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モフとは愛でるもの


 ふう。いかんな。ついと言うか、遂にと言うべきか、モフへの愛が暴走してしまった。

 あのあと、「オレとも遊べーっ!」とばかりに突っ込んできたカイも交え、たっぷりモフを堪能してしまった。

 あれは仕方ないな、仕方ない。これまでは女体だったり、仕事中だったり、訓練中だったりと、TPOを弁えてモフへの愛を抑え込んでいたが、戦闘後という心の緩み時にあんな目ェ向けられたら理性なんか融けてしまうわー。よって俺は悪くない。

 というか講習前半ではリツもあんな目を向けてこなかったのに。いつの間に群れのリーダーに認定されたんだろう?


 そんな至福の時間の余韻に浸りつつ心のダイアリーに刻み込む作業に没頭していたら、パティとアンジェに話し掛けられた。


「それにしても、トオルさんはかなり実戦慣れしてません?」


「はっはっは。実はついこないだまで見習い期間と称してリオ達から英才教育を受けていてねー。……正直思い出したくもない」


「「……あ~」」


 半ば死んだ目を浮かべる俺に、事情を察したのか同情の目が向けられる。


「リオ達はねぇ……教育の仕方が独特だからねえ」


「普通は簡単なものから始め難易度を上げていくものだけれど、彼女達はまず限界を知ろうとハードルを高く設定しますからね。で、そこから徐々に下げていって、ギリギリのラインを見極めるという……」


「待て。今なんか聞き捨てならない事言った?下げていく?何を?」


「え?ですから難易度を。最初に無茶振りされませんでしたか?」


「……例えば登録したてのヒヨッコをDランクの依頼に連れ回したり?」


「あ、そんな事されたんだ?フツーに考えても無理があるっしょ。付いていくのすら出来ないって」


 マジかー!?あの時点で泣きついてりゃもっとイージーだったかもしれなかったのか!?言霊魔術を駆使してまでして必死で食らい付いていったあの頃の自分を罵りたい。

 って、あれ?でも泣き言は毎回言ってたぞ?その度に尻蹴っ飛ばされていたけど。あれか?毎度毎度、無理だ何だと言いながらも付いていっちゃったもんだから誰も信じてくれなくなったとか?狼少年の別バージョン?

 俺は!ただ!必死だっただけだ!


「……トオル?もしかして……」


「無理だって言ったのに……こんなの死んじゃうって何度も言ったのに。全然聞く耳持ってくれなくて……!!」


「うわ……何で生きてんの?」


 正直、何度も死を覚悟したし、実際、何度も死にかけとるわ!と言うか生きてちゃおかしいレベルの無理難題強いられてたのかー。やっぱあの人達はどっかおかしかったんだなー。ハハハハハ。

 いやいや、待て待て。プラスに考えるんだ。プラスに。彼女達の教育が非力な俺をここまで押し上げてくれたのもまた事実なのだから。

 他の受講者と比べてみれば視野の広さがまるで違う。今も、先頭に立ち索敵を張り切る獣人コンビに先駆けて、後方からの尾行に感づいた。あ、唯も俺の反応を見て、後ろをチラチラ意識しだした。

 テオ達は勿論、随行するギルド員も感知している様子。だけど口出しする気もないみたい。さりげなく隊列を変えて俺達の邪魔にならないよう移動している。前の二人は……気付きそうにないな。

 尾行者は恐らくゴブリン一小隊。仕掛けて来ないのはこちらの人数が多いせいか?半数以上はよっぽどヤバい状況に陥らない限り手ェ貸してくんないんだけどな。

 しかしそれでもしつこく付き纏って来るという事は何かしら勝算があるんだろう。考えられるのは、別動隊との連携・挟撃か、それとも罠か。連中、そこまで知恵あったっけ?


 どうする?ここで迎撃するか?

 真っ正面からガチンコするにはここは少々足場が悪い。足下には大小様々な石が転がっていて、戦闘中に足を取られる恐れがある。しかしそれは相手にも言える事。

 何より、俺に掛かれば石は便利な武器となる。

 そして、幸い今は登り坂。先行するこちらは、相手より高所を取れている状態。

 ──地の利はこちらがやや優勢。

 ふむ、少しでも有利な位置を陣取ってる間に仕掛けるべきか。


「カイ、リツ。そのまま振り返らずに聞いて。──現在、尾行されている。距離のある内に俺と唯でなるたけ削ってみせるから、二人には別動隊が居る場合を想定して周囲の警戒をお願いしたい」


「「──っ!?」」


 声を落として告げた内容に、彼らの身体がピクンと跳ねる。が、振り向く事は何とか堪えてくれたので気取られはしなかった。セーフ。

 って、ありゃりゃ。今度は耳がへにゃ、ってなってるよ二人とも。ホンットまっすぐで素直な子達だわー。前ばかり意識して、尾行に気付けなかった事を気にしてんのかな?でも、それは元々、後衛である俺の役目だからな。

 よーしよーし、大丈夫だぞー。問題ないぞー。助け合う事がチームなんだからなー。だから距離を詰められた際には迎撃宜しくお願いします。




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