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王都と魔法学院の話を避ければ、ジャニーンは古臭い因習の中で育ったとは思えぬ、話しやすい良い子だった。
毎晩の寝る前のおしゃべりを、俺は外で見張りながら楽しく聞いている。
「その『ねこさん』とは、ずいぶん長く一緒にいるの?」
「うん、私が三歳の時に生まれたの。
母犬のラスはテックスに似た白と黒のきれいな犬だったわ」
「ふーん・・・
じゃあ十歳近いのか。
牧羊犬は普通十歳から十二歳で引退するんだけど、この子はずいぶん若く見えるわね」
犬の寿命を知らなかった姫さんはびっくりしたみたいだ。
翌朝、ごはんの後で俺に近づいた姫さんは。
「ちょっと、見せてね」
って、かぱっと俺の口を開いて・・・
あがが・・・
え、歯を見たいって?
まだ若犬のきれいな歯だよー。
骨をかじって歯磨きしてるし、ちゃんとクリーンかけてるし。
あががが・・・
・・・そう、歯で見る俺の年か。
・・・俺の寿命はね・・・
ジャニーンが近くにいないことを確かめて、俺は姫さんに『お手』をさせる。
そう、小さなころよくやったみたいに、ゆっくり魔力の交換をする。
俺が魔法を使えるってことは、俺と姫さんとノアだけの秘密。
ほら、人間の魔法使いって、普通の人より長生きするだろう?
犬も魔法が使えれば、人間並みに長生きするんだよ。
だから大丈夫。心配することはないからね、姫さん。
・・・人間並み?
うん、まあ、そういう事にしておこう・・・




