第38話
止むを得ず、エルナは、雷の城に戻ることにした。
すると、漆黒の霧が広がり始めて、いっぺんに覆い被った。
だが、鈴谷が、雷の結界を展開した。
(鈴谷が気づいたんだ。童もすぐに戻らなきゃ。)
急いで、雷の城に戻った。
エルナの属性で結界をするりと通り抜けた。
漆黒の霧は、バチンと弾かれたのだ。
これで、一時しのぎに過ぎなかったようだ。
シーホープ号の様子では・・・。
すでに一日が過ぎていて、水の属性世界が見えてきた。
また、水の属性世界では、一般の市民が無かった。
上陸して、水の属性世界で何が起きたのかを水の城に向かうことにした。
港に着けて、乗員している全員が上陸した。
港の前に水の結界が張っていた。
つまり、他の属性世界が同じだ。
「なんてことだ。水の世界で全てを囲うとは・・・。」
スバルは、水の魔鉱石を取り出して、水の結界に穴を開けた。
「よし、みんな急げ。」
バタバタで、一斉に入っていった。
水の魔鉱石の効力が失い、水の結界も閉じた。
「みんな大丈夫か。」
「「「おうっ!!」」」
船に残すのもメリットが無いのだろう。
「オラ、土朱里お姉ちゃんがどこにいるか、探してみる。」
「わかった。助けが必要になったら、魔鉱石の反応を確認しておくれ。」
「うん。」
土藁氏は、姉の土朱里を探し始めた。
スバル達も水の城に向かい、街中を歩いていた。
桜花は、様子を伺っていた。
(みんな、漆黒の気配に気づいているのかしら。)
そう思っていた。
「桜花、すまないが、俺と一緒に付き合ってくれ。」
「わかった。水の城に行って、話を聞きに行こう。」
スバルも頷いた。
「角之助と三夏は、ここの宿を探しておいてくれ。」
「ああ。なんだか、俺のことを注目されているからな。」
「うん。僕も水の城に立ち入ることも気まずい。」
甘恵、セイウチ、ナイトもいれば、大丈夫だろう。
「スバルは、先に役目を果たして、何か分かって来たら、報告しておくれ。」
「ああ。」
スバルと桜花は、水の城に向かい、残った角之助達も宿を探していた。
角之助は、警戒されつつ、宿を探して、相手の目を気にする暇もないのだ。
見つけ出した宿は、二階建ての木製の和風の旅館だ。
出入口に入り、受付を始めた。
「あの。部屋は、空いてますか。」
受付も答えた。
「はい。何名様でしょうか。」
「8人だ。」
「畏まりました。3部屋ご利用することをお勧めいたします。」
「わかった。それで頼む。」
旅館の仲居は、それぞれの部屋に案内され、利用することとなった。
「ま、十分な部屋になっているのだろうな。」
「ああ。俺は、スバルの部屋で同室だ。」
「それもそうだな。三夏は、どうなんだい。」
三夏の姿が無かった。
三夏は、今の旅館で調理場が気になっていた。
「あっ、そんなことをしたら、味が良くないよ。」
三夏の料理魂が目覚めていた。
的確に指摘をし、調味料と食材をこなしていた。
後に、女将が調理場に現れて、三夏の料理を試食していた。
「うむ。これは、美味だ。」
頷く程、納得したようだ。
「あの、何か気に入らないことは、ございますか。」
「いや、お主の料理の腕が気に入った。我が旅館で働いてみないか。」
「そのことなんですけど。短期で働かせてください。」
「そうか。なら、思う存分宿泊したまえ。また、人数分の賄いも差し上げます。」
「あっ、ありがとうございます。」
三夏は、仲間の為に支えるつもりだ。
土藁氏が返ってくることを願うばかりだ。
スバルと桜花は、水の城に向かい、到着していた。
門番の兵士は、注目されていた。
「そこの者、止まりなさい。」
「俺は、スバルだ。」
「私は、桜花です。」
「ほう。城内に入れる許可証は持っているのか。」
「それなら、あります。」
桜花は、懐からホウル王者の許可状を提示した。
「むっ、これは・・・。」
兵士も水の王女の印鑑が押されていることを確認した。
「これは、大変失礼いたしました。王女様もお待ちになっております。」
「お願いします。」
兵士は、水の城の扉を開いて、スバルと桜花を通した。
城内の案内人に案内され、王室に連れて行かれた。
「失礼します。スバル様と桜花様をお連れ致しました。」
「通しなさい。」
案内人が扉を開いた。
スバルと桜花は、アクアクイーン4世の前にひれ伏した。
「頭をお上げください。」
スバルと桜花は、頭を上げた。
「では、お話をいたします。不気味な気配が落下してしまいまして、わが国にも被害が起きました。」
一旦、間を空けて、今の状況を整っていることを話した。
「最終手段で、水の結界を展開することしか出来ませんでした。」
水の属性世界と一般市民を守るために結界を張っている。
いつ襲撃に合うかは、わからないからだ。
「それに謎の漆黒の気配が不明です。其方達は、何かご存じですか。」
「はい。別の属性世界で漆黒の塊を目撃しました。」
「それが、得体のしれない不気味な邪気がそうだったのですね。」
「はい。それぞれの属性世界の源を吸い取って、崩壊させるかもしれないです。」
「そうですか。一刻も早く、漆黒の塊を倒さなければならないのですね。」
「私達も早く、漆黒の塊を倒さないと大変なことになります。」
「ええ。其方達に一生のお願いになるのかもしれません。漆黒の塊を一刻も早く、お願いいたします。」
「わかりました。今すぐに気配のする場所に向かいます。」
「お願いいたします。」
桜花とスバルは、王室から退出し、城内から出た。
「桜花、光の魔鉱石を使ってみよう。」
「ええ。」
桜花は、スバルの指示に従い、光の魔鉱石をかざした。
かざした瞬間、小さな光が発光し、散っていった。
「これって・・・。」
「俺もそうだったんだなと思った。」
桜花の魔鉱石で相手が持っている魔鉱石に向かい、仲間の元に集める合図を行っているようだ。
果たして、気づいてくれるのだろうか。
水の旅館では、三夏が、調理場を手伝っている。
調理場もドタバタだ。
角之助も部屋でゆっくりとしていた。
桜花が放っていた小さな光が角之助の元に到着した。
「なんだ・・・。まぶしい。」
それに気づいて、光方の色をみわけた。
「これは・・・。桜花の光かっ!!!」
角之助も立ち上がって、桜花の元に向かった。
(桜花から助けが必要だな。)
急がねばと判断した。
土藁氏の様子では、まだ、姉を探していた。
水の属性世界の喫茶店を営業している場所を当たっていた。
だが、働いている場所も見当たらない。
土藁氏の元に桜花の小さな光が出迎えていた。
「えっ、もしかして・・・。」
土藁氏の懐に土の魔鉱石を取り出し、反応していた。
「桜花が助けを求めている。」
土藁氏もこうしてはいられないと思ったからだ。
急いで桜花の元に向かった。
土の代行者の力を借りて、土石器となる。
桜花とスバルは、中央の街に集まり、角之助と土石器が集まった。
「みんな、集まったわね。」
「「「おうっ!」」」
水の属性世界内の漆黒の塊を探し始めた。
「私も感じる。西の方に邪気の気配がするわ。」
「行ってみる価値はあるな。」
スバルもそうした。
「オラも賛成だ。」
「そうだな。」
一斉に西の方面に向かった。
「見えて来たわ。結界の先にあるわ。」
外側に漆黒の塊が潜んでいて、近づこうとした。
だが、桜花達が近づいた瞬間に漆黒の塊が反応し、邪気を放っていた。
代行者達も魔鉱石を利用し、超モードへと変わった。
結界を超えようとするとするりと抜けた。
超モードになった瞬間にこのように利用することが出来るようだ。
漆黒の塊の姿は、10メートル級の巨人となり、暴れ始めた。
足を上げてしまったら、水の属性世界に被害が増大だ。
「急いだほうがいいな。」
「ええ。」
「俺に任せろ。」
角之助は、剣を抜き、火の魔力を剣に集中し、振り払った。
びくともしなかった。
2024/8/21
「何と言う事だ。俺の攻撃じゃ、歯が立たん。」
「オラに任せて。」
土石器は、勢いよく体当たりしてきた。
それでも、弾かれた。
弾かれた土石器は、反動で宙がえった。
すぐに態勢を整えた。
「まだ行くよっ!」
土石器も魔力を集中し、威力を高めた。
再び、突撃し、巨人の中央に当てた。
微妙によろけてきたが、まだ、無傷だ。
「それでも、だめだったのか。」
スバルは、ひらめいた。
「土石器。あの巨人の足元を土の力を狙えるか。」
「うん。何とかやってみる。」
土石器の両手を構えて、巨人の足元を狙い、よろけ始めた。
「いいぞ、土石器。後は任せろ。」
スバルも水の力を利用し、土の力を植え付けた部分に当てた。
すると、勢いよく植物の芽が生えて、漆黒の巨人の足に絡まった。
「スバル、これは・・・。」
「ああ。この組み合わせで、動きも止められる。」
地面が沈んでいて、抗っても脱出が不可能な程に取り押さえた。
しかし、漆黒の巨人の右手から振り払いだし、スバルと土石器に攻撃を始めた。
「ぬううううんっ!」
角之助は、右手を狙い、剣がこもった火の魔力で反撃した。
「油断大敵だっ!」
「すまんな。」
「ありがとう。」
桜花もこうしちゃいられないと動き始めた。
桜花の身体に魔力を集めて、漆黒の巨人を足止めさせる光の属性攻撃を整えた。
「シャイニング・フラッシュ!」
漆黒の巨人に向けて、大型の巨人を弱めて、弱体化した。
身体内の漆黒の塊を探して、それを破壊すれば、事態が収まるからだ。
しかし、絡まった植物もするりと抜けて、逃げ出した。
「逃がさんぞ。」
スバルの槍を構えて、水の魔力を集めた。
「アクア・ホーミング!」
槍を振り払って、逃げ出した巨人の足に狙って、地面に沈めた。
さらに、土石器は、倒れている巨人の背中にめがけて、突進した。
漆黒の巨人にもダメージを与えさせた。
先程の(シャイニング・フラッシュ)で身体を薄めた。
「見えて来たぞ桜花。」
角之助もはっきりわかるように漆黒の塊を指した。
「おし、桜花っ!今だっ!」
「はぁぁぁっ!やぁっ!!」
桜花の剣で漆黒の塊を指して、真っ二つに割れ、漆黒の邪気も浄化していった。
そして、消えていった邪気は、空に向けて、漆黒の魔王に集められた。
桜花は、まさかと思っていた。
(まさか、それぞれの属性世界の源を吸い取って、主の元に集められる。)
ただ、漆黒の塊を倒すことが精いっぱいのようだ。
桜花達は、急いでアクアクイーン4世の元に向かわねばならなかった。
水の結界が消えて、気づいたように薄まっていた。
桜花達も気にせず、水の城に向かう。
このことを早く報告をしなければ・・・。
残っている魔力を利用し、飛翔した。
水の城に到着し、門の前で解除した。
着陸した瞬間、桜花達の身体がよろけていた。
最後までの底をついたようだ。
門番の兵士は、桜花達の姿に気づいて、すぐに駆け付けた。
角之助も長時間の超モードを初めて使った。
「大丈夫ですか。」
桜花達も何も言わなかった。
「すぐにお運びをしろ。」
兵士達は、急いで城内の個室へ運ばれた。
兵士の隊長は、アクアクイーン4世に報告をした。
「失礼します。桜花様が戻られました。」
「それは、本当ですか。それに漆黒の邪気の気配が感じられませんでした。」
「だとしましたら、退治に成功したのでしょうか。」
「可能性はあります。彼女たちの様子はいかがかしら。」
「ははっ。運び込まれた部屋で眠っております。」
「そうですか。桜花様達が目を覚まされ次第、おもてなしをしなさい。」
「ははっ。」
アクアクイーン4世の意思に従い、城内の業務を行うこととなる。
旅館の方では・・・。
三夏は、相変わらず、調理場の方で働いている。
夕方の時で、来客が大詰めだ。
料理長も大慌てで、指示を出し、個室に調理されたお盆を配膳する。
「おし、これで最後だ。気合い入れろ。」
「「「はいっ!!!」」」
料理人と三夏は、急がされている。
ナイトと甘恵は、男女の大浴場の清掃をされていた。
「時間がないぞ。」
「ええ。わかっているわ。」
先に女湯を済ませていて、残りが男湯であった。
旅館の女将もおっかなかったようだ。
そりゃ厳しい世界だ。
振り分けられた仕事をこなして、終わらせた。
それぞれは、自室に戻った。
一日の仕事も大変だ。
一日が過ぎ、先に目を覚ましたのが桜花だった。
「あれ、私は・・・。」
漆黒の塊を倒して、早急に水の城に戻っていた。
部屋から出た桜花は、王女の元に向かうところだ。
城内のメイドから声を掛けられた。
「桜花様。おはようございます。食事はいかがでしょうか。」
「は、はい。お願いします。」
城内の食堂に案内され、席に座った。
用意され、食事に入った。
それを済まして、王女の元に向かうことにした。
「お済みでしょうか。」
「ええ。」
「桜花様に王女様がお呼びになられております。」
案内人の指示に従い、王室に足を運んだ。
「失礼します。桜花様をお連れになりました。」
「通しなさい。」
扉を開けて、アクアクイーン4世の前にひれ伏した。
「頭をお上げになってください。」
桜花は、頭を上げた。
「お話に入ります。謎の邪気が突然と消えてしまいまして、水の属性世界を救っていただいてありがとうございます。」
「はい。私たちは、全ての漆黒の塊を食い止めることが優先でございます。」
「そうですか。先日の騒ぎが治まり、平和となりました。」
そうでなければ、漆黒の塊も殲滅するべきであろう。
「そこで、桜花様達にお礼を申し上げます。」




