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伯爵令嬢の星時計~婚約破棄されても泣かなかったけれど、なぜか無愛想な職人にだけ甘いわ~  作者: 森凛
第一部 割れた星時計

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3/11

第3話 坂の下の馬車

 黒塗りの馬車の扉が開くと、まず磨き上げられた靴が石畳を踏んだ。


 続いて降りてきたのは、灰色の髪をきっちりと撫でつけた男だった。黒い上着は襟元まで隙なく留められ、手袋にも皺一つない。昨夜の夜会で、大広間の隅から招待客の動きを見ていた顔だ。グランツ侯爵家の執事長で、何度かご挨拶をしたことがある。


 男は馬車の扉を閉める前に御者へ何か言いつけると、こちらへ向き直った。坂の下から私の立つ青い扉まで、そう遠くはない。けれど彼は急ごうとせず、一歩ずつ石畳を確かめるように上ってくる。


 春の陽射しが斜めに差し、道端の石の隙間に生えた若草を照らしていた。少し前まで聞こえていた金槌の音は、いつの間にか止んでいる。向かいの工房の窓が開く音まで、妙にはっきりと聞こえた。


 私は胸元の星時計を外套の上から押さえた。布越しに触れる銀の形は、さっき工房で確かめたままだ。ひびの入った蓋も、光を失った三つの石も、その内側にある。


 工房へ引き返して扉を閉めれば、目の前の男からは逃げられる。けれど、それでは明日も明後日も、同じ馬車がこの坂で待っているだろう。こちらへ上ってくる理由は、今朝の書状を読んだ時点で分かっていた。


 私は一度だけ青い扉を振り返った。カイさんに声をかけるべきだろうか。修理を引き受けてもらったばかりなのに、貴族同士の揉め事まで持ち込むのは申し訳ない。そう思い直して、扉の前で男を待つことにした。


「エルフォード伯爵令嬢。このような場所でお目にかかるとは、驚きました」


 執事長は坂を上り切ると、上着の裾を整えて丁寧に一礼した。少しも息を乱していない。昨夜の大広間で見たときと、まったく同じ落ち着いた顔だった。


「ごきげんよう。今朝は屋敷のほうにもお越しいただいたそうで、お手数をおかけしました」


「とんでもございません。昼前にお伺いしたところ、お出かけとのことでしたので、こちらへ参りました。侯爵閣下より、直接お渡しするよう仰せつかっております」


 私は笑顔を保ったまま、手袋の中で指をそろえた。


 屋敷を出るとき、ハロルドにも行き先は伝えていない。執事長がこの工房へ迷わず来られたのなら、私が門を出たところから後をつけていたのだろう。辻馬車を降りるところも、坂を上るところも、ずっと見られていたのかもしれない。


 今朝、返事を書かなかったことも、どうやら予想されていたらしい。そこまで手際がよいと、感心するより先に気味が悪くなった。


 執事長の目が、私の胸元へ一度だけ落ちた。外套の布は厚いけれど、その下に何があるか知っている人には、隠しようがない。


「侯爵閣下からの書状は、お読みいただけましたでしょうか。星時計は当家でお預かりし、責任を持って修理いたします。職人も道具も揃っておりますし、費用は一切頂戴いたしません。どうぞ、ご安心ください」


 声は穏やかで、言葉の一つ一つも申し分なく丁寧だった。けれど、私が差し出すのを断るとは、考えていないように聞こえた。


「ご厚意に感謝いたします。ただ、せっかくのお申し出ですが、星時計をお預けすることはできません。修理はすでに、こちらの職人にお願いしておりますので」


「差し支えなければ、理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」


 私は思わず、執事長の顔を見た。


 昨夜の大広間で、婚約を破棄すると告げられた私が、ユリウス様に尋ねたのと同じ言葉だ。


「この時計は、亡くなった母の形見です。母が生前、私の手に直接渡してくれたものでございます。屋敷の者も、皆そのことを知っております」


「もちろん承知しております。そのうえで、婚約の印としてグランツ家に――」


「恐れ入ります。ひとつ、日付を確認させていただけますか」


 話を遮るのは礼儀に反するけれど、最後まで聞けば、また同じ説明が繰り返される気がした。私はなるべく柔らかな声で続けた。


「母が亡くなったのは、私が八つのときです。ユリウス様との婚約が決まったのは、私が十二のときでした。こちらの二つについては、相違ございませんでしょうか」


 執事長はほんの少し眉を寄せた。確認された数字の意味を考えているらしく、すぐには答えない。


「……ええ。おっしゃるとおりでございます」


「でしたら、亡くなった母が四年後の婚約を見越して、この時計を婚約の印にすると決めておいたことになりますね。ずいぶんと気の早い母親だと思いませんか」


 坂の上のほうで、ぷっと誰かが吹き出した。


 顔を向けると、向かいの工房の窓から、前掛け姿の男が身を乗り出している。その隣の窓には別の工房の人が二人並び、坂の下ではパン屋の女の子が母親の陰からこちらを見上げていた。先ほどまで工具を打つ音がしていた建物でも、開いた窓の向こうに人影がある。


 いつの間にか、坂じゅうがこちらを見物していたらしい。


 私は少し困ってしまった。誰かに聞かせるつもりで言ったわけではないし、母の話を笑われるのも本意ではない。それでも、目の前の執事長が一度だけ言葉を失ったことには、正直ほっとしていた。


 執事長は小さく咳払いをすると、周囲を見回してから声を落とした。


「お嬢様。閣下は、ことを荒立てたいわけではございません。昨夜の一件で、お嬢様のお立場も難しくなられたことでしょう。ここで閣下のご厚意をお受けになるのが、エルフォード家のためかと存じます」


 私は胸元を押さえていた手を下ろした。今の言葉には、時計を修理する話だけでは済まないものが含まれている気がした。


「それに、伯爵令嬢がお一人で下町をお歩きになっていたと知れれば、社交界の方々が何とおっしゃるか。昨夜のお噂も、すでに広まっておりますので」


 丁寧に包んであるだけで、これは脅しだ。星時計を渡さなければ、今度は私の評判を持ち出すつもりなのだろう。


 それを聞いた途端、昨夜の大広間が頭に浮かんだ。薄桃色のドレス、ユリウス様の声、いっせいに向けられた視線。思い出しただけで、手袋の指先が冷たくなっていく。


 怖くないわけではない。けれど、あの夜に婚約を失い、母の形見まで壊されたのだ。ここで時計まで渡してしまえば、残るものが何もない。


「噂でしたら、昨夜のうちに一生分いただきました。今さら一つ増えても、数え間違いで済むかと存じます」


 そう言って、私は笑ってみせた。昨夜の退場で使った、いちばん感じのいい笑い方だ。


「お気遣いはありがたく存じますが、父には私からお伝えいたします。エルフォード家のことは、エルフォード家で決めますので、閣下にもそのようにお伝えいただけますでしょうか」


 向かいの窓から、小さな笑い声がまた聞こえた。執事長はそのほうを見たが、今度は何も言わなかった。


 私は手袋の親指をそっと握り直した。言うべきことは言えたけれど、笑顔を崩さずにいるのは、やっぱり少し疲れる。こんなことなら、朝食をもう少し食べてくればよかった。


 執事長の視線が、私の肩越しに動いた。


「……そちらの職人が、星時計を預かるということでしょうか」


 振り返ると、青い扉が半分ほど開いていた。カイさんが柱にもたれ、腕を組んで立っている。いつからそこにいたのか分からない。さっき工房の中ではあんなに眠そうだったのに、今は坂の下の馬車をじっと見ていた。


「いや、預かってない。そこの持ち主様が、ご自身で持ち帰るってさ。俺は直すだけだ」


 執事長は一度カイさんの作業着を見下ろし、それから胸元へ目を移した。昼過ぎまで眠っていた人と違って、身なりの乱れを見つけるのは得意そうだった。


「失礼ながら、ギルドに登録のない職人が、侯爵家の御用を断れるとお思いでしょうか」


 ギルドは、王都の職人組合のことだ。魔導灯の修理を屋敷から頼むときも、私たちはいつも組合の名簿から職人を選んでいた。試験に合格し、後援者を得た職人だけが、その名簿に登録される。


 カイさんには、その登録がない。


 初めて知る事実だった。昨日、大広間の魔導灯を直していた手つきも、今日、星時計の仕掛けを調べる眼差しも、少しも頼りなくは見えなかった。だから私は、当然名簿に載っているものだと思っていた。


 カイさんを見たが、返事はなかった。腕を組んだまま口を引き結び、執事長から目をそらしている。先ほどまで眠そうにしていたときとは、明らかに様子が違う。何か言いたくても、言えないことがあるように見えた。


 執事長は答えを待っている。坂の人たちも、今は静かだった。


「……私が選んだ職人です」


 気づくと、私はカイさんの前に半歩出ていた。


「私個人の形見の修理をお願いしたのですから、侯爵家の御用とは別の話かと存じます。お仕事の腕も、私自身で確かめております」


 執事長は目を細め、私とカイさんを交互に見た。何か言い返すのかと思ったが、やがて深く頭を下げた。


「承知いたしました。本日は、これにて失礼いたします。では次は、ギルドを通して正式にお話しすることになるかと。閣下には、そのようにご報告いたします」


「お手数をおかけします。どうぞよろしくお願いいたします」


 男は来たときと同じ速さで坂を下りていった。黒塗りの馬車の扉が閉まり、四頭の馬がゆっくりと向きを変える。車輪が石畳を鳴らしながら貴族街の方角へ消えていくまで、私はその場を動けなかった。


 ようやく馬車が見えなくなると、向かいの窓にいた人たちがそれぞれの仕事へ戻り始めた。金槌の音が一つ鳴り、どこかの店から時計の鈴が続いた。坂の下ではパン屋の扉が開き、焼きたてのパンの匂いが風に乗って上ってくる。


 さっきまで握っていた指を開くと、手袋の内側が少し湿っていた。うまく笑えていたつもりだったのに、体のほうは正直らしい。


「……カイさん。いつから聞いていらしたんですか」


「最初からだよ。寝直そうと思ったら、外がうるさすぎて寝られなかった。あんたも、あの執事も、よくそんなにしゃべれるな」


 カイさんは扉の柱から背を離すと、眠そうに髪をかき回した。けれど、その目はまだ坂の下を向いている。


「それにしても、あんた、敵を作るのがうまいな。貴族ってのは、みんなああなのか」


「作ったのは向こうです。私は数を数えただけです」


「数って、何を数えたんだ」


「八と十二です。難しい計算ではなかったと思いますが」


 カイさんは一拍置いてから、喉の奥で短く笑った。笑われたのが計算のことなのか、私の言い方なのか分からない。でも、執事長がいたときには見られなかった顔だったので、少し安心した。


 私は工房の扉に目をやった。彼がここに立っていたのなら、ギルドの話も聞いている。登録していない理由を尋ねたかったけれど、さっき目をそらした横顔が気になって、言葉を飲み込んだ。


「明日も来るのか」


 カイさんが先に口を開いた。


「はい。お約束しましたので、明日も昼過ぎに伺います。ご迷惑でしたら、できるだけ静かにしております」


「静かにするって言ったやつが、坂じゅうに聞こえる声で侯爵家とやり合ってたけどな。……帰りは、坂の下まで送る」


「ありがとうございます。でも、辻馬車を拾うだけですし、一人でも大丈夫です」


 カイさんは、そういう問題じゃないと言いたげに眉を寄せた。そして工房の扉を閉め、戸口の鍵を確かめてから、坂のほうへ顎をしゃくる。


「さっきの馬車、まだ近くにいるかもしれないだろ。あんたが無事に帰らないと、俺が寝られない。辻馬車に乗るところまでは見ておくから、そこで待ってくれ」


 自分の睡眠のためなら仕方がない、と言われている気がした。もっとも、見送りのためにわざわざ工房を閉めてくれるのだから、ありがたく申し出を受けることにする。


 坂を下りるあいだ、カイさんは私の三歩ほど後ろを歩いていた。隣に並ぶでもなく、置いていくでもない距離だ。振り返ると少し間をあけて足を止めるので、私もそれ以上は気にせず歩くことにした。


 午後の坂は、先ほどよりも賑やかだった。窓辺で真鍮を磨く人、籠を提げて行き交う人、店先に並べられた小さな時計をのぞきこむ人。貴族街より道は狭いけれど、誰もが慣れた足取りで行き来している。


 向かいの工房の男が、また窓から顔を出した。


「おう、カイ。今日は昼に起きてるじゃねえか。雪でも降るかと思ったぞ!」


「うるさい。仕事しろよ」


「お前が言うか! はははっ、そりゃそうだ!」


 男はゲラゲラ笑って、奥へ引っ込んでいった。カイさんは面倒そうに顔をしかめたけれど、言い返しに窓へ戻ることはなかった。


 坂の人たちは、彼を怖がっていないのだと思う。工房ではあれほど無愛想だったのに、すれ違う人たちは気軽に声をかけ、カイさんも短い言葉で答えていた。長いこと、この通りで暮らしてきたのだろう。


 パン屋の前を通ると、先ほど母親の陰からのぞいていた女の子が、店の戸口から小さく手を振った。


「カイ兄、またね!」


「ああ。またな」


 カイさんは片手を上げて応えた。その仕草があまりにも自然だったので、私は思わず見てしまった。彼は私の視線に気づくと、面倒そうな顔に戻って坂の下を指さす。


「あそこに空車がいる。先に行って止めてくるから、ゆっくり下りてこい」


 そう言って、私より先に数歩下りていった。石畳の端に停まっていた辻馬車の御者へ声をかけ、こちらを見て手を上げる。初めて来た道なのに、帰りはそれほど長く感じなかった。


「今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いいたします」


 馬車の前でそう伝えると、カイさんは軽く手を上げた。


「昼過ぎだからな。早く来ても開けないぞ。あと、その時計、帰るまでは外に出すなよ」


「はい。大切に持って帰ります」


 御者に手を借りて馬車へ乗り込む。扉が閉まる直前、カイさんが坂の上へ歩き出すのが見えた。右側だけはねた黒髪が、午後の風に少し揺れている。


 馬車が動き出してから、私は膝の上に置いた手を開いた。指先の冷たさは、いつの間にか和らいでいた。


◇


 屋敷へ戻ったのは、日が傾き始めた頃だった。


 玄関では、執事のハロルドがいつものように出迎えてくれた。六十を過ぎているのに背筋はまっすぐで、私が幼い頃から、慌てているところをほとんど見たことがない。外套を受け取る手も、今日ばかりは少しだけ慎重に見えた。


「お帰りなさいませ、お嬢様。昼前にグランツ侯爵家の執事長がお見えになりましたので、お出かけであるとだけお伝えいたしました」


「ありがとう、ハロルド。そのあと、私の出先までいらしたの。どうやら屋敷を出たときから、行き先をご存じだったみたい」


 ハロルドの眉が、ほんの少しだけ動いた。


「……お怪我などは、ございませんか」


「ええ、大丈夫よ。少し驚いたけれど、見物していた方がたくさんいらして、助かったくらいだから」


 私がそう言うと、ハロルドは胸元の星時計に目をやった。それから何も尋ねず、居間へ案内してくれる。暖炉には小さな火が入っていて、椅子のそばの卓には茶器が用意されていた。


 春になって日中は暖かくなったけれど、日が陰ると屋敷の石壁はまだ冷たい。私は暖炉の前で手袋を外し、差し出された紅茶を受け取った。温かな茶碗を両手で包んでから、今日あったことを順番に話し始める。


 侯爵から届いた書状のこと。時計通りの坂を上ったこと。修理を引き受けてくれたカイさんのこと。そして、坂の下で待っていた黒い馬車のこと。話すうちに、暖炉の薪が一つ、小さく音を立てて崩れた。


 ただ、カイさんがギルドに登録していないことだけは話さなかった。ハロルドに隠すつもりはなかったのに、なぜかその話題になると言葉が止まってしまう。


「その職人は、どのような方でございますか」


 ハロルドに尋ねられ、私は少し考えた。眠そうな顔と、星時計を見つめる目と、坂の下まで歩いてくれた背中が順番に浮かぶ。


「朝が弱い方だったわ。それから、母の時計を見て、直し方を知っているのは自分だけだと言っていたの。少し無愛想だけれど、お仕事はとても丁寧だったと思う」


「そうでございましたか。では、お嬢様は明日からも、そちらへ?」


「ええ。修理のあいだ、毎日立ち会う約束をしたわ。時計は私が持ち帰ることにしているから、心配しないで」


 ハロルドは少し考えるように黙り、やがて頷いた。何か言いたいことがありそうだったけれど、今はそれ以上尋ねてこない。


「お父様には、今夜のうちに手紙を書くわ。婚約のことも、侯爵家の使いが来たことも、きちんと伝えないと」


「かしこまりました。明朝の便に間に合うよう、手配いたします」


 私は紅茶を置き、書状をしまった引き出しのことを思い出した。婚約が破棄された以上、父には隠しておけない。けれど、何から書き始めればいいだろう。母の形見を壊されたことも、直せる職人が見つかったことも、きっと父には驚く話になる。


 ハロルドが暖炉の前へかがみ、火かき棒で薪の位置を直した。ぱち、と火の粉が上がり、銀の火かき棒に一瞬だけ映る。


「……先ほどのお話ですが、お嬢様。その職人のお店は、東の時計通りでございますか」


「ええ。坂の途中にある、青い扉の工房よ。ハロルドも知っているの?」


 ハロルドの手が止まった。火かき棒を戻すと、こちらを向きかけ、思い直したように炉の火へ目を落とす。


「いえ。ただ、奥様も昔、よく東の方へお忍びでお出かけでしたので。懐かしく思い出してしまいました」


 私は茶碗に伸ばしかけた手を止めた。


「お母様が? 東の方へ、よくお出かけになっていたの?」


 母が屋敷を離れることはあった。でも、どこへ行っていたのか、私は聞いたことがない。父もハロルドも、母の外出について詳しく話してくれたことはなかった。


 ハロルドは一度だけこちらを見て、静かに頭を下げた。


「失礼いたしました。年寄りの独り言でございます。お手紙のご用意をいたしますので、どうぞおくつろぎくださいませ」


「……ええ。ありがとう、ハロルド」


 それ以上は尋ねられなかった。彼が居間を出ていったあとも、私は暖炉の前に座ったまま、閉まった扉を見つめていた。


 やがて胸元から星時計を取り出し、銀の蓋にそっと指を添えた。暖炉の火がひびの縁に細く映り、四つ目までの石を淡く照らしている。私はその光をしばらく見つめてから、時計を両手で包んだ。

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