5、歌を聞きながら執筆するのが好き
小説を書いている時に、音楽を聞くのが好きです。
聖騎士団シリーズを書いている時によく聞くのは、「スカボローフェア」。ケルティック・ウーマンのカバーも好きですが、サラ・ブライトマンが歌っているものも好きなので、大抵どちらかを聞くことが多いです。
スピンオフを書いていた時によく聞いていたのが、「You Raise Me Up」。あなたが支えてくれるから強くなれるという歌詞は、普段とても強いのに繊細な心も持ち合わせている女性が、いつも寄り添ってくれる、ふわふわの彼に対する思いを歌っているようで好きです。
猫の肩はどこなのだろうか、という疑問はおくとして。彼女が戦い続けられたのは、高貴なモフモフの彼が支えてくれたからなのは間違いないので。
ケット・シーの王様は、耳が蕩けるようなバリトンの声で「Lavender’s Blue」を口ずさみながら、愛する人のために料理をしていそうです。さて、彼の想い人は、いつか彼の女王になってくれるのでしょうか。
しかし、彼はワーカホリックな長男気質なので、もし自分の国でこの歌を歌っていたら「陛下、少しはその歌詞通りに、女王陛下とのんびりお過ごし下さい!」と国民たちに言われそうです。
現在連載中のお話の主人公。
最初は、中華風の国の出身でもあり、まだ少年と言いたくなるくらい若い男子の初恋のお話ということで、「大きな河と小さな恋」(某大手飲料メーカーの烏龍茶のコマーシャルソングとして有名です)をイメージしていました。
しかし、実を言えば、彼を主人公に抜擢するよりずっと前、登場人物の口から初めて彼の名前が出て来た時から、彼の生い立ちや性格などの設定は決まっていました。その設定が、どうしても「大きな河と小さな恋」の爽やかで優しいイメージの邪魔をするのです。
大好きな曲なのに、聞いていても何だか筆が進まない。「蘇州夜曲」ではないし、初音ミクの「千本桜」も違う。米津玄師の「春雷」も少し違う。一番しっくり来たのは、ナナムジカの「Ta−lila〜僕を探して〜」でした。
これなら職務上、歌って踊る彼にぴったり。銀色の雨(彼の上司の必殺技)も降ることですし。
……こうして、またしても当初考えていた路線から外れてしまいました。
しかし、それでも良いかな、と思っています。
物語を書く時、作者には二つのタイプがあると思います。登場人物に自分を投影させて、作品世界に没頭するタイプと、引いた視点で登場人物を描いていくタイプ。
勿論、自分が作品世界の登場人物になって、自分の世界を楽しみながら書くのも素敵だと思います。それこそ、作者にしか出来ない特権ですから。
一方、私の場合は、せっかく物語を書くなら、自分の投影ではなくて、全くの他人を書いてみたいと思いながら書いています。どうしてその登場人物がそのような行動をするのか、そこにどのような必然性があるのか、知りたくなるからです。ヒーローであれ、ヒロインであれ、悪役であれ。そして、全くの他人がどのようにぶつかり合うのか見てみたいと思っています。
だから、私の作品の登場人物たちの設定は、いつ誰が主人公になってもいいくらいに作っています。彼らがそれぞれ勝手に自分たちの話を始めるまで。
私は、その彼らの話を聞きながら、批判したり、軌道修整したり、全面採用したりします。それから、どうしてそのような言動をするのか、質問攻めにすることもあります。
彼らは時に私の言うことを聞かないし、私も時に彼らを容赦なく突き放す。執筆中、私の頭の中では、個性派俳優たちと、総監督たる私の戦いが繰り広げられています。
そして、その戦いの場には、相応しいBGMが流れている。
それが、私の執筆風景です。
そして、現在主人公を務めている彼は、礼儀正しい美少女顔ながら中身は全く大人しい性格ではないので、古箏で初音ミクの「千本桜」のようなテンポの早い曲を演奏していそうです。




