表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/106

欲しいもの


 さてさて。無事に神殿まで戻ってきました。

 今回はきちんと情報統制が行き届いていたようで、以前のような居心地の悪い思いは無し。まあ、アウター出現の原因が神殿側のポカミスだと既に分かっているのだから隠すわな。

 発見者が当事者でもある俺達で良かった良かった。下手したら神殿に非難が殺到しかねん事態だし。

 これは自らの身上を伏せていた唯のお陰でもある。唯からすれば、どんな反応されるか分からないのに、わざわざ教える理由が無かっただけ、つまり保身ゆえの黙秘。異端視されて迫害、なんて可能性もあったからこれも間違いじゃない。何せ「アウター出現は遠い過去のお話」というのが一般の認識なのだから。

 あと、俺と唯の出現時期が微妙にずれてたのも、発見を遅らせた一因かもしんない。

 つまり、不幸な擦れ違いが重なってしまった、というのが俺と唯が行き着いた結論だったので……。


「「「誠に申し訳ありませんでした」」」


 フローラさんにティア、ヒルダが並んで頭を下げてきても、端から責める気は無い訳で。ただただ気まずいばかりです。


「どうか頭をお上げ下さい。……ちょっと、透さんも黙ってないで何か言ってよ」


 え~?そう言われても頭を下げてるのは唯に対してだし?俺が口を挟む訳にもいくまい。

 ……はい、詭弁です。だってマジ気まずいんだもん。謝罪の矛先がこちらに向いたら嫌じゃないか。


「責めるも良し、赦すも良し、交換条件を出すも良しだ。唯のお好きにどうぞ。なあに、俺も一度は体験してる。誰もが通る道と思おう」


 無関係だとばかりに無責任に言ってみる。


「そんなの、赦す一択じゃない。怒りなんていつまでも持続できっこないわよ。……ねえ、あなたは何か欲しいものないの?」


『無くは無いけど結構な無理難題だよ?一、米。二、風呂。三、醤油。居候の身では言い辛いよ』


『分かるわー。私も欲しい』


 ヒソヒソと交わし合う俺達に、どんな要望も応えてみせると気負う神殿側の三人。意気込みは買うが、文化の違いは如何ともし難い。それに米や醤油については、流通ギルドのおやっさんに相談持ち掛けているし。米に関しては思い当たるブツがあるらしい。実に楽しみだ。


『唯こそどうなのさ。冤罪を何とかしてくれとか言わないの?』


『権力で強引に話を進められたら嫌じゃない?というか神殿といった組織に頼るというのがどうもね。支援を享受する権利があると言われても、権利って義務と責任までワンセットなところがあるでしょう?』


『ですよねー。その辺を提示してくれたら、もうちょい意見も変わってくるんだけどな』


 どんな裏があるか分からない以上、あんま甘えたくないってのが本音だ。


『だからまあ、敢えて言うなら、独立への支援というかケツ持ち?信用が固い所が後ろに居りゃ色んな話がトントン拍子に進みそうだし、神殿とも適切な距離を取れる。欲を言えば、ケツ持ちは神殿じゃなくて、フローラさんのような信頼出来る人が個人的に、が理想だけど』


『確かに、それくらいよね。一応提案してみましょうか』


 こっくりと頷き合い、改めて向き直り望みを口にする。身構えていた三人は肩透かしを食らった面持ちで、特にヒルダはやらかした自覚があるので「はあ、いえ、ですが、それでは余りにも……」と口をモゴモゴさせていた。


「だって欲しいものと聞かれれば「快適で自由な豊かな暮らし」だし?ぶっちゃけ居候の身では色々肩身が狭いから好き放題も出来ないし?まずは家を手に入れたい」


「右に同じく。なるべく普段の生活の場を向こうの暮らしに近付けたいと思っていても、こちらの文化と相容れないところもあるのよね。自分達の思う儘に手を加えられる環境が欲しいわ」


 これが本音だと言わんばかりに言葉を崩して語り掛ける。すると、何かに気付いた様子で、胸に手を当て懸命に主張するヒルダ。


「快適で自由な豊かな暮らし、と言うのは、つまり魔道具に囲まれた生活という意味ですの?それならば!わたくしの実家であるアインズ商会が力になれると思いますわ!」


「ほほう」


 明確なアプローチに食いついてしまう。いいねいいね。俄然興味が湧いてきたよ。


「必要な物があるなら無償で進呈しますわ!」


 いやいや、それだと後が続かない。息巻くヒルダに待ったをかけて、アインズ商会との、正確に言えば商会が抱え込んでいる付与術師への口利きをお願いする。

 既存の商品だと物足らない部分があるんだよね。今一つ、痒い所に手が届かないというか。こちらのイメージに沿った新商品を開発して貰えば、俺達は助かる、商会は儲かるといった、Win-Winの関係を築ける。

 付与魔術について知るチャンスでもあるし、こちらの方が断然お得だよね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ