チョソンサラム(朝鮮人)は、意外と日本かぶれ part3
5人は、喫茶店で一通り楽しくダベった後、退店。
西武池袋へとショッピングへと繰り出した。
夜18時ごろ 池袋駅前
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
一通りショッピングなどで、池袋のデパートや店を周ったショウミ達5人は、帰路に着くために、電車に乗ろうと、池袋駅に戻って来ていた。
門限が厳しいプモニム(両親)もいるので、これ以上遅く帰る訳にも行かなかったからだ。
19時頃 明大前駅周辺
空が暗くなってきた頃、世田谷区松原を、キム・ショウミとチャン・スンジャが2人並んで歩いていた。
他の3人は、京王線八王子方面の電車に、そのまま乗車して帰っていった。
ショウミとスンジャは、同じ世田谷区に住んでいたので一緒に帰っている所なのだ。
「スンジャ、あなた変ったわね。もちろんいい意味でよ。おとなしかったあなたがこんな明るくなるなんて」
ショオミは、スンジャの性格の変化に驚いたことを正直に言った。
「松沢中学校の1年の中で、在日は他にもいたかもしれないけど、本名で学校生活してるのは私しかいなかったの」
スンジャは、鼻を軽く指で搔いた。
「だからなのかな。松沢中学校に入学してから1年近く、在日として、日本人に負けないよう虚勢張って生活してたの」
「うん・・・・・・」
ショウミは、軽く頷いた。
「朝鮮名名乗って、教師から呼ばれるときも、イェッ!(ハイッ!)って規律正しく返事してさ。それも朝鮮語で返事してたのよ私」
スンジャが、軽く笑った。
カツン。
笑いながらスンジャが、道端に落ちていた小石を軽く蹴った。
コロンコロン。
小石が転がる。
「勉強もスポーツも、日本人に負けないって。ミスしたり悪い成績になって、やっぱ朝鮮人は。って思われない様にね」
「・・・・・・」
ショウミは、それに反応せず、スンジャが続きを話すのを黙って待っていた。
「正直、クラスのみんなからしたら、付き合いにくい子って思われてたでしょうね。仲いいと言える子もいなかったなぁ」
スンジャは、歩きながら、両手を後ろに回した。
そうしながらスンジャは、暗くなって星が見え始めた空を見上げた。
「12月くらいかな。クラスの神崎って子が話しかけてきたの」
スンジャは、見上げていた顔を下げ、又、前を見ながら話し始めた。
「その子、いつも舐められないようにツンツンしていた私に、いつも話しかけてくれる子だったのね」
スンジャは、軽く伸びをした。
「ショウミ、その子、私に何て話しかけてきたか分かる?」
「う~ん、なんだろ?12月だからクリスマスに遊ぼうとか?」
「あたり!」
スンジャは、そう言いながら、左手を銃の形にして、人差し指でショウミを指さした。
「私、嬉しかったなぁ~。誘われて。こんなピリピリしてる私が誘われるなんて思ってなかったから・・・・・・。思わず、私でいいの?って聞いちゃった。そしたらね・・・・・・」
「そしたら?」
「スンジャさんの家の、キムチ食べたい!よかったら、クリスマスパーティーの時持ってきてほしいって。学校にお弁当を持っていく日にも、ニンニク臭いと言われるのが怖くて、キムチ持ってきた事なかったんだ」
2人は、街灯で照らされた路地裏を歩き続ける。
「クリスマスは、楽しかった?」
ショウミは、話の続きが気になりだしていて、思わずその続きをせかす様にスンジャに質問した。
「うん!クラスの女子6人で神崎さんの家でクリスマスパーティしたんだけど、オモニ(母親)が作ったキムチ、みんな美味しいって食べてくれてね。今度、私の家で作り方教えてほしいって、遊びに来る予定なの!」
スンジャは、ショウミに屈託のない笑顔を向けた。
その笑顔を街灯が明るく照らしていた。




