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村への襲撃


 西の空が少しずつ赤くなりだした頃、絨毯の操縦席に座りフヨフヨと絶壁の上を目指していると、スクッとルーとケイが立ち上がり上空を睨み付けた。一同に緊張が走る。

 沈黙を保ったまま上を目指す。暫くすると怒号らしきものが聞こえてきた。そして……。



「ひょええええ!」


 空から老婆が降ってきた。


 …………はい?

 あまりにもあまりな展開に目が点になる。老婆はそのまま俺達の脇をもの凄い速さで落ちてゆく……って、あわわわわ!


「クリス、任せた!」


 絨毯の中心をクリスに譲り、自らは虚空に身を躍らせた。



「日に二度も紐なしバンジーを敢行する事になろうとは。それは百歩譲るとしても、こういう時に降ってくるのは美少女と相場が決まっているだろうが……!」


 お姫様抱っこ状態の、腕の中の気を失った老婆を絨毯に横たえ、八つ当たりに近い愚痴を洩らす。


「トオル、速度を上げろ」


 そんな俺に意を介さず、張り詰めたリオの指示に従い言葉を紡ぐ。


「【疾風迅雷】」


 グンッと移動速度が上がる。断崖の上まで一気に昇ると同時に、ルー、ケイ、リオの三人が地表に躍り掛かった。


 クリスから操縦権を託され、少し離れた上空で待機し、現状把握に努める。

 一方は年寄りや女子供を背に庇い武器を構えたグループ。もう一方は、いかにも山賊といった風体の武装グループ。うん、判りやすい。

 双方は、いきなりの乱入者&空飛ぶ物体に気を取られ動きを止めている。その隙に優位な場所を陣取り、襲い掛かる女傑共。


「な、何なんだ、手前ェ等!どっから湧いてきやがった!!」


「見ての通り、下からだ」


 慌てふためく山賊共に律儀に答えてやりながら、一人、二人と倒してゆく。

 どうやら飛び道具を持っている者は居ないらしい。攻撃される危険性は少ないと判断して、戦闘の邪魔にならないように迂回して、襲われていたグループに近付き様子を見る。

 あわや絶体絶命の危機に瀕してた割に、大丈夫か?と聞きたくなる程、棒立ちになり呆けている。


「えーと、今しがた降ってきたこちらのお婆ちゃんの知り合いですか?」


 上空から声を掛けると、こちらを凝視したまま固まっていた男はハッと我に返り、一気に捲し立ててきた。


「ジマ婆は無事か!?……頼む!村が襲われているんだ!助けてくれ!」


 その声が届くや否や端的に出される指示。


「先に行け。すぐに追う」


「了解!道案内、一人来い!」


 地表スレスレまで降りて呼び掛ける。すると見た目二十代半ばのダークエルフの女が群集から抜け出し、こちらに歩み寄って来た。


「アタシが案内しよう」


「乗ってくれ」


 彼女は躊躇なく絨毯に飛び乗り、斜め上を指差した。


「アチラに進んでくれ」


 彼女の案内に従い、進むこと数分。見下ろす先に、崖に面した小さな村があった。

 黄昏時が訪れる中、だいぶ薄暗くなった村のあちこちで火の手が上がり、その炎に照らされて、倒れ伏した人影が見える。


「……っ!!」


 隣で歯を食いしばる音がする。何処に降りればいいか聞こうと口を開く前にクリスから声が掛けられた。


「トオルさん。あちらに向かって下さい~」


 クリスの指差す先には大きな建物の前で、複数の動く人影と、剣と剣がぶつかり合う音が聞こえてきた。近くまで寄ると、建物の入り口を背に戦う男達と、それを取り囲む襲撃者達の姿があった。


「彼らの前に降ろして下さい~」


 そう言い放つと、絨毯の端に立ち、杖を構え呪文の詠唱を始めるクリス。指示通りに彼らの前で降下する。

 地面に着くと同時に、既に詠唱を終えていた術を解き放つクリス。


暴風弾ストーム


 固まっていた襲撃者達は見えない何かに吹き飛ばされていった。


「な、何だ、あんたらは?……っ、カリナにジマ!?お前達は村を抜け出したのではなかったか?他の者達はどうした」


 入り口を守っていたドワーフの男が声を掛けてくる。


「村の外にも見張りがいたんだ。今、この人達の仲間が助けてくれてる。アタシ達は先行して村に来た」


「余所者なんぞの力に頼るのか!?」


「つまらん意地を張るんじゃない!この人達が居なかったらジマは崖下で御陀仏だったんだ!今もあの連中を吹っ飛ばしてくれたのにお礼も言えないのか、この石頭!」


「ぬう~」


 憤懣やるせないといった面持ちで唸るドワーフ。他の男達はクリスが吹っ飛ばした山賊共に縄を掛けている。


「これで全部ですか~?」

 周囲を見回しながら問うクリスに、


「い、いや。頭目らしき男がどっかに居た筈だが……」


 と、建物の裏手で大きな破壊音と建物の中から子供達の泣き声が上がった。


「……っ!!入り口の護りに数人残れ!後は付いて来いっ!」


 いち早く状況を把握したドワーフが怒鳴り、走り出す。俺とクリスも共に駆け出し裏手に回る。

 そこには石造りの建物を力任せにぶち抜いた穴と、右手にでかい斧、左手に少女を捕らえた巨漢が仁王立ちしていた。


「くそったれな役立たず共がっ!時間稼ぎすらまともに出来ねえのかよ!」


 醜悪な顔を更に歪ませ、苛立ちも隠さず吠えたてる巨漢。


「どけよ。この嬢ちゃんに余計な怪我をさせたくなけりゃな」


 自分の前に少女を立たせ、威嚇するように斧を振る。ジワジワと建物を離れていく男の姿の向こうに、建物の中の様子が見えた。

 血を流したまま横たわる母親らしき女性とそれに縋りつく男の子の姿。それに目の前の暴力的な男の姿が呼び水となって、遠い過去がフラッシュバックとなり襲いかかってきた。


「……っぁああ!!」


 カッと頭の中が一瞬で沸き男に殴りかかる。

 虚を突かれた男は、一瞬遅れて腕を振り、斧を掴んだ腕で俺を建物の中まで吹き飛ばす。


「この野郎!人質がどうなっても……ガアッ!?」


 闇魔術・【影渡り】。何もない虚空から突如現れたルーによって男の左腕が刺され、握る力が弱った隙に男の手を振り解き、少女は一目散に逃げ去った。


「ふ、ふざけやがってえ!」


「ふざけてんのはてめえだ、屑が」


 吐き捨てるように言い放ち、男が壊した瓦礫を一気に支配下に置く。


「【自由自在】」

 一度に複数の対象に掛けると物凄く魔力消費が跳ね上がるが、知ったこっちゃない。こいつは全力でボコると心に決めた。


「ひ、ひいぃっ!?何なんだ手前ェ!?や、やめ……」


『死にさらせ、カス』


 日本語で言い放ち、ほぼ無抵抗の敵を容赦なく血祭りに上げた。



無双奥義、炸裂!


キレた主人公は凶悪度が上がり品位が下がります。

幼い頃に見ていた父親の言動が影響してます。

雀百まで踊り忘れず……違うかf(^^;


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