次回前編最終話です。

引き続き、お付き合いいただけると嬉しいです!

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