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チョーコー!朝鮮高校喧嘩列伝改  作者: 姜公紀


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118/119

1977年2月、多摩川にて part1

1977年2月 二子玉川・多摩川河川敷 夕方


2月ということで、風は穏やかだが、寒さは厳しく、二子玉川・多摩川河川敷には、そのせいか人はまばらだった。

親子連れや、子供たちが、草野球場でキャッチボールをしたり、歩道を軽装でランニングしている中年男性の姿が見える。

近くには、東急多摩川橋梁があり、橋梁の上を、東急の電車がゴーッと音を立てながら通過していく。

そんな、都民の憩いの場である二子玉川・多摩川河川敷の川のほとりの土手に、2人のがっしりとした体格の男が座っていた。

1人は、学生服を着たパンチパーマの男。

身長は見るからに大きく。遠くから見てもそのガタイの大きさは非常に目立った。

少し離れた場所をランニングしてる若い女性が、そのガタイに思わず目を見張った。

ワン・ヨンチョル。

東京チョーコー3年。

東京チョーコーで一番喧嘩が強い男である。

身長は193cm、体重110kg。

恵まれた体格で、校内や都内で敵なしの男であった。

学生時代、繁華街で暴れていたワンに目を付けた某指定暴力団が、ワンをスカウト。

チョーコー卒業後は、某指定暴力団にお世話になることをワンは決めていた。


「キムヒョンニム(兄貴)、来月、本当に行くんですか?」


ワン・ヨンチョルは、隣にいる私服の男に話しかけた。


スクッ。


キムと言われた男は、立ち上がると、川に向かって歩き出した。

名前は、キム・ブントク。

年齢は21歳。

東京チョーコー3年時に、校内のハッセン(生徒)達全員を統括していた男である。

学生時代、パンチパーマだった髪型は、七三寄りのオールバックになり、

茶色のジャケット。

開襟シャツ。

濃紺ジーンズ。

革靴。

という、キム・ブントクいつものオキニな服装で、学校帰りのワン・ヨンチョルと、この多摩川で待ち合わせしていたのである。


ジャラ。


キム・ブントクは、多摩川沿いの砂利の小石を一つ取った。


ブンッ!


小石を多摩川に向かって力強く投げた。


バチャ!


小石が、多摩川の中央辺りで水しぶきをあげて沈んでいった。


「ああ、万景峰号で朝鮮へ行く」


キム・ブントクは、ワン・ヨンチョルへ振り返りながら、そう答えた。

ちょうどその頃、夕日が辺り一面、多摩川を赤色に染め上げていた。

夕日が、キム・ブントクの背後から沈もうとしていた。

その夕日の輝きが、多摩川をバックにして立っているキム・ブントクを縁取るかの様に、包み込む。

その姿を、ワン・ヨンチョルは、まるでキム・ブントクが、夕日そのものを背負っているかのように見えた。

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