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仲間意識が芽生えた理由


 ゴトゴトと馬車に揺られながら王都に戻ってきたのは、中天を少し過ぎた頃。

 北門をくぐった所で旦那さん達と別れ、クリスとルーに先に神殿に向かってもらい、残りは冒険者ギルドに報告に向かう。

 山賊の襲来、依頼品の欠損、残党の野盗化など伝える事は沢山あるが、伝えれば伝える程ヒューイの眉間の皺は深くなる。一通り報告が済んだ後、大きく息を吐き眉間の皺を揉みながら、一つ頷いた。


「……ふぅ~。事情は分かった。しかし、あちこち関係各所を回らねばならんな、これは。……出来ればそこに同席して説明して欲しいのだが」


「悪いが任せる。こちらもトオル絡みで他に厄介事が発生していてな。あれこれ調べねばならんのだ」


「……それは、そちらのお嬢さんに関する事か?ここいらではあまり見ない顔立ちだな?」


 チラリと唯の方を一瞥して問い掛けてくる。あれだけの遣り取りで大まかな事情を察したらしい。


「まあ、そういう事だ。こちらのユイはトオルの同郷者らしくてな。こればかりは事情を知らぬ余人は使えないからな」


「確かに、そうだな。……分かった。こちらはこちらで何とかしよう」


 今度詳しく説明しろ、と視線で訴えてくるヒューイに頷きを返す。

 説明だけじゃなく相談にも乗ってもらうつもりだけど、今日のところは黙っておく。これ以上は酷だろう。

 お偉方との会談を前に、落ち込むヒューイを慰め励ましてから、ギルドを後にした。





「よし!お次は唯の服だな。付き添い、宜しくお願いします」


 女性服売場に入っていくのは勘弁なので、同性であるリオ達に一任。ケイにお財布を預けて店の外で大人しく待つ。

 結構な時間を待たされたが、購入した物は少ない。つまり一旦商品を網羅しておいて、その上で厳選・吟味された品々という事か。

 良かった、一緒に店の中に入らなくて。アレを経験すると得られるスキルがあっても、ちょっと遠慮したい。


「そんだけで大丈夫?」


「ええ、お陰様で当面は保つわ。後は自分で稼げるようになってからね。甘えてばかりだと心苦しいから」


 「最低限の衣食住は保障する」と言った手前、初期費用を被る覚悟は出来ていたが、甘えて寄り掛かる事はしない性分らしい。とても好ましい。


「そういうトコ、トオルの同郷なんだねって思うよ。それもお国柄なのかい?」


「さあ、どうかしら?甘えきった挙げ句、自堕落な生活を過ごす人も居るし、個人差もあるんじゃないかしら」


 あぅ、ニートだった身にはちょこっとブッ刺さるな。でも、今の言い方。身内で苦労してきたクチかなー?きっと身近に反面教師が居たに違いない。


『苦労したんだね』


 ポツリと日本語で呟いてしまい、その呟きを耳にした唯は嬉しそうに微笑んだ。


『解ってくれるのね。ええ、大変な苦労をさせられたわ、あのクソオヤジ』


 なんと。原因は父親でしたか。なんか更に親近感が湧いてきた。


『解る解る!といっても迷惑を被っていたのは主に母親だけど。うちの親父は基本、女のところに入り浸ってるクセに、いざ困った事があると金をせびりに来るような駄目男だった』



 子供心にも父親の事は大がつくほど嫌いだった。女のところに入り浸り、留守がちだったのは喜ばしい事だったけど、借金こさえては帰って来て金をせびり、酒が入れば暴れだすような碌でもない屑っぷり。そして無職。警察沙汰も何度かあって、その度に母はあちこちに頭を下げに行っていた。当人は知らぬ顔で飲んでいたな。死ねばいいのに。って死んだか。

 母もよくあんな男を十数年もの間支えていたもんだ。最終的にほぼ騙しに近い形で離婚届に判を捺させたから、だいぶ腹に据えていたようだけど。


『うちのはギャンブルだったわね。……ああ、なんかとっても似た者同士ね、私達』


 二人の間に奇妙な仲間意識が芽生えた!

 ……なーんか酒飲みたくなってきたなー。ストックも残り僅かだし、道すがら買い物してこよう。



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