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桜咲く頃に、君と  作者: 月桃シュリー
私立桜咲学園
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4月。


「うわぁ、ここが桜咲学園寮かぁ。」


入寮日として指定されたのは入学式の2日前だった。


両親はわざわざ仕事を休んで付いて来てくれて、寮監さんに挨拶をしている。

お母さんと同じくらいの歳に見える優しそうな女性だ。


両親と一緒に来ているのは私くらいかと思ったけど、他にも数組の親子が寮内スタッフの制服を着た人に案内されている。


あ、あの子も新入生かな。


ポニーテールで目のくりっとした可愛い子が、母親らしき人と楽しそうに歩いている。

新しい生活へのワクワクが伝わってきて、私の少し残っていた不安や寂しさが薄れていく。


「内部生の親御さんがいらっしゃったことはありませんが、外部入学の生徒さんはほとんどご両親とご一緒に来られますよ。」


未成年の娘を預けるのだから当然だ、とお父さんが小さく頷いた。



寮は男子寮女子寮と別れていて、一階部分のカフェテリアと購買部だけは共有で繋がっていた。


それぞれ一階はカフェテリアとは別の食堂や談話室などの共有スペースになっていて、二階以上が個室。


私に充てがわれた部屋は6畳くらいで、机に本棚、ベッドとクローゼットがあり、シャワールームとトイレも完備されていた。

冷蔵庫はあるけどキッチンはなくて、食堂とカフェテリアでは無料で自由に飲食できるという。


「お部屋で召し上がる方もいらっしゃいますが、こちらでは手狭でしょうから。」


案内してくれるスタッフさんの言葉に首をかしげると、個室にはランクがあって、人によっては使用人を連れてくると教えてくれる。


使用人・・・、と私たち家族の呟きが重なった。



生活環境の違いに先行き不安になりつつも、両親の退寮時間が迫る。

内部進学生がほとんどのため入学式は親の参加はないというから、夏休みまではお別れだ。


「結衣なら大丈夫よ。きっと素敵な高校生活になるわ。」


お母さんが私の髪を整えながら優しく微笑む。


「結衣はどこに出しても恥ずかしくない、父さんと母さんの自慢の娘だ。自信を持って、いきなさい。」


お母さんがせっかく整えてくれた頭を、お父さんがワシワシと撫でてぐちゃぐちゃにする。


もう、お父さんたら、と呆れるお母さんの優しい手を感じながら、最後はみんな笑顔で手を振った。


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