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子連れで帰ったら、御曹司が偏愛してきた  作者: zhaozhao


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第18話 真相

 昼、母が卓をいっぱいにした。

 煮魚、酢豚、油燜の大エビ。

 きらはエビが好きだ。剥いて、碗に置く。

 卓の空気は、賑やかで、嘘くさい。

 母がしきりにきらへ取り分け、きらが小さく言う。

「ママ、もう入らない」


 父が酒を少し飲み、口が多くなる。

「外も楽じゃないんだ。もっと早く顔を出せ。家がいつ冷たくした——」


「パパ」

 箸を置く。

「今日来たのは、一事をはっきりさせるため」

「五年前、綾瀬家が振り込んだ六千九百万」

 目を見る。

「備考は『協力費』」

「何に、協力したの」


 賑やかさが、さっと冷える。

 母の箸が卓に落ちる。

 父の顔が、一寸ずつ沈む。

「誰がそんなことを」


「篠宮が調べた」

 私は言った。

「流れ、振込、仲介、全部手元にある」

「もう一度聞く」

「協力費。何に、協力した」


「何に協力しただと?」

 杯を卓に叩き、酒が溢れても構わない。

「工場が潰れた! 借金だらけだ! 綾瀬家が金を持って来て、篠宮の意向だ、安心して産め、自分を惨めにするな、と——」

「受け取ったのは世話料だ! 協力費だと? 知るか!」


「じゃあ、中絶を勧めたのは」

 聞く。

 居間が、死んだように静かになる。

「それも綾瀬家に言われたの」


 母の涙が、一度に落ちる。

「昭、あの頃、パパは毎日取り立てに門を塞がれて、菜代も……あの家が言ったの。篠宮の坊っちゃまと付き合わなければ、金は全部見る、パパに仕事も紹介する、と……」


「だから毎日電話して、堕ろせと言った」

「膝をついて泣いて、足手まといを抱えたら一生終わりだ、と言った」

「堕した金が入ったら——」


「違う!」

 父が吼え、首が赤い。

「鈴原 昭! 俺は父親だ! 金を受け取って何が悪い! 二十三年育てて、六千九百万が何か!」

「大きくしたのに羽根が生えて、子どもを連れて問い詰めるのか!」


「いいわ」

 うなずき、袋から最後の一通を抜き、前へ推す。

「パパ、これを読んでから、その声の大きさでいるか決めて」


 疑いながら取り上げる。

 二頁読む。

 顔の血色が、層ごと抜けた。

「……これは何だ」


「工場が潰れた真相」

 私は言った。

「古い得意先が、なぜ更新しなかったか。銀行がなぜ突然融資を引いたか。税務がなぜあの時期に入ったか」

「パパ、工場は運が悪かったんじゃない」

「先に殴っておいて、金をくれた人がいる」

「金をくれた人と、潰した人は、同じ家よ」


 手が、震え始める。

「嘘を……」

 声が虚になる。

「ありえない。綾瀬家とは何の恨みもない……」


「恨みがない?」

 笑った。

「娘が篠宮玲を好きだった。道を塞ぐ人間は、除く」

「パパ、その銃に、情まで移したのね」


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