第4章 レインボーストーリーズ 中編
都内某所 (虹谷サイ視点)
虹谷サイ
「こちらになります。よろしくお願いいたします。」
僕たちは、楽譜を声優さんそれぞれに渡した。
虹谷アヤ
「歌詞はこちらになります。では…………音源を聞いてください。」
アヤは音源を流した。
声優さんはしっかりと聞いていた。誰一人批判もせず、穏やかな感じで聞いていた。
そもそもなぜこのようなことになったのかと言うと…………。
数週間前…………
六郭星学園 Sクラス教室
虹谷サイ
「この曲を…………声優さんたちに?」
月川タクト
「ああ。歌って欲しいんだ。それぞれみんなが好きな声優さんに歌って欲しい気持ちがあって、こんなことを考えたんだ。」
虹谷アヤ
「でも…………なんで私たちに?」
月川タクト
「きみたちのおかげで俺たちは元に戻ったんだ。それに…………この曲は表に発表されないのは…………嫌だ。」
虹谷サイ
「…………そうか。」
月川タクト
「それにこれは…………志奈と莉緒の想いも重ねた曲だ。無駄にはしたくない。」
虹谷アヤ
「わかったわ。じゃあ…………先生方に頼んで、聞いてもらうわ。」
月川タクト
「ありがとう。恩に着るよ。」
…………という訳で、今この状況になっている。そして、声優さんの反応は…………。
虹谷サイ
「あっ…………ありがとうございます!」
虹谷アヤ
「この曲をよろしくお願いいたします!」
全員から許諾を得た。声優陣が歌う日は…………卒業式の日になった。その日に全員が出演するイベントがあるからだ。
なんだかこちらまで嬉しく思う。この曲が披露されることを。
僕たちは、声優さんを見送ったあと、また肩の荷が下りた。
虹谷アヤ
「お疲れ。」
虹谷サイ
「ああ。」
虹谷アヤ
「これで…………良かったのね。」
虹谷サイ
「そうだな。彼らの喜ぶ顔が浮かぶよ。」
虹谷アヤ
「でも…………彼らの想い。なんとなく伝わったわ。それだけ…………志奈と莉緒に熱い想いを持っているのね。」
虹谷サイ
「僕たちは…………婚約者ではあるけれど…………本当にこれで良いのかな…………?」
虹谷アヤ
「…………わからない。けど…………違う気がしてきた。」
虹谷サイ
「…………あとは、志奈と莉緒次第だ。目覚めたときにわかるはずだ。」
虹谷アヤ
「そうね。それまで待ちましょうか。」
虹谷サイ
「ああ。でも、断りは入れておこうか。」
虹谷アヤ
「ええ。」
来川医療センター (虹谷アヤ視点)
??
「そうか…………やはり…………志奈と莉緒は…………。」
虹谷サイ
「はい。申し訳ありませんが…………この婚約は志奈と莉緒の意思次第でなかったことにさせていただきたいです。」
私たちは来川医療センターにいた、志奈と莉緒の両親に婚約破棄の意思を伝えた。
虹谷アヤ
「私たちは身を引いて、彼らに幸せになっていただきたいです。」
??
「……………………。」
虹谷サイ
「お考えを聞かせてください。」
??
「そちらから申し入れたわけだ。元からこちらは気乗りじゃなかった…………と言ったことにしよう。」
虹谷アヤ
「ありがとうございます。」
??
「志奈と莉緒が1番大切にしている人に言って欲しい。…………よろしくと。」
虹谷サイ
「……………………はい。」
僕たちは来川医療センターをあとにした。
六郭星学園 Sクラス教室 (虹谷サイ視点)
あれから数ヶ月が経った。これで…………本当に良かったんだ。
志奈と莉緒の進路はこれまでの成績の証拠を見せて先生方を説得し、彼らと同じ大学に進学することになった。
…………と言うより元々推薦枠で決まっていたから、証拠なんて必要なかった。
虹谷アヤ
「もうすぐ卒業式ね。志奈と莉緒は…………。」
虹谷サイ
「まだわからない。けど…………大丈夫だ。きっと…………きっと。」
虹谷アヤ
「…………ええ。そうね。きっと…………。」
…………僕たちは卒業式が終わるまで、教室で待っていた。
そして…………。




