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王都ダーラムでは、若い男女が付き添いもなしに街でお茶を飲むなんて、当たり前のことらしい。
ガタカン帝国と戦争中だなんて気配はどこにもない。
冒険者ギルドで達成報酬を受け取ったあと、ジャンと一緒に入った、大通りに面した明るい喫茶店は、若い女の子たちのグループや、楽しげに語らうカップルや、ちょっと気取った奥様方でにぎわっていた。
あ、ちっちゃい愛玩犬抱いてる人もいる。
え?俺様も入店していいの?
いやー、文明っていいなー。
うん、こんな雰囲気に慣れてたら、あの気難しいヨルカの嫁になんて、なりたくないよなぁ。
敬語は止めてとジャニーンに言われて、気さくな友達口調になったジャンは、小姓から騎士見習いになったばかりの十五歳。
王都へ来るのはこれで三度目なんだって。
「君たちの護衛の後は、ダンスクへ行く商隊の護衛をして戻るんだ。
秋冬の狩猟シーズンに向けて、貴族たちが来る前にいろいろ準備をするんだよ」
大掛かりな狩りをする領主館に滞在するお客や、たくさんの別荘の準備。
貴族たちの社交場にもなる秋のスターカム台地は、臨時の雇われ人や貴族目当ての商売の人々でにぎわう。
「レスリーさんも、そろそろ北山の森の調査を終える頃だわ」
強すぎる魔物なんかが出ないように、狩場の調整をしておくのも、裏方の冒険者たちの仕事だ。
「君みたいな子が冒険者で、フィアレス・リーの知り合いだなんて、驚いたよ。
あ、変な意味じゃなく、かっこいいと思ってさ」
A級冒険者のレスリーの名は、騎士団の間でも有名らしい。




