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ユニークスキル


「うっわ、美味い!何だこれ!?」


 一口食べて、思わず口をついた感嘆の声。

 メニューは奇しくも転移初日に食べたのと同じ、肉と野菜のスープに固いパン。今では食べ慣れたメニューのソレが今日は何だか違う料理のように感じた。

 一瞬、「ついにこちらの料理に舌が適応しだしたか?」と思ったが、味気ないパンの食感が、それは違うと全力で訴えてくる。

 何より俺の反応を見てから食べ始めた皆も、似たような反応を示していた。

 ただ一人、今朝の料理を作った張本人、唯だけは小首を傾げて数回頷くだけだった。


「……ん。まあまあの出来栄えね」


「えっ!?これで?これより更に上があんの!?」


「ホントかい?そりゃいっぺん食べてみたくなるね」


「はあ~。同じ食材でここまで変わるものなんですね~。少し自信を失くしてしまいます~」


「私が見た限り、そこまで変わった手順は無かったぞ。なのに何でこんなに違いが出る?」


「食材の切り方や~鍋に入れるタイミング~、火の加減によっても~だいぶ味は変わりますからね~。……ここまでとは思いもしませんでしたが~」


「フツーに金を取れるレベルニャ。これだけの腕があるのにニャンで雑貨屋で働いたニャ?小料理屋で働けば良かったニャ」


「子供の頃の夢が「おみせやさん」だったとか?」


「あら?フフ、いいえ。子供の頃の夢は「およめさん」だったわね」


 適当に予想を立てつつ伺えば、食べる手を止め、どこか懐かしそうに小さく笑みを浮かべた。


「何故雑貨屋で働いたか、と聞かれれば、自分が料理出来るとは思っていなかったから。日本に居た時は滅多に料理をする事は無かったもの。自分でも驚いてるわ」


 そう何でもないように告げられ、こちらの方が驚いてしまう。


「マジで!?この短期間でここまで上達出来るもんか?どんだけ練習したんだよ?」


 まさか唯さんてば、ナチュラルに【天賦之才】持ち?これが、天然物……!!


「いえ、そうではなく。知らぬ間にこちらの言語を覚えていたように、知らぬ間に出来るようになっていたのよ。お陰で薪の扱いに困る事はなかったけど」


 何それズルい。言語チートだけじゃなく料理に関する知識まで貰ったって事?俺なんか未だに残念な代物しか作れないわ、火を扱えば丸焦げにしかねないのに。僻み根性と知りつつも羨望の籠った目で見つめてしまう。

 そんな俺の隣では激しく落ち込むクリスの姿があった。


「……ええ、ええ、そうでしたね~。ユイさんはトオルさんの同郷でしたね~。この理不尽さ、確かに通じるものがあります~。ええ~、納得致しましたとも~」


 ……何その納得の仕方?ええ~?同郷って言うなら何で俺にはその知識が与えられていないのさ?……って違うのか。クリスが比べてるのは『言霊魔術』に対してなのか。


 クリスは何でも器用にこなす。魔術は勿論、杖術や体術といった近接戦闘術、家事全般に芸事も幾つかこなす多才ぶり。彼女達の中で最もスキルの数が多いのもクリスだ。他の三人が戦いに特化しているとも言えるが。

 そんなクリスが、クリーニング魔術である【清浄無垢】【無味無臭】に狙いを定め、覚えようと躍起になって取り組んでいるが、未だに習得の兆しが見えない。そんな事から、俺は勝手にあれをユニークスキル扱いしている。

 唯の料理もそういったユニークスキルの一種と思えば、悔しくなんて、なくなくないかも……?

 無理矢理に強引に、そう自分を納得させようとしていると、その様子を見かねた唯が口を開く。


「だけど初めは慣れない事の連続で、おまけにこちらの食材のクセも知らなかったから、つまらない失敗も沢山したわよ?幸い命に関わるような大きなミスは無かったけど、今日だってこんなに大勢の人に食べてもらうのは初めてだったから、少し量を間違えたわ。……多く作り過ぎたのよね」


「「「「それは全く問題ない(ニャ)(です~)」」」」


 ええ、全く問題ないですとも。

 その後、誰一人食べる手を止める事なく、鍋いっぱいのスープを綺麗に完食する事で俺達はそれを証明してみせた。



 【悪食】スキルを持つ主人公に食レポは無理だった、という事でどうか一つ!


スゴく美味い > 美味い > 食える > 無理すれば食える > これは無理、みたいな感じ。


 でもこのままだと簡単に【美食】スキルを取ってしまいそう。

 やはり作者が、勉強する、しかないか……!


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