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265 偵察のち攻撃

 ――アリアたちが獅子軍団との共同訓練を開始してから、5日後。


 相変わらず、訓練場には強い日差しが降り注いでいる。

 そんな中、アリアたちの姿は木陰にあった。


「やっと、解放されましたわ! もう、今日は動きたくありませんの! 偵察は任せましたわよ、エドワード!」


「ふざけるな! 交代交代で監視をするハズだ! 疲れているのは、お前だけではない! しっかり働け!」


 当然、エドワードは拒否をする。


「あああああああ! もう、足が棒ですの! 毎日、毎日、重装甲騎兵に追われたせいですわ!」


「いや、毎日ではないだろう! 後半は、獅子軍団のことを待ち伏せして攻撃する訓練だっただろ? まぁ、足を動かすのには変わりがなかったがな!」


 さすがに、バスクも気を遣ってくれたようだ。

 重装甲騎兵とはいえ、馬は馬である。

 走って逃げ続けるのにも、限度はあった。


 もちろん、近衛騎士は、一般の兵士では相手にならないほど強い。

 脚力も、かなりある。

 ただ、人間には変わりはない。


 馬ほど、走れるワケがなかった。


「多少、マシとはいえ、疲れることには変わりありませんでしたわ! 普通の兵士より、圧倒的に強かったですの! 本気でやらないと、すぐにやられるほどでしたわ!」


 エレノアは、諦めない。

 余程、疲れているようであった。

 木によりかかったまま、動こうとしない。


「分かった! 昼間のエレノアの分は、僕がやっておく! 代わりに、夜の偵察は僕の分までやってもらうぞ!」


「もちろんですわ! それじゃ、頑張ってですの!」


 エレノアはそう言うなり、グースカいびきをかき始める。


「まぁ、こちらに迷惑がかからないのであれば、どうでも良いですが。ただ、眠っている姿を見ていると、腹が立ちますね」


 ステラはそう言うと、エレノアの周囲でガサゴソし出す。

 エレノアは、相当疲れていたのか、起きる気配がない。

 数分後には、アリアのもとにステラが戻ってくる。


「さぁ、行きましょうか」


 何事もなかったように、スタスタと歩き出す。


(……起きたら発動する系の罠かな、あれは? まぁ、宙吊りになるだけだろうし、大丈夫だろう)


 ステラが行ってしまった後、アリアも森の中へ消えていく。


 ほどなくして、『あああああああ! 何ですの、これは!? 絶対、ステラですわね! 帰って来たら、ボコボコにしてやりますの!』という声が、森の中に響くことになった。






 ――次の日の夜。


 昼間は遠くから防御陣地を偵察。

 夜は、防御陣地付近、あるいは防御陣地に侵入しての偵察。


 それなりというより、大体、どこに何があるのかは解明を終えていた。


「それじゃ、手筈通り、行きますか。正面は、エレノアさんとエドワードさんが引きつけてください。私を含め、残りの人たちは、防御陣地右翼から一気に突破します」


 アリアは、一応、確認の意味をこめて、言葉にする。

 少し離れた場所には、防御陣地があった。


 松明が焚かているワケではないが、夜に目が慣れており、うすぼんやりと見えている。


 残りの面々は、小さくうなずくと、すぐに行動を開始した。


 数分後、防御陣地正面が騒がしくなる。

 エレノアとエドワードが、陽動として暴れているようだ。


「そろそろ、行きますの」


 サラは、小さな声でつぶやく。

 と同時に、アリアたちは、防御陣地右翼に向かって突撃を開始する。

 声を上げずに、一気に肉薄していく。


(まぁ、正面は陽動だと思われているよな。エレノアさんとエドワードさんしかいないし。ただ、それに気づいたとして、どのような防備を敷くかが問題だ。主力の攻撃が来る方向を間違うと、大変なことになるからな)


 アリアたちは、塹壕やら備え付けられた鉄線やらを越え、木で構成された砦前まで到着していた。

 ここを抜ければ、防御陣地の中心部まで一直線である。


 何人かは入校生がいたが、まったく意味がなかった。


 状況によっては、近衛騎士数人で、1個小隊に匹敵する実力がある。

 もちろん、アリアたちも例に漏れない。

 ほぼ一瞬で、突破されてしまっていた。


「とりあえず、誰かが来るまで待ちますか? 本当だったら、矢と炎の魔法が飛んできていますし。そのせいで、もう少し突破には時間がかかるハズです」


 アリアの目の前には、立ちはだかる木の砦がある。

 ただ、昨日、偵察をした時に、すぐ壊せるよう細工をしていた。

 そのため、アリアたちが通るくらいの隙間は、すぐ開けられる状態だ。


「いや、それだと、入校生のためになりませんよ。実戦で敵は待ってくれませんから。乗りこんでしまいましょう」


「ワタクシも、ステラの意見に賛成ですわ。訓練で手を抜かないほうが良いですの」


 ステラとサラは、中々、厳しい。

 普段は優しい学級委員長三人組も、今回は攻めるのを支持していた。

 方針は決定である。


 アリアは脆くなった砦の一部分を蹴りで破壊すると、真っ先に内部に侵入していた。

 もちろん、ステラたちも、すぐに続く。


 その後は、かなり一方的な展開になってしまった。

 奇襲をモロに受けた入校生たち。


 混乱の中、真っ先に小隊長が倒され、その他の入校生たちも、各個撃破されてしまう。

 結果、30分も経たずに、防御陣地は陥落することになってしまった。


(まぁ、しょうがないよな。偵察をほとんど防げなかった段階で、守り切るのは厳しいよ)


 アリアの眼には、腕立てをさせられている入校生たちが映っていた。



 結局、最終的には、入校生たちによる防御は成功をする。

 攻撃がある度に、学習をした結果であった。


 ただ、これも攻撃の時と同じく、防御訓練の最終日になんとかという有様ではあった。

 だが、成功は成功である。


 これにて、2週間に渡る野外訓練は終了を迎えることになった。


(……やっと終わった。早くフカフカ……ではないけど、ベッドで寝たい。もう、体がボロボロだよ)


 アリアは、防御陣地の中心付近で喜んでいる入校生たちを見ている。


 120kmの行進訓練から、防御、獅子軍団との共同訓練、攻撃と、中々、盛りだくさんの訓練期間であった。


 入校生たちにとってもキツイ訓練であったが、それは補助教官も同様である。


 帰りの馬車に乗るなり、アリアたち補助教官は、すぐに寝てしまっていた。


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