第21話
アグラスは、兵士を呼び、離れにある領域の調査に入った。
巡回役の作成した地図の通りに足を運んだ。
「巡回役が作成した地図の通りだな。」
兵士は、見覚えがあるようだ。
「ええ。俺もそこら辺を通ったことがあるが・・・。」
「仕方があるまい。其方が単独で戦える状況ではないだろう。」
アグラスもその先のアジトが、裏切り者も何人か分かる訳ではない。
「無闇に突っ込むことが出来ないのも分かる。後は、我輩に任せろ。其方達は、城に戻って、業務に勤
めたまえ。」
「「「ははっ!」」」
兵士も城に戻って、アグラスは、アジトの出入口を探し始めた。
ところが、裏切り者の監視役は、もうバレたのかと感づいていた。
監視役は、伝声管で小言を仲間達に知らせた。
「まずいぞっ!アグラスが嗅ぎまわってきた。」
地下の作業員も慌てていた。
「慌てるな。出入口に気づかれない様にそのまま作業を続けろ。」
Dr.ガイもその声に聞こえて、作業を慌てて進めていた。
アグラスも出入口が分らないまま、探しまくっていた。
すると、太陽の光で反射した望遠鏡のガラスに気づいて、出入口はそこかと確信した。
「ハッ!」
アグラスは、炎の波動砲を放った。
「ぐああああっ!」
(見つけたぞ。)
山の様に積まれていた土と泥の組み合わせで、バラバラに崩れていった。
目の前には、大きな空洞が見えていた。
さらに、地下が続いていた。
「おい、見つかったぞ。船は、まだか。」
Dr.ガイは、もうすぐで完成に近づいていた。
「おっしゃ、完成したぞ。すぐに出航できる。」
地下にいた火の作業員は、海に面する扉を開けて、海が浸水し始めていた。
「なっ・・・。」
アグラスも驚いていた。
炎隊騎士の三人トリオも地下に潜んでいて、その船に乗った。
続けて、何人かの兵隊も乗り込んだ。
「おっしゃ、そのまま出航じゃ。」
「「「おうっ!」」」
Dr.ガイとタツミゾンビも乗り込み、地下のアジトを去っていった。
取り残された裏切り者の兵士と兵隊が、アグラスの餌食にされていた。
だが、処刑にする訳には、いかなかったのだ。
「こんなに裏切り者がいるとはな。」
止むを得ず、アグラスの体力が衰えると判断し、全てを片付けるのを止めていた。
地上に戻ったアグラスは、発煙筒を発射し、城にいる仲間達に知らせた。
庭園の監視塔に監視員は、赤の発煙筒に気づいて、緊急の合図だ。
「アグラス様の緊急の合図だ。兵隊は、アグラス様に続け。」
「「「はっ!」」」
手の空いている兵隊を出動させ、遠い領域に向かった。
兵隊は、アグラスの下に到着し、アグラスの姿は、ボロボロだった。
「アグラス様。」
兵隊は、すぐに駆け付けて、アグラスを城に運び出した。
「すまぬな。」
「いえ、本当にお疲れ様です。」
兵隊が見たのが、離れにある領域がぼっこり穴が空いているようだ。
「これは、何と言う事だ。」
兵隊も城に急いでアグラスを運び込むことに判断した。
兵隊は、城に到着し、アグラスは、医務室に運び込まれた。
(アグラス様。ご無事で願っております。)
そうぼそりと思っていた。
火の属性世界のアグラスが回復するまで、動ける状況ではないようだ。
Dr.ガイとタツミゾンビも大型の船を完成して、火の属性世界から脱出したのだ。
「タツミゾンビ。お前は、覆面仮面になって、Dr.タニック号を迎えさせろ。」
「うす。ガイガイッサーッ!」
タツミゾンビから覆面仮面に変わり、飛翔して、Dr.タニック号に向かっていた。
「おいおい、この俺達を裏切るのか。」
「何を勘違いしているんだ。ワシの船を迎えに来させるだけじゃ。」
炎隊騎士もそれもそうだなと納得した。
なんせ、大型の船を作りあげたからだ。
「ま、迎えが来るまで待ってなよ。」
「心配はいらん。もうすぐ来る頃じゃ。」
すると、エンジンの音が鳴り、漆黒の船のDr.タニック号の姿が見えてきた。
「そんじゃ、世話になったな。」
「おう、感謝するぜ。」
Dr.ガイは、漆黒の船に乗り移り、火の属性の乗員と別れた。
「ただいま。」
「親方。本当に良かった。」
「ふむ。順調に直った様だな。」
「はい、親方。船内もきれいになっております。」
ナルコギャルが出てきて、行きたい場所に話し始めた。
「ねぇねぇ。風の属性世界に行ってみたいわ。」
Dr.ガイは、今の針路に気づいて、舵を変更した。
「おし、風の属性世界へ進むぞ。」
サイボーグ壱・弐号も舵と機械室を操作していた。
(距離的には、まだあるようだ。)
その間に休憩に入っていた。
風の属性世界に到着するまでは、時間がかかるのだろう。
土の属性世界の戦いから火の属性の大型の船は、火の属性世界に帰還していた。
角之助が監視に入っているので、火の属性世界に戻ってきた。
港では、数多くの兵士と兵隊が並んでいた。
「あっ、角之助っ!」
「戻ってきたぞ。アグラス様に聞きたいことがあって来たんだ。」
「左様ですか。」
「ああ。城に向かわせてくれ。」
すると、一台の馬車が現れた。
「その必要はない。」
馬車から出て来たアグラスは、角之助に出迎えた。
「長旅、お疲れ。ここは、我輩に任せろ。」
角之助は、長旅の疲れもあって、宿を探していた。
「まぁ、待て。我輩の馬車に乗れ。我が城に泊ってゆくがいい。」
「そうだな。そうさせてもらう。」
角之助も馬車に乗り、1日休むことにした。
アグラスは、港に着いている船で、裏切り者の処罰の仕事が残っていたからだ。
「船に乗っていた裏切り者を引っ立てろっ!」
「「「ははっ!」」」
戻ってきた火の属性の兵士と兵隊は、牢屋に放り込まれた。
だが、火の属性世界で復旧するには、人員の確保が必要なのだろう。
囚人を一時的に開放して、それなりに働かせることで火の属性世界を立ち直らせることが必要なのだ。
ただ、アグラスの命令によって、大型の船の使用を禁じられているのだ。
アグラスは、他の属性世界で出張に出て欲しいと思っていたからだ。
(我輩は、他の属性世界に迷惑をかけてしまったのだ。)
何か良い案があれば、みんなで協力することが出来れば。
大型の船が出来てしまった以上は、どうすることも出来なかった。
(我輩の世界で船の責任者に任せればいいのか。)
火の属性世界の港の責任者を立ち上げることにした。
アグラスも悩んでいることがあった。
(我が国で土地が荒らされて、復興が追いつけれるかがわからない状況だからだな。)
離れにある領域を放棄しなければならなかったようだ。
(あるいは、神に頼むしかないのかもな。)
アグラスも弱音を吐いていた。
だが、今は出来ることを必死に頑張っているからだ。
個室を利用している角之助は、ぐっすりと眠っていた。
すると、火の属性世界で異変が起きた。
自身が発生した訳でもないのに、アグラスは、気配を感じた。
(まさか、火の精霊なのか。)
アグラスの頭の中に火の属性の精霊から話をかけられた。
(貴様は、何様のつもりだ。)
(申し訳ございません。我輩の不注意でこの様なこととなってしまいました。)
(貴様は、国の為に尽くしているのか。)
(ははっ。全ての不始末を背負っている所存であります。)
(そうか。貴様の王の座を剥奪するつもりはない。続けて今の世界で立ち直らせる役目を果たしたま
え。)
(ははっ。仰せのままに。)
(良かろう。もう一人に代行者の役目を与えようと思っている。)
(なんと。本当にお考えなのですか。)
(当然のこと。本気だ。)
火の属性の精霊は、候補者を探している。
(我は、他の属性の精霊に習って、代行者の候補者を探すことにした。)
しかし、城の中には、候補者がいた。
火の属性の精霊は、角之助に向かっていた。
眠っている角之助を心に話しかけた。
角之助の意識は、無重力の中に包まれたようだ。
「なっ、ここは・・・。」
目の前には、火の属性の精霊が現われた。
「汝は、何を望むのか。」
「俺は、・・・。」
「貴様には、まだ、雑念が残っている様だな。」
「俺は、わかっているはずなんだ。」
火の属性の精霊は、角之助の様子を待っていた。
「俺は、みんなの役に立つために旅をしたが、俺の故郷で問題が起きていたんだ。」
「それならわかっているはずだ。」
角之助も決心がついていたようだ。
「俺は、今の世界を滅びたくない。アグラスの王の気持ちを分かりあいたい。」
「そうか。だが、それだけでは、務まることも出来ぬのだぞ。」
考えてみたら、全ての世界がどうなってもいいのかと問われている。
「じゃあ、俺は、今の世界を壊してみせる。」
「なっ・・・!」
「法則に縛り着くぐらいなら、俺が、いっそのこと壊してやるんだ。」
火の属性の精霊は、角之助の言葉に驚いている。
「合っているか間違っているかは、この俺が決めることだ。」
それなりにまっすぐだ。
「良かろう。其方には、火の属性の代行者に任命とする。」
火の属性の精霊は、角之助の心に火の属性の魂を授けていた。
「この感じは・・・。」
「其方には、全ての世界を救うための使命を与えたのだ。」
角之助もそう言えば、土の属性世界で土藁氏の様に背負っていることだった。
「ああ。俺は、曲げない。」
「良い心がけだ。」
角之助も迷いがなくなったように決心が付いたようだ。
角之助は、目が覚めて、身体が軽くなっているようだ。
「俺は・・・。」
角之助もアグラスに聞きたいことがあったからだ。
すぐに起きて、王室に向かっていた。
「そこのあなた。王室の前に失礼ですよ。」
「待ちなさい。アグラス様も分かっております。」
城内のメイドも下がっていった。
執事は、王室の扉にノックした。
「失礼します。角之助様がお見えになりました。」
「通せ。」
執事が扉を開けて、王室に入った。
「失礼します。ご無礼をお許しください。」
「良い。角之助も聞きたいことがあったのでは。」
「ああ。俺が旅をしている間に、土の属性世界で火の属性の船が付いていたんだ。先日の船をここに連
れてきた。」
「ふむ。それはご苦労なことだ。我輩もそのことについて話そうと思ったのだよ。」
角之助もそれは何だと思った。
「我輩は、火の属性世界で離れにあった領域を見つけ出して、知らぬ間に無断で使われていたんだ。」
「なんだって。」
「そう。囚人は、一時的に釈放をし、火の属性世界を立て直す計画を考えたんだ。」
「じゃあ、乗っていた船を使わせたのか。」
「左様。そうでなければ手に負えないからだ。」
角之助もこのままで良いのかと思っていた。
当然ながら、罪を償いながら働く実感を味合わせることが大切だろう。
「角之助に頼みたいことがある。」
それを受け入れた。
「其方は、全世界を救うために旅をもう一度行って欲しいんだ。」
角之助も気になる部分もあった。
「シーホープ号を合流するには、どうしたらいいか。」
「心配はいらん。港にある船に乗ればよい。」
「それもそうか。」
すると、ノックの音が鳴った。
「失礼します。電報が届いております。」
電報を受け取ったアグラスは、目を通して、丁度良いと思っていた。
「ふむ。丁度良かろう。船の運送不足で手に負えなかった状況か。」
渡来して欲しい属性世界があったからだ。
「よし、わかった。角之助を乗せたまえ。其方には、嵐を払って欲しいんだ。」
「ただ、俺が仲間の元に合流するのも短いと思います。」
「それなら構わん。また、敵が現われたら、追い払って欲しいんだ。」
「その方が良いのかもしれないな。」
角之助も納得したようだ。
「それで、いつ出航するんだ。」
「本日の夕方に出航する。準備をしたまえ。」
「はっ。」
角之助も気づいていることがあった。
「それで、離れにあったあの船を作ったのは誰なんだ。」
「我輩が聞くには、Dr.ガイと聞いたが。」
「何っ!あいつがそこら辺を匿っていたのか。」
「奴の情報が不十分でな。奴が大きなたくらみを起こされる前に何とかしてほしいんだ。」
「それだったら、旅をするきっかけとなるな。」
アグラスの話も終わり、夕方に船が出航した。
アグラスは、角之助の健闘を祈っていた。
(我が全世界に救う手立てを・・・。)
火の属性世界を支えることが出来るのは、アグラスと火の属性世界に住む人間だったからだ。
それでも頑張る道しかないようだ。
シーホープ号は、土の属性世界から出航して、近くの属性世界に到着したようだ。
目の前には、木の属性世界にそっくりな柱で、細長い柱となっていた。
ちなみにバランスが整っているようにぶら下がっている。
「あれは・・・。」
スバルも見たことのない世界を目の当たりにした。
すると、宙に浮かんできた人間が現われた。
「そこの船は何をしに来たのですか。」
桜花は答えた。
「私たちは、旅人です。」
「そうですか。本日の夕方には、嵐が参りますので泊ってください。」
「本当ですか。それにここはどこですか。」
「この世界は、風の属性世界でございます。」
「ありがとう。」
「僕の名前は、ワタリボーズです。」
ワタリボーズは、風の属性世界の巡回役を行っていた。
「風の属性世界は、大変なんだな。」
スバルは、率直な答えを発言していた。
「ちょっと、スバル。失礼でしょ。」
桜花も注意していた。
「ああ、いえ。慣れておりますので。」
「本当にごめんなさい。」
ワタリボーズも頭を下げていた。
「はい。ありがとうございます。」
お辞儀をして、そのまま去っていった。




