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敢えて街道を避けて移動する事一時間。完全に人気が無い事を確認した俺は皆に停止の声を掛けた。
「ここらで良いだろう」
俺の言葉を聞いて嬉しそうな顔をしているのはサライだった。今までに何度か背に乗せる機会が有ったのだが、その度に大興奮している。どうやらサライはスピード狂の気があるようだ。初めに乗せた時は「神であり、師匠であるケイゴさんを移動の手段として背に乗る訳にはいきません」と頑なに断っていたのに……今では当たり前の様に背に乗るようになったんだよな。
ヤーマッカだけは相変わらず少し遠慮気味だが、それでも必要な事と割り切っているようだ。
千香華は……言うまでもないな。
今回は三人乗せるし、長旅になるだろうから少し大きめになるか……実は最近になって気付いたのだが、ある程度だが大きさを変化させる事が出来る様になっていた。普段は体長三メートル程だが、今回は体長五メートル位の大きさの狼の姿だ。
狼が本来の姿だが、大きさはどれ程が本来のものなのだろうか? 考えても仕方が無いとは言え、気になってしまうよな。
大きさが変えられるようになった事に伴い、もう一つ出来る様になった事があるのだが、それは今はいいだろう。
「うおおおっ! でっけぇ!」
サライが驚きの声を上げる。そりゃそうだ……百九十センチ近く身長があるサライの二倍以上の体高だ。やろうと思えば一飲みにすることさえ出来るだろう。最早飛び乗る事すら辛い高さである為、俺は伏せの体勢になって声を掛けた。
「さっさと乗れ、日が暮れてしまうぞ?」
そう言ってニヤリと笑うと千香華以外の二人が戦々兢々(せんせんきょうきょう)とした表情を見せる。なんだよ……別にとって食おうとか考えてないぞ? 相変わらず俺は笑顔が下手らしい。
◇
今回は円環街道からあまり離れないで移動する事にした。ゲーレンからモルデカイに移動した時は、中心部に近い砂漠辺りを通ったのだが、今回はサライも居る事だしあまり厳しい環境は避ける事にしたのだ。
それに円環街道沿いならば宿場町みたいなものがある為、休憩する場所に事欠かない。とは言っても俺以外は常に休憩しているようなものだがな……。
街道沿いを行く一番のメリットは魔物の襲撃が少ないって事なのだが、姿は千香華が【嘘と欺瞞の衣】で常に覆って見えないし、走る俺に追いすがれる魔物なんてそうそう居ないから特に意味は無いかもしれない。例え襲われても問題なく撃退できるしな。
因みに現在の能力を【看破】で見たらこうなっていた。
名 前:村瀬圭吾
種 族:狼神(黒狼)
職 業:イデアノテ創造神
叙事詩世界神(派遣)
荒神
獣神
黒神神社の祭神
生命力:極大
理 力:小
腕 力:極大
脚 力:極大
耐久力:大
持久力:大
敏捷性:大
瞬発力:極大
器用度:中
知 力:大
精神力:小
技 能:我流格闘術
自己再生(極大)
並列思考
集中思考
荒神の咆哮(極大)
技術習得向上“模倣+最適化+効率化”
狂暴化
超嗅覚
事象干渉(物理)
理術
看破
能力改竄
その他多数
状 態:良好
能力の低下も無くなり、信仰も集めている為か能力にブーストが掛かっているような気がする。勿論これは【能力改竄】で誤魔化して無い能力だ。普段は誰に【看破】されても問題ないように低めの能力にしてある。無論職業も冒険者ギルド所属の冒険者ってなっている。
名 前:服部千香華
種 族:猫女神
職 業:イデアノテ創造神
叙事詩世界神(派遣)
技巧神
狡知神
ロキの弟子
黒神神社の祭神
生命力:中
理 力:極大
腕 力:極小
脚 力:大
耐久力:小
持久力:中
敏捷性:極大
瞬発力:大
器用度:極大
知 力:大
精神力:極大
技 能:完全模倣
完全隠蔽
危険察知
技術習得向上“模倣+最適化+効率化”
嘘と欺瞞の衣
精神異常耐性(極大)
回避能力向上(極大)
潜伏
理術
看破
偽装
その他多数
状 態:良好
千香華はあんまり変わっていないな。元々チート能力を保ったままだったしなぁ。千香華も俺と同じく普段は能力を低く【偽装】している。
名 前:ヤーマッカ
種 族:神造魔人
職 業:創造神の執事
生命力:極大
理 力:極大
腕 力:極大
脚 力:極大
耐久力:小
持久力:極大
敏捷性:極大
瞬発力:極大
器用度:大
知 力:大
精神力:極大
技 能:礼儀作法
執事の嗜み
格闘術
家事全能
身体能力強化
身体細分化
自己増殖(極大)
形状変化
事象干渉(理)
看破
理術
能力改竄
状 態:良好
群体
なんと言えばいいのか……能力を見る限りは俺達よりも強い。まあ、極大表記でも幅がありすぎるから実際はそんな事無いのだが……例えば基準値を一万としてこれが俺の敏捷性だとすると、千香華は一万二千、ヤーマッカが五千といった所だろうか? 明確な数値とかは表示出来ないので、大まかにしか解らない。
それを考えてもこれは強すぎるだろ? 種族の神造魔人も職業の創造神の執事も持っている技能も人に見られると完全にアウトだ。ヤーマッカには【能力改竄】を授けて能力を誤魔化して貰っている。
理術についてなのだが、魔物であっても“この世界に生まれた者”なので理術が使えるようになるようだ。なんにしても完全に人外になってしまったヤーマッカは、この世界を単独で支配可能な能力を持っている。本人は俺達の足手纏いにならなくて済む力が手に入った事だけを喜んでおり、支配とか微塵にも考えていない所がこの世界にとって救いだろう。
名 前:サライ
種 族:寅人
職 業:モルデカイ冒険者ギルド支部 三段冒険者
戦士
湯幻郷冒険者ギルド出張所所長
生命力:大
理 力:中
腕 力:大
脚 力:極大
耐久力:大
持久力:大
敏捷性:大
瞬発力:極大
器用度:中
知 力:中
精神力:中
技 能:剣術
格闘術
短剣術
身体能力強化
咆哮(中)
礼儀作法
事象干渉(理)
看破
理術
薙刀術
状 態:良好
能力ブースト(武器)
サライは三段冒険者になった。能力も大幅に上昇しているのは、アドルフから受け継いだ青龍偃月刀に身体能力を向上する効果があった為だ。俺を含めた人外三人からすれば劣って見えるが、人としては上位の戦闘力を有していると言っても過言ではない。
こんな過剰戦力四人の旅路に問題なんて起きる訳も無く順調に旅は進んだ。各所で休憩という名の観光等をしながらだった為か、当初の予定よりも少し時間が掛かってしまったが、それでも約二ヶ月で冒険者の町ゲーレンに到着した。




