↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子連れで帰ったら、御曹司が偏愛してきた  作者: zhaozhao


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/20

第13話 好きな相手にしか、身をもって報いない

 三日後、全校の風向きが変わった。

 全校の女子が追いつけなかった篠宮玲が、白日の下、私を追い始めた。

 遅れて気づく。あの烈日の下で助けたのが、篠宮玲だった。

 学校が割れ、流言が走り、私は完全に衆目の的になった。

 煩さに耐えかね、彼を呼びつけて言った。


「篠宮さん、あの日はたまたま見ただけです。ああいう状況なら、誰でも手を貸します。気に病む必要はない。あなたの言う『身をもって報いる』も、要りません」


「好きな相手にしか、身をもって報いない。報恩じゃない。好きな人間への、やり方だ」


 毎日形を変えて存在を刷り込まれ、煩さの極みだった。

「私は平凡な家の子です。成り上がりたくない」


「金持ちの家に生まれたのが罪か。金持ちの子に、愛を追う権利はないのか」

 篠宮玲が拗ねる。


「あります。好きな子は女子寮から正門まで並べます。好きに選べばいい」


 彼は頑固だ。

「愛は、誰でもいい、適当に済ませるものか」


 道理を試みる。

「条件が違いすぎる。あとで矛盾ばかり出る」


「たとえば」


「金銭観、仕事観、恋愛観」


「三観を知る機会もくれずに、不一致だと決めつけるのか」


「……」


「豪門は複雑でしょう。決まりが多くて、是非が多い。私がやっていけると思いますか」


「家も知らずに、中身がわかるのか」

「怖いなら、縁を切る。それでもダメなら——父を破産させてもいい」


「!」

 その場で固まった。

 言う以上、やる男だ。

 顔を冷たくした。

「篠宮玲、もう物を送らないで。好きじゃない」


 半歩も引かない。

「好きかどうかはお前の問題。追うかどうかは俺の問題だ」


 昼は優しく餌を運び、夜はさらに非常識だった。

 ギターを抱えて女子寮の下で歌い、晩風が歌声を棟全体に運ぶ。

 全員が、見物している。

 酒色に溺れていると噂された坊っちゃまが、天下でいちばん純情で、いちばん馬鹿なことをしている。

 親友は毎日、生まれつきの一対だとからかう。

 時間が経ち、心の防衛が、一層ずつ緩んだ。

 豪門を外せば、本物の篠宮玲は、噂と別人だった。

 遊びはせず、傍はきれいだ。飛び交う噂を問うと、鼻を触り、正直に言った。

「半分は嫉妬の捏造。もう半分——俺が黙認した」

「寄ってくる連中は香水が辛くて、相手にする気がない。噂を泳がせて、花を防いで、静かにしてた」


 わかった。

 誰もが思う奔放は、鎧だった。

 一途も優しさも、私一人に残していた。


 あとで聞いた。

「日射病の日、どうして日の下に寝てたの」

 長い沈黙のあと、言う。

「母さんと喧嘩した。金を使う以外、何もできない、と。日の下に寝て、痛むかどうか見た」

「結果は」

「構われなかった」

 笑った。

「お前は、構った」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。