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皇帝陛下の不採算な溺愛~転生コンサル、契約外の執着で定時に帰れません!~  作者: 深山 凛
第1部『隠れ家の監査役』

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契約終了、あるいは終身雇用の誓印

初ブックマークいただきました!ありがとうございます(*^^*)

すぅ、すぅ……。


肺の奥から漏れる、寄せては返す波打ち際のような穏やかな律動。

腕の中に沈み込むのは、逃げ場を失い、熱を帯びた「柔らかな質量」。


「……ふっ、隙だらけだな」


俺は彼女の背中を、折れぬよう慎重に支えたまま、その黒髪へと指を滑らせた。

髪筋の中に、一箇所だけ冷たい月光を固定したように青白く発光する塊がある。



羊脂白玉(ようしはくぎょく)



この帝国の頂において、龍の隣に座る者のみに許された、至宝という名の(くさび)


彼女はこれを、単なる報酬として受理した。

だが、明日。これを頭上に掲げて宴の場に現れた瞬間、彼女という存在は「皇帝の女」として全臣下の網膜に再定義される。


「契約終了、だと?」


独り言が龍脳(りゅうのう)の香りに混じり、彼女の耳朶を熱くかすめる。

俺は、無防備に(さら)された彼女の額に、血肉を分かつ誓印(せいいん)を刻みつけるように唇を押し沈めた。


熱い。


彼女の体温が、長年の孤独で凍てついていた俺の芯を、音を立てて融解させていく。


「残念だったな、林鈴(リン・リン)。……これは契約満了ではない」


窓の格子越しに、黎明の青い光が侵食してくる。

夜禁が明け、彼女が忌み嫌う「公務」という名の重力が戻りつつあった。


「『永久就職』だ。……死ぬまで、俺のそばで働いてもらうぞ」


俺は彼女を抱き上げ、寝台の重厚な沈香(じんこう)の香りの中へと横たえた。

彼女は無意識の生存本能か、俺の赭黄(しゃこう)の袖を、指先が白くなるほど強く掴んだ。


その感触は、どんな羊皮紙の署名よりも重く、俺の魂を繋ぎ止める。


冬冬(トントン)――。


遠く、朝の街鼓(がいこ)が、腹の底に響く地鳴りとなって鳴り始めた。

檻が開く音。


俺が支配し、お前が管理する。

二人で歩む、終わりのない覇道の幕開けを告げる、凱旋の光だった。

読んでいただきありがとうございます!

もしよろしければ、「リアクション」や「ご感想」をいただけると嬉しいです。


また明日[19:00]にお会いしましょう。

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