98/125
【詩】記憶
……思い、出せない。
ふと 目を覚ますと何も覚えていなかった。
昨日は何をしただろうか?
昨日は誰と話しただろうか?
昨日は誰かと逢っただろうか。
脱ぎ捨てたような 私服が放られていた。
誰かと指切りを交わしたような 感触が残っていた。
友人と通話した履歴を携帯が 覚えていた。
示されている現状が 昨日までの結果。
表示された記録が 昨日までの結果。
そうなのだと それだけだと受け入れてしまえたらいいのに
無反応な感情が 騙されてるんじゃない?というようで。
黙り込んだままの感情が こんなの知らないよと目をそらすようで。
不確かすぎて 怯えてしまう。
曖昧なものを嫌う僕らなのに
曖昧な、それでも、確かにあったものを失くすことが 何よりも怖い…
………怖いんだ。
曖昧なものを嫌いながらも僕らは結局
自ら不確かなものを信じてしまいたくなるらしい




