13話 召喚
すみません、モチベーション大幅に低下しておりました。次の回の投稿もまた先になるかもしれません。
目が覚めても同じ景色が見える。
「本当に夢じゃないんだな。」
そう独り言をこぼし、俺は起き上がり、大きく深呼吸を1つ。心地よい空気が体に流れ込んでくる。
日はまだ浅く、誰も起きていなかった。俺は1人、川へと歩く。水の音を頼りにすれば余裕で行けるな。
川を見て自然と言葉が零れる。
「綺麗だ。」
家族で山登りをしていた時に見た川のような感じがした。俺は、毒云々を確認しないまま、水を手ですくい口へと運んだ。
その冷たい水が体に染み渡っていった。
「ああ...うまいな...」
俺は立ち上がって鎧についた土を払う。鎧のまま寝てしまったからな。...その下ってどうなってんだ...
周りを見渡して誰もいないことを確認して装備を外した。
「なんじゃこりゃ...」
俺が着ていたのは死んだ時に着ていた学校の制服だった。しかし、血痕はない。
どういう意味かは分からんが、これが1番しっくりくるな...家でも制服のまま過ごす事が多かったし。
「見たことない服です...無名称武具!?...」
「...はぇ?」
そこには片目を青くしたステンノの姿があった。俺が視線を向けるとビクッと反応して頭を下げ始めた。
「ああ!お邪魔して申し訳ございませんでした!」
「おう、いつから見てたかだけは聞かせてもらおう、それで許す。」
「スミレ様がお目覚めになった時から...」
「ストーカーめ。」
気付かなかった...てか今考えると、水飲む時に彼女が突っ込まなかったってことは毒のないものだという証明になるのか?うーん...
「すとおかあが何か分かりませんが馬鹿にされたような気がします。」
「気にすんな。」
そう言いつつズボンのポケットに手を突っ込んだ時、何度も触ったあの通信機器のような感覚がきた。
それを取り出してみると明らかにアレだった。
アレだったのはいいが、ひび割れが酷く、中の配線も丸出しで、使い物にならなそうであった。
「ま、事故にあったからな...あの勢いで壊れてないはずがなかろう...」
俺はポケットに戻そうとした時、ステンノが目を輝かせて近づいてきた。
「なんですか!それは!神器ですか!神器ですかぁ!」
「なんじゃいきなりぃ!」
片目の魔眼をより一層輝かせている。近づくなよ...かわいい。
「なんの結果も出ません!こんなの初めてです!」
「調べんな調べんな!親の形見だ!」
それを聞いた途端、彼女の顔が急に青くなった。
「...すみません...興奮しすぎました...」
「いや、いいんだ。」
これは父が使っていたアレを父が全データ消して譲ってくれたものだ。
一応形見に値するのか?まぁどうでもいい。もう使えないのだからな。
だが、取っておこう。素材として役に立つかもしれん。
俺はポケットにしまい、装備を付け始める。上手くつけることが出来ない。こんなのコミケのコスプレ体験でしか着たことないからな...
「お手伝いしましょうか?」
「ああ、ありがとう、メドゥシアナ。」
「いえいえ。」
「...って!お前も来てたのかよ!」
まさかお前もストーカーをして...
しかし、メドゥシアナは首を振った。
「川を渡り、森の深くへ行ったところで剣の修行をしておりました。無断での行動をお許しください...」
「いいさ、別に。あまり行動制限は設けないつもりだしな。もともと、自由に生きて欲しかったってのもあるけど。」
「ありがとうございます...」
このような会話の中で着々と装備して、思ったより早く終わった。
「よし、ありがとな、メドゥシアナ。」
「配下として当然のことをしたまでです。」
「そうかい。」
そう言いつつ、弟にいつもしている感覚で頭を撫でてしまった。
「あっ、済まない!つい癖で!」
「大丈夫です!ご褒美です!」
心配とは裏腹にメドゥシアナは、満面の笑みをしていた。眩しっ...
逆に、ステンノはメドゥシアナに嫉妬の目を向けていた。分かりやすっ...
「ふわぁ...おや、スミレ様、おはようございます。」
「おはよう、ミナ...!?」
「「あっちゃぁ...」」
声はミナだ。一日で忘れるほど俺はボケてない。だが疑ってしまう。髪がボサボサで衣服も乱れてへそが見えてしまっている女から声がしたからだ。
問題が起こりそうだという予感がして、彼女(?)から目を逸らしたままこう言った。
「とりあえず、身だしなみを整えてからまた来てくれないか...」
「...はぇ?...あぁ!?す、すみませぇぇん!」
彼女は野宿した場所へと走っていった。
「姉が申し訳ございません...」
「き、気にすんな...」
「ミナ姉の寝相は酷く悪くて、あのハゲも被害に遭わないように端っこで寝てたくらいです...」
「ほう、そんでシムの寝相はどうだったのか?」
ステンノは一瞬考えるような仕草をしてこう答えた。
「動きませんでした。ずっと死んだように眠ってましたよ、エウ姉とは違っていびきもかかずに。」
「ふーん、意外だな...!」
「どうしました?」
後ろに弓を構えた本人が現れていた。
「スミレ様?ステンノとお話がしたいので少しよろしいでしょうか?」
「Σ(゜Д゜)ヒッ...エウ姉!?」
満面の笑みで聞いてきた。こわい。
「優しくな?くれぐれも優しくな?」
「はい、ありがとうございます。」
「ちょっ!スミレ様!見捨てないでくださ...」
「スミレ様に汚れがつかないように離れましょうね?」
「待って!許して!お慈悲をぉぉぉ..」
手を伸ばしてくる。...巻き込まれたくねえ。
俺はクルリと振り向いた。
「そんなああああああああぁぁぁ...」
後ろで悲鳴が響いた。
静かに彼女を想い、手を合わせていた時、ミナが戻ってきた。
「ただいま戻りました...先程は失礼致しました...」
「...あ、うん。」
見られたくないのを見られたのか凄いショックそう...
「あ、あの二人はまだ起きてないのか?」
「ユタ様とソル様ですね。彼女らはまだお休みになられてます。」
「なるほど。」
そろそろ行こうと思っていたのだが...まあいい、会ったばかりのどこの馬の骨か分からんやつと一緒に冒険するのは苦痛だろう。
え?ミナ達?...どうなんだろ。
...裏切られるかな...親分の敵〜的なで
そんなことを思いつつ、野宿した場所へ全員で戻った。
荷物を整理し、出発しようとした時、右足を掴まれた。
「...はぇ?」
「シムの首の金、分けてくださるのでしょう?」
「...ソンナヤクソクシタカナー(棒)」
「あなたの首も金にしてあげましょうか?」
「分かったわ!このサイコパスがぁ!」
「サイッ...またですか貴方は!?」
そう言いつつ起き上がったソルは準備万端だった。ありゃ、片方は...
「ユタはどうした。」
「まだ寝ています。」
「待たんぞ?」
「狩りますよ?」
「はい、待ちます。」
「よろしい。」
こええ...何人も殺してきたような目をしやがった...
俺は待っている間、特にやることがないので、川の水を飲みに行こうと思い歩き始めたら、ミナが追いかけてきた。
そうだ、ミナといえば。
「時間はまだありそうだし、闇魔法の召喚とやらを、教えてくれないか?」
「ええ、いいですよ。」
川の近くにある砂利の開けた場所に、ミナは懐から出した石灰---あの形、多分チョークだな---で円を描き、中に綺麗な星型を描いた。
「ザ・魔法陣って感じだな...」
「?...なにか?」
「なんでもないさ、説明してくれ。」
「はい。両手をかざして、召喚と言うだけです。」
「そ、そんなんでいいのか?」
簡単じゃん、と思った束の間。
「はい。でも、召喚されたのを怒って襲ってくる場合もあるようで...」
「怖いこと言うなよ...」
マジかよ...気軽にやるもんじゃねえな...
まあいい、やってやろうじゃねえか!
「召喚」
魔法陣に向けて叫んだ後、謎の突風が吹いてきて、近くの木まで飛ばされた。
「ぐあっ...」
「スミレ様!?」
いててぇ...最初のダメージがこれかよ...
「大丈夫ですk...うわあっ」
「ちょっミナっ!?」
風はまだ吹いていたようで、ミナが俺の方へ飛ばされていった。柔らかいものが胸板に当たる。
彼女いない歴=年齢の俺にとっちゃこれだけでご褒美じゃあっ
なんて馬鹿なこと考えている暇はない。寄りかかっている木から嫌な音が聞こえてくる。ミナは俺の事を強く抱き締めてきた。木がまた更に嫌なメキメキという音を鳴らす。木よ、お前もリア充爆発派か...
とか考えているうちに風がおさまった。
ミナはまだ俺の事を抱きしめている。俺は離そうとしたが、ミナはカタカタ震えていたので、離れるまで待つことにした。
いや、決してこの感触をずっと味わってたいと思った訳じゃなくてだな?
どうしようどうしようどうしようどうしよう...
私は正気に戻ったが、恥ずかしすぎて顔を見せることが出来なかった。体の震えが止まらない。配下に加えて貰ったのに最初から迷惑をかけてどうするのよ私ぃぃぃいっ!
という2人の思考は近くの爆発音で停止した。
「「...はぇ?」」
俺が寄っかかってる木の隣にあったのが、消し飛んでいる。そういえば、召喚したものをずっと無視してたな...
俺とミナは顔を見合わせて頷いて、ゆっくりと魔法陣があった方を見ると、そこには、殺意の目をしている赤髪の悪魔がそこにいた。
「ギャアアアアアアア」
ミナは解読不能な悲鳴を出して俺から離れ、戦闘態勢になった。
「なんていうものを召喚させているのですか!?あれは悪魔の中でも上位の上位、紅悪魔ですよ!」
「マジかよ...ああもう!」
俺は剣を抜き、正面に構えた。
今度こそ、死んだな...父さん、弟よ、ごめんな。
「ええいままよ!おりゃぁぁぁっ!」
「スミレ様!行ってはなりません!」
配下を振り切り、怒りに燃える悪魔に向けて、剣を振った。
しかし、悪魔はその手でその剣を止めてみせた。あ、死んだわ。
俺は満面の笑みを浮かべた。狩られる首は笑顔の方が印象良さそうだしな。あははははは。
あれ?いつまで経っても死は訪れない。ふいに悪魔の顔を見ると、号泣していた。なんでやっ...
俺は少し離れて、剣を構え直す。
すると、悪魔が語りかけてきた。
「その剣の構え方...懐かしい...顔を見た時点で気付くべきだったんだ。」
「...どういう意味だ。」
彼は静かに話し始めた。
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