16話 魔弾
深夜テンションで書いていたら少し長くなってしまいました。反省してません。
爆発音を聞いた調査隊は現場へと急行していた。
隊長であるジョン・スミスは走りながら、固有スキル:観察者の権能の1つである、魔眼:遠方視を発動した。
「おいおい…マジかよ…」
「ど、どうしましたぁ…はぁ…はぁ…」
「はははっ俺の速さについて来れないのか妹よ!!ちょっ魔弾飛ばしてくんな!」
「わぁ、私は妹じゃないです!はぁ、後続が追いついて…ないので…少し…はぁ、速度を…」
「わーったからその誤解されるような言い方やめろ貧乳…とか言ったの悪かったからデカイ魔弾作らないでくれますかねぇっ…ほら!速度落としたから!しまえよその魔弾!!」
すると突然、女は立ち止まった。
隊長も部下もつられて立ち止まる。
「まさか…お前…」
彼女は輝くような笑みを浮かべ、こう答えた。
「こっちに来てから、私たちは、様々な困難を乗り越えてきましたね。
こんな事言うのもなんですが、今までありがとうございました。
これからも、一緒にいてくれますか、先輩?」
その言葉に部下たちはジリジリと後退りを始める。
隊長は普段の彼とは思えないような輝く笑みと共にこう答えた。
「美沙…お前との冒険は楽しかったぞ。」
そう言って彼は…彼は…
回れ右をして走り出した。
「ああああああああぁぁぁっっ!待って!!ねぇ待って!あぁ!みんな待ってください!!」
「こっち来んな!今までありがとう言ったろ!こっちこそありがとう!じゃあまた来世!!」
「副隊長!ここは犠牲になるのは1人の方がいい!!直ちに別方向へ向いてください!」
「嫌です嫌です嫌です!どうせ死ぬなら一緒に死にたいでs…あっ」
彼女は木の根に躓いた。それを聞き隊長は瞬時に部下へと指示を出す。
「総員、横に散れ!」
「「「「はっ」」」」
横へと避けた直後に、さっきまで彼らがいた所を超大魔弾が通過した。
魔弾はそのまま直進していく。
その場は静寂に包まれる。
とある部下が呆然と呟いた。
「その方向には、何がいたのですか?」
男は壊れたように笑い、ポツリと答えた。
「はは…はは…紅悪魔。」
部下たちと隊長は呆然と座り込む魔法発動者を見た。
彼女は何かブツブツ言っている。
読唇術で瞬時に何をしているのか分かった隊長は頭をガシッと掴んだ。
「おい。」
「はい。」
「ぬぁあに、ちゃっかりテレポート唱えようとしてんの?」
「…」
「…」
彼の無言の威圧が加害者に襲う中、魔弾の衝撃音が響く。
しかし、空を見ていた部下の1人が呟いた。
「え?…あれ、魔弾じゃね?」
「「「「「…はぇ?」」」」」
上を見ると、彼女が放ったはずの巨大な魔弾が自分たちが来た方向、連合王国へと飛んでいっていた。
男は襟首を掴み、術者を無理やり立たせ、叱責した。
「何してくれてんだ美沙ぁぁっ!!」
「ひいいいっ」
部下たちは耳を塞いだ。
「魔弾はね返されたよ!魔弾はね返されたよ!しかも国の方に飛んでったよ!!どうしてくれやがりますか副隊長殿!!」
「いいじゃないですか!天誅ですよ天誅!!あの国にはゲンコが1発必要だったんでああごめんなさい謝るから髪引っ張らないでぇ!!」
いきなり、彼女の黒髪を引っ張った状態で彼の動きが止まった。彼の魔眼も蒼く輝いている。
「どうしました?あと考えるなら手ぇ離してください。意外にこれ痛いので。」
「追っ手が追ってきた」
彼は極めて冷静な声色でシヴェリアも凌駕する寒さの洒落をほざいた。
「どうしたんですか、こんな時に。まだ夏では無いのでそういうのはやめてくださああああああああぁぁぁっ」
彼は副隊長の髪を引っ張ったまま魔弾が跳ね返された方向へと走り出した。やっと追っ手に気付いた部下も後を追う。
「痛い痛い痛い!自分で走りますからもう離してください!!」
そういいつつ彼の表情を伺うと、彼は心から恐怖している時の顔になっていると分かった。
そして静かに手を離してくれる。
「それで、何が起こったのですか?」
「聞こえなかったか?追っ手が追ってきたつってんだよ!」
「あの別に面白くないので繰り返さなくてもいいですよ?」
「は?何言って…あ!確かに駄洒落だが関係ねぇ!そのままの意味だよ!来てんのよ!」
「そんな気配はしませんがね。」
「うわっ」
「いでぇっ」
「あっ(金的)」
副隊長がそう言った直後、部下3人が足とたいせつなものに矢を受け倒された。
「えっ」
「ぬわぁぁっ」
「あぁぁっ」
驚くのも束の間、また2人が突然来た突風に転ばされる。
犠牲者5人を出してやっと彼女は理解した。
絶体絶命であると。
「どどどどうしましょう!」
「今更かよ!うおっとっとっ…」
彼ら2人の前には長い金髪の剣を携えた女性が待ち伏せるかのように立っていた。
「ご安心を。殺すことは禁じられていますから。大人しく捕まるのが最適解ですよ。」
営業スマイルのまま彼女は言ってくる。
副隊長はそれを鼻で笑い、剣を構えつつこう返す。
「ふっ…私たちはそれで大人しく降参するほど、チョロい人間じゃあ無いのですよ。隊長も何か言ってやってくだあれ先輩?」
隊長は武器を下に置き、それはそれは真っ直ぐに手を挙げていた。
そんな彼に苦笑しながらサイドポニーの少女がその手を降ろさせ、縄で手を結ぶ。
「恐ろしく早い降伏、私ちょっと幻滅しました…」
副隊長に弓を構えたままのポニーテールの少女は少し悲しそうな顔をした。
それに苦笑しつつ彼は答える。
「いやいやお嬢さん。その方が無駄な血流さんで済むでしょう?…てか戦いたかったの?」
「ええ。強さの格が違うのは見て分かりますので。」
「そっか、なんかごめんね?」
「いえ…仕事ですので。」
そんな気まずい雰囲気をぶち壊すかのように、やっと我に返った副隊長は怒った。
「ちょっとちょっとちょっと!!何簡単に降参しているんですか!それでも男ですか!!」
「都合の悪い時にジェンダー使うのは良くないぞ。ツイ○ターで学ばなかったのか?」
「ふざけるのは後でお願いします!早くなんでもいいので『ん?』抵抗してください!その間に助けますから。って!変なところで反応しないでください!」
その声に男はニヤリと笑った。
警戒し、3人の女は術式の用意をする。
そして、彼は言い放った。
「魔弾打ったのこの女だし、しかも俺ら巻き込まれそうになっただけなので助けてくださーい( 棒 )」
「「「「…はぇ?」」」」
皆呆然とする中、金髪ツインテールに連れられ、いつのまにか戻っていた部下たち"4人"は顔を見合せ頷き、同調した。
「死ぬかと思いましたー(棒)」
「魔弾持って走ってきましたー(棒)」
「一緒に死のとか言ってきましたー(棒)」
「じょ、冗談抜きで、怖かったっす(ガチ)」
その光景に耐えられずサイドポニーは笑い声を漏らしてしまう。
他金髪3名も口を抑えて震えていた。
しかし、4人とも鋭い目で副隊長を睨んでいる。
「…えっと…いや…待って??」
仲間に叱責しようとするよりも早く、恐怖が襲ってきてしまう。そんな中、金髪をまとめていない剣を携えた女性が呟いた。
「殺すなとは言われましたので、死なない程度に痛めつけましょうかねぇ…ふふふふ」
その声に副隊長は気を失った。
しかし、金髪ロングは痛めつけることはなく、気絶した副隊長の手を縄で縛り、王子様のように彼女を横抱きした。
地獄を見ることになると思っていた調査隊5人は天国を見た。
隊長が笑いながら言う。
「痛めつけるんじゃあなかったのかよ。」
「1度でいいから言ってみたかったんです。」
彼女はイタズラっ子のように笑い、舌を出した。
「そ、そうかい。」
あまりの破壊力に一瞬見とれてしまい、気まずく目を逸らす童貞であった。
そんな彼に気付かず、金髪ツインテールは
「さぁ、行きますよ、スミレ様がお待ちです。」
と言うと、先程から唱えていた術式を発動させた。
「テレポート!」
隊長副隊長のやり取り描いてて楽しいです。
吸血姫も描き始めたのでよろしくお願いいたします。
投稿頻度は不定期です。




