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253 謎の剣士

 ――帝国通り。


 もう6月も終わるので、梅雨空は消え、日差しが眩しい。

 それに伴い、気温も上がっている状況だ。


 帝国通りは休日ということもあり、結構な賑わいだ。

 ミハルーグ帝国の軍人らしき人たちが、露店で何かを買ったり、昼から飲食店でお酒を飲んだりしている。


 そんな中、アリア、サラ、ステラ、エレノアの四人は、目的地に向かって歩いていた。


「……この暑い中、フードを被るのは、中々、キツイですわね。暑くて、溶けそうですの」


 サラは、顔の汗をぬぐっている。


 アリアたち四人は、労働者に見えるような私服を着ていた。

 ただ、サラとエレノアの場合、そこから一工夫が必要である。


 金髪の巻き髪と燃えるような赤髪は、目立つからであった。

 見るからに貴族なので、余計ないざこざを起こさないための配慮である。


「この際、私と同じくらいの長さにしては、どうですか? 結構、快適ですよ?」


 ステラの髪は、肩につくくらいの長さであった。

 長い金髪の巻き髪と比べれば、相当、短い。


「いやですわ! 金髪のクルクルはワタクシの命ですの! 切ったら、伸ばすのが大変ですわ!」


「いや、エバー使えば良くないですか? トランタ山から帰った後も、それで、すぐ髪は、元通りだったハズですよね?」


 エバーは、カレンによって栽培される薬草であった。

 髪を伸ばすのはもちろん、火傷、斬り傷、刺し傷。

 あらゆる種類の傷に効く薬草である。


 ただ、もちろん、乱用は禁物であった。

 使用容量を守る必要がある。


「あれ、絶対、危ないですわよ! エバーを貼って、次の日には髪が元通りでしたの! 有り得ませんわ! まだ発見されていない副作用とか、ありますわよ!」


 サラは、エバーを信じていないようだ。


(……まぁ、恐いと言えば、恐いよね。一般に流通している薬草とかではないし。ただ、効果は凄いよな。一般的な薬とかと比べても、段違いだよ。とはいえ、使い過ぎたら、マズいのは事実だからな。安全性は、微妙だ)


 アリアは、プリプリしているサラを見ていた。

 そんな中、もう一人のフードを被っていた人物は、我慢できなかったようだ。


「ああああああ! もう、無理ですの! 暑過ぎますわ! 髪もベタベタで我慢できませんの!」


 エレノアは、ガバッとフードを外す。

 中からは、汗だくの顔面が出現をする。

 もちろん、髪も、服から出していた。


「うるさいですよ、エレノア。目立って、どうするのですか? 余計ないざこざが起きたら、エレノアのせいですよ?」


「知りませんわよ、そんなこと! 絡んでくる奴がいたら、ボコせば良いだけですの!」


 エレノアは、長袖の腕をまくっている。

 もう、色々と限界のようだ。


「……もう、隠している意味がありませんの。というか、そもそも、この暑さでフードを被って、長袖を着ているほうが、おかしいですわよ」


 サラは、エレノアと同様の行動をしていた。

 当然、目立っている。


 だが、エレノアが、訳の分からないことを叫んでいるので、誰も近づこうとはしなかった。


『なんかヤバい奴が叫んでいる……』


 みたいな感じで、アリアたち一行は避けられているのが現状だ。


(……とりあえず、早く、エレノアさんの言っていた人のところに行こう。さっさと終わらせて、どこか、お店に入ったほうが良い。少なくとも、直射日光には当たらないからな)


 アリアは、汗が噴き出るのを感じていた。

 色んな意味で。






 ――数分後。


 帝国通りから裏道に入るアリアたち一行。

 すぐに、少し開けた場所に到着する。

 建物の林立する場所に、ポッカリできた土地のようだ。


 そこでは、現在進行形で、戦いが繰り広げられていた。

 野次馬も、それなりに多いようだ。


「くっ! 何だ、こいつは!? 強い!」


 大柄な男性は、木剣を上段から振るう。

 筋力と相まって、それなりの速度で迫る。

 だが、スルリと半身で避けていた。


 その後、返しの剣で、大柄な男性の剣を弾き飛ばす。


「……本当に何者だ? まぁ、負けは負けだ! 5千ゴールド持っていけ!」


 大柄な男性は、財布から5千ゴールド紙幣を一枚取り出すと、箱の中に入れた。

 そんな箱の近くには、立て札が存在する。


 どうやら、ルールの取り決めが書かれているようだ。



 一振りでも当てるか、木剣を弾き飛ばせば、10万ゴールド!

 挑戦には、たった5千ゴールド!

 勝てば、5千ゴールドも返金します!


 挑戦者、求む!



 などと書かれていた。


(結構、条件は有利だな。一振りでも当てれば、10万ゴールドだろう? まぐれでも当たりそうな気がするけど。ただ、箱の中に入っている紙幣から考えると、それも難しいのかな?)


 アリアは、チラッと箱の中を確認する。

 もう、数えきれないくらいの5千ゴールド紙幣が入っているようだ。


「髪型的に女性だとは思いますけど。ただ、仮面で隠れているので、素性は分かりませんね」


 木剣を持っている女性らしき人を、ステラは観察していた。


「声も出さないみたいですの。身振り手振りで、指示していますわ」


 サラは、不思議そうに、仮面の女性剣士を見ている。


 今も、新たな挑戦者に向かって、木剣を構えていた。

 いつ攻撃しても、大丈夫という合図である。


(普通に動きを見ている感じ強そうだけど。エレノアさん、勝てるのかな?)


 エレノアの順番を待っている間、アリアは注意深く観察していた。


 周りの野次馬は、戦いに集中しており、アリアたち一行には興味がないようだ。

 歓声を上げたり、応援をしたりしている。


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