No.006 狂戦士
血塗れです。
やり過ぎました……
ー 狂戦士 ー
それは北欧神話に登場する戦士達の呼称である。ベルセルクは軍神オーディンの神通力を受けた者で、戦闘時には熊や狼などの野獣になりきって暴走う。その時、ベルセルク達は忘却状態となり、敵味方の区別をせず、肉親すら攻撃する。しかし、その戦闘能力は強大であり、『犬や狼のように荒々しく、熊や闘牛よりも力強い。その体は火や鉄でも傷つかず、無敵となる』と称される程である。
ー 上位特別戦闘MT ー
このMTは神話のベルセルクの戦闘能力を踏襲しており、1機でMT1ヶ大隊100機を殲滅出来る程だ。(ただし、暴走はしない)ベルセルクは各種MTのエース機を超える移動速度と攻撃力、装甲に旋回能力を持っている。
白に少しの黒と赤が混じったボディと、空戦型のような青い無骨な翼、両肩に付いた細長い卵を半分に切って付けたようなウェポンシールド。全身に多数の武器を装備したこの機体はソウルリキッドの旗印とも言える。
そんな機体のメインウェポンが、今現在ゴルディラン平原で猛威を振るっている多目的近接戦闘兵器ー ファンタジアアームズ ーである。
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ライデルング皇国将軍ゴリスティア・オーリス
「な、なんだ奴らは!」
「わ、分かりません。しかし、奴らは二桁程度の人数で先頭のモンスター達を次々と殺しています」
俺の目の前では考えられない事が起きている。何故か王都から出てきたファイデンブルグの兵を叩き潰そうとした所、いきなり空の上から3m程の鎧人が落ちて来て、我が軍のモンスターを八つ裂きにしている。
「くそう、こうなったら奴らへ向けて弓に銃、魔法に大砲を打ちまくれ!味方の被害など考えるな!」
「りょ、了解しました!」
奴らが何者かは知らないが、これだけの被害を出したんだ。生かしてはおけん。
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「ははは、良いね〜これ!」
ベルセルク戦闘中隊の中で、一番最初に飛び出し、一番最初にベヒーモスを真っ二つにした俺は、特大の長巻形態だったファンタジアアームズを二本の太刀に変えて暴れていた。
ファンタジアアームズは様々な形態に変形する兵器であり、今現在1基で9種類・2基で7種類に変形する。
『それそれそれそれ〜!歯ごたえのある人はいないの〜?』
雫は二番目に降下した後、両刃剣ふた振りで無双中だ。ちなみに雫は、ベルセルクに乗っている間に限りバトルジャンキーだ。はっきり言って怖い。
俺達の周りでは他68人の中隊員が全員ファンタジアアームズを使っている。形態は様々で、タワーシールドでモンスターの群れに突撃して圧殺したり、大剣で岩竜を上下左右に両断したり、鎌と銃で歩兵を虐殺して暴れたり、特大の斧をトロール相手に振り回して血の川を作ったりしている。全員モンスターも人も関係なく無双中だ。敵もまさかたった70人で50万の突撃が止められるとは思ってもいなかっただろう。
『総統、敵さんが砲撃をするようでっせ』
「そうか、ありがとう。ベルセルク中隊の総員に通達。敵の砲撃は大規模な物は避けろ。他は弾き飛ばせ!」
『『『『『了解!』』』』』
数秒後、矢に銃弾、魔法に砲弾の雨あられが来たが、ベルセルクには効かない。警戒していた大規模魔法も無く、全て装甲に跳ね返された。
「なんだこの程度か。さて、お返しだ‼︎」
俺はファンタジアアームズを使って暴れた。ふた振りの太刀を大剣にして横に一回転し、ベヒーモスとジャイアントオーガを引き裂く。その後タワーシールドにしてスラスター全開で突撃し、ゴーレムとトロールを吹き飛ばす。大鎌に変化させて、10体程のモンスターの頭と胴体を泣き別れさせて血の噴水を作る。突撃槍にして歩兵を5人程串刺しにし、振り回して投げ飛ばす。そして再度特大の長巻にして回転し、30人以上の歩兵を真っ二つにする。たった数秒で辺りは血だまりとなり、ベルセルクの装甲も返り血まみれとなった。
「おっ、ちょうど他の部隊も降りて来たか。ベルセルク中隊、撤収するぞ!」
やっと陸海空戦型のMTが降りて来たので、交代する。このベルセルクと他のMTでは最高高度に違いがあり、ベルセルクは先に降りて来たのだ。そして俺達はニルヴァーナに帰還した。
『マスター、殺し足り無いですよ』
「いやいや、雫をそのままにしておいたら陸海空軍の相手がいなくなるだろ。さっきだって一番多く殺してたじゃ無いか」
『そうですけど〜』
「まだ出番は有るから、それまで待て。これは命令だからな」
『分かりました、マスター』
この時、地上では数の暴力(?)が起きていた。各18000機のMTがモンスターに対してビーム兵器を使ったり、真剣を使っている。正面は陸戦型がビームバズーカを撃ちながら敵を押し返し、側面では海戦型がナイフや鎌で切り裂いたりミサイルで吹き飛ばしたりしている。空からは空戦型が地上に対してビームガトリングで機銃掃射を仕掛け、歩兵を吹き飛ばしている。
またもや無双中だ。
『総統、聞こえますか?』
「聞こえるが、どうした綾香?」
『今の主戦場から30kmの所に敵の援軍を確認しました。数は30万程ですが、どうしますか?』
「来るのが早いな。なら、結衣に陸海空の各第一軍集団を使って壊滅させろ。それと、駆動機を使っても良いと伝えてくれ」
『了解。』
(どうしてこんなに援軍が早いんだ?……そういえばシーゲルグストにはスレイプニールとか言う8本足の馬がいたな……伝令に使ったのか?……では30万は?王都を抑えた後に何処かへ攻め入る部隊だったのか……?)
そんな事を考えているうちにニルヴァーナのハッチに着いた。
『お疲れ様でした、総統……って血だらけ⁉︎』
「騒ぐな。ファンタジアアームズしか使って無いから当然だろう。それより早く通してくれ」
『は、はい。分かりました』
ベルセルクの様子をニルヴァーナのMT管制官である勝村優香大佐に驚かれた。ハッチの中にはカメラもあるから見たのだろうが、驚き過ぎでは無いだろうか?
「おかえりなさい、総統……って血塗れかよ⁉︎洗うの大変だ〜」
「また言われたよ……」
次に驚いたのはベルセルク戦闘中隊専任整備主任の黒川鷹取少将だ。70機全て血塗れだから迷惑をかけるな……
「すまないが、頼むぞ」
「は〜い、分かりました〜」
「ちょっと?マスターに対してその口調は」
「いや、気にしなくていいよ雫。彼等からしたら俺達はわざわざ面倒な仕事を増やした張本人だからな。それよりブリッジに行くぞ」
「はい、分かりましたマスター」
と言うわけでブリッジへと向かうエレベーターに乗った。MTは内部構造がしっかりしているので、軍服のまま乗れるのが強みだ。
「……ええ、よろしくね結衣」
『分かったわ、綾香』
ちょうど伝達が終わったようだ。
「ちょうどいいタイミングだったな」
「あ、総統。お疲れ様でした」
「ああ、次は結衣の番だな」
「そうですね、心配です……」
「おいおい、どこの口が心配なんて言ってるんだ?お前達2人はソウルリキッドで一番の艦隊戦闘の天才じゃ無いか。ちゃんとやってくれるよ」
「そうよ、マスターの言う通り何も心配要らないわ」
「寧ろ心配なのはこの戦いが終わった後なんだよな。しっかりとやらないと」
これからもソウルリキッドの戦いは続いていく。
次は母艦と駆動機が出てきます。
今回は短かったですね……




