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カイとリツ


 受講者八名、ギルド員四名、現役冒険者七名の総勢十九名が門を潜り王都の外へ。

 このままでは流石に大所帯過ぎるのでグループを二つに分けて別ルートで本日の野営地を目指す。これでも結構な人数だが半数以上は保険要員と考えると、これ以上小分けにするのは戦力的に不安が生じる。とりあえず今日の様子を見て余裕そうならばまた考えよう、という事になった。


 受講者八名の内訳は、まず俺と唯。お調子者と真面目くんの犬の獣人コンビ。同じ村出身のかしましトリオ。独特の世界観をお持ちなソロの竜人。

 どうやってチーム分けしよっかなー。





「十メートル程先、道の左右に複数の待ち伏せ。恐らくゴブリンと思われる」


 王都から少し離れたフィールドをてくてく進んでいくと、生い茂った草木の陰から何かしらの気配がする。先頭を歩いていた足を止め後続に注意を促した。

 この辺りはよく足を運ぶので出没する魔物の種類は把握している。群れで行動し、この距離で察知出来る程にかくれんぼが下手なのはゴブリンだろうと予想。


「……確かに何か居ますね。トオルさん、詳しい数は判りませんか?」


「俺の気配察知はまだそこまで精度が良くない。だけど大まかには言えるぞ。ここいらのゴブは、一つの小隊が4~6匹で、待ち伏せの場合は二小隊が合同の場合が多い。今回も大体そんな感じじゃね?」


 真面目くん──リツの質問に警戒を怠らず答えを返す。それを聞きお調子者──カイがノリノリで提案してきた。


「だったら俺とリツが片方を、残りをお前とユイちゃんに任せたら良いな!」


「いやいや、待て待て!道幅そんな広くないのに突っ込んだら、囲まれるだけだから!」


 こっち四人よ?相手は最少二倍、最大で三倍の戦力差よ?たかがゴブといっても数の暴力は恐ろしい。


「じゃあどうすんだよ?」


「炙り出す」


 癇癪玉サイズの小粒の石、十数粒をジャラジャラと唯に託し【一触即発】を籠める。


「ちょっと大きな音がするわよ」


 獣人コンビにそう言い残し、軽く腕を振って前方にそれをバラ撒く唯。


 パパパパパン!


「ギギィ!?」「ギャギャ!!」


 炸裂音と共に茂みから悲鳴にも似た声が上がり、十匹のゴブが飛び出してきた。はい、ゴブリンみ~っけ。

 同時に腰の剣を抜き、構える。


「ゴブ十体確認。狩れる奴が狩れるだけ狩れ。まだ隠れている奴がいるかもしれないから不用意に前に出るなよ」


「よっしゃあ!来いやぁ!!」


「了解です!」


 嬉々として武器を振り回しながら吠えるカイ。スッと戦闘態勢になりながら律儀に返事を返すリツ。

 コイツら二人とも典型的な前衛だから、組むとだいぶ楽が出来るんだよな。獣人族の肉体ポテンシャルは凄まじいものがある。俺の役目は手綱をしっかり握って全体を見渡す事だ。特にカイは夢中になると周りが見えなくなるタイプだから注意しとかないと。

 唯には無理せず端から削っていくよう指示を出し、改めてゴブリン共に向き直った。





「なかなかやるじゃん。安心して見ていられるよ」


 幾度目かの戦闘の後、パティが声を掛けてきた。危うげない戦い運びに、引率者としても一安心といった感じだ。

 今のところ苦戦もせずに討伐出来ているからな。一回だけカイが制止を振り切ってヤンチャしちゃったけど。アホ犬がリード振り切って駆け回った、とも言える。

 興に乗ると周りの声が聞こえなくなるなんて、どっかの誰かを彷彿とさせますね。とはいえカイはそこまで怖くないけど。

 ええ、奴は只のアホ犬です。


 対してリツは行儀のいい狩猟犬かな。仲間思いで頭も良い。こちらの指示に全力で応えてくれるし、決して一人で突出しない。足並みを合わせ、一体ずつ確実に屠っていく。カイがヤンチャした時もフォロー出来る位置に陣取って、カイを助けていた。

 んでまた、堪らんのが戦闘終了後。狩りを終えて一息つくと俺の前にやって来るのだ。「僕ちゃんと出来ました!褒めて下さい!」と言わんばかりに瞳をキッラキラさせて。


 めっさ可愛えええぇ!


 両手で頭を抱え込み、クッシャクシャにしてやった!



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