No.005 介入
そろそろ戦闘が欲しいですか?
それは次回になります。
ファイデンブルグ王国王城での会議より三日後
サルフォルディア陸橋第三要塞
レンデングスト連合派遣軍総大将
シーゲルグスト教皇国将軍ゲリアート・ムレシス
「ふむ、こんなものか」
わしは4日前に陥落させた第三要塞でヒルディアムス攻略作戦の準備をしておる。第三要塞は空中艦隊のせいでボロボロじゃが、工兵が頑張って防衛設備を作っておるわ。不要じゃろうにな。
「ではヒルディアムスには明日、私が50万の軍を率いて行くと言うことで良いですね」
こやつはライデルング皇国の将軍で、派遣軍の副大将であるゴリスティア・オーリスだわ。なかなか優秀で使い勝手が良いの。
「そうじゃ。奴等はきっと籠城するでおろうから、無理はしなくて良いぞ」
「はっ!了解しました」
こっちには全部で230万の兵がいるからの。さて、敵さんは何日持つかな。
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翌日早朝
ヒルディアムス城壁上
ファイデンブルグ王国第8軍将軍アレクセイ・エンビレウス
「来たか……」
王都の城壁の上にいる俺の前にはレンデングスト連合の軍勢が集まっている。モンスターを前に出し、後方に人間という配置で、約30km先のゴルディアン平原の端を進んでいる。これだけなら普通の陣形だ。しかし……
「なんて数だ……」
「40万はかるく越えていますわよね……」
「そんな……」
「攻撃を受ける前の我が軍の数を超えるとは……」
目の前を埋め尽くす程の敵がいる。こんな数に勝てるのか……?
「カルレディウス殿、どういたしますか?」
「第6軍と第8軍が前衛となり攻撃するのじゃ。第4軍は後方から魔法を飛ばして敵のモンスターを攻撃する役割じゃが、無茶はするんじゃ無いぞ。残りは待機じゃ」
「御意」
「分かりましたわ」
「了解です」
「成功確率はかなり低いと思うが、頼んだぞ」
だが、この戦いは負けられないし、リーアの為にも死ぬわけにはいかない。
必ず勝つ!
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同時刻
ヒルディアムス上空8千m
ソウルリキッド総軍旗艦“ニルヴァーナ”戦闘指揮所
「遂に決戦のようだな」
「そのようですね、マスター」
俺はソウルリキッドの艦隊を引き連れてレンデングスト連合とファイデンブルグ王国の戦場上空に来ている。
「陸海空軍、準備は出来ているか?」
「大丈夫だ」
「異常無しだ」
「異常ありません」
「そうか、では旗艦軍はどうだ?」
「問題無いわ」
彼女は“ニルヴァーナ”艦長の大森綾香大将だ。ちなみに彼女は途轍もない艦戦闘の天才で、一週間前のシュミレーションでは陸海空軍の母艦各100隻の艦隊と戦い、大きな被害無しで殲滅するような腕前だ。いくら“ニルヴァーナ”が特別といっても、この結果は異常だ。
はっきり言って恐ろしい。
「良いな。ちなみに理恵、例の装備は配備完了したか?」
「昨日終ったと報告がありましたわ」
「そうか。では、本国の陸海空軍に例の作戦の為に発進命令を出してくれ。また、工軍にも例の作戦を開始させろ。それと、通信機能を本国・各地の諜報員等も含めた使用可能な全ての機器にオープンチャンネルで繋いでくれ」
「了解しました」
兵士達の戦意を高める為、自分自身を鼓舞する為、俺は演説をする事にした。
「繋がりました、マスター」
「分かった、始めるぞ。『此方は総統、大谷数馬だ。ソウルリキッドの誇り高き兵士達よ、これから我々はこの異世界の戦いに介入することになる。敵はこの異世界で最大の勢力を誇るレンデングスト連合だ。この選定には奴等のやる事が許せないと言う個人的な感情も入っている。奴等との戦いは長く険しいものになるだろう。もしかしたら、戦いの中で命を落とすものがいるかもしれない。そうなったとしたら、全て総統である俺の責任だ。好きに恨んでくれて構わない』」
ここで一度言葉を切ると……
『『そんな事とっくに覚悟の上です』』『『『我々は総統にどこまででも着いて行きますよ』』』『『『『自分達は家族じゃ無いですか』』』』『『総統を恨むなんて罰当たりです』』『『『俺達に任せて下さい!』』』……
と言う声が聞こえてきた。
「『皆、ありがとう。君達の言う通り我々は家族、血の繋がりよりも強い関係を持った家族だ。君達は俺の誇りだ。【魂の泉】の名の通り、君達と俺は一心同体。君達の痛みは俺の痛み、君達の悲しみは俺の悲しみだ。故に俺はここで宣言する。これからの戦いでは俺も共に戦う。威張り腐った総統などではいない。俺は諸君等と共に最前線で戦う戦友となる。これからの戦いで我らが魂に幸あらん事を!』」
ここで演説は終わるが、まだ繋がっている通信機から兵士達の声が聞こえてくる。
『『『了解!』』』『『任せとけ!』』『『総統愛してます。』』『『『『大好きです!』』』』『『『結婚して下さい!』』』『『『燃えて来たー‼︎』』』『『『『我らが総統は世界一だ!』』』』……
……途中で空気が読めない人がいたような気もするが、取り敢えず放っておこう。
「素晴らしい演説でしたね、マスター」
「ありがとう雫。では、これから軍事行動を開始する。工程は先程のブリーフィング道理だ。行くぞ‼︎」
「「「「「了解!」」」」」
こうして俺は戦闘指揮所を離れ、“ベルセルク”専用格納庫へと向かった。
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7時間後
ヒルディアムス前方ゴルディラン平原
レンデングスト連合ヒルディアムス攻撃隊隊長
ライデルング皇国将軍ゴリスティア・オーリス
「ははは、あの程度の城壁で我々と戦おうと言うのか」
攻撃隊はヒルディアムスまで後3kmの位置に来ている。ここから魔法を使って見たヒルディアムスは壮観ではあるが、防衛設備は貧相である。
「そんな事を言っては可哀想ですよ。あそこは王都であって要塞では無いのですから。」
「まあ、そうか。だが君もなかなか酷いことを言うな」
「将軍程では有りませんよ」
呟きに答えた副官と話す。彼はなかなか使い勝手が良く、重宝している。
「与太話はここまでにして、どうやって攻めますか?」
「モンスターを押し出して囲み、門を破壊して蹂躙すれば良いだろう。数は力だ」
「了解しました、では準備をさせます」
あんな街など直ぐに落としてやる。
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1時間後
ヒルディアムス北門前
第8軍将軍アレクセイ・エンビレウス
「皆の者聞けい。敵はこの門から約3kmの位置に陣を敷いている。恐らく連中は間も無く攻撃を仕掛けるだろう。敵の数は此方の倍を超える。勝ち目は薄いだろう。しかし、ここで我々が負けてはこの国の民に未来は無い!俺は奴等をこの国から追い出してやる!皆、行くぞ‼︎」
「「「「「おおーー‼︎」」」」」
俺は今、赤い空竜の鎧を着て第6・第8軍の兵士達に演説をしていた。この鎧は将軍になった時に女王としてのリーアに貰ったものだ。勿論他の将軍も同じレベルの装備を持っている。
「素晴らしい演説でしたね、将軍」
「やめてくれよ、レル。いつも通りで良いって」
「わざとだよ、アル。俺はお前が王になってもこのまま行くぞ」
「流石に他の人の前ではやめてくれよ。気心の知れた仲の奴等ばかりの時なら良いが」
こいつは第8軍副将軍で俺の幼馴染である竜人のレルグレア・アリストスだ。結構冷静で熱く成らなさ過ぎて困るんだよな。
「おいエンビレウス、この戦い頼んだぞ」
「はい、分かりましたナグルーガ将軍」
「これが終わったらお前は王様か?立場が入れ替わりますな」
「そんな事有りません。武人としては俺の方が下ですから」
ナグルーガ将軍はかなり熱血漢であり、俺の部下共に仲が良い。蛇足になるが第8軍は別名英雄部隊とも呼ばれている。英雄志望の兵が多いからだそうだが、何故だろう。
「無駄話をしていないでこの戦いで勝つ事を考えません事?」
「はい、分かりましたソリティア将軍‼︎」
「おいレル、何でお前が答える?」
気付いたのは数年前だが、どうやらレルはソリティア将軍に惚れているようだ。大変だな。
「さて、門外に出て敵を叩き潰しますか」
「うむ、行こうではないか」
「そうですわね」
連中は段々と迫ってきて、此方との距離は今約1kmだ。
「そろそろか」
「そうだろうな、アル」
「キツイ戦いになりそうだ」
「おいアル、負けたら俺を囮にして逃げろ」
「っ⁉︎何てこと言うんだよ!」
「お前はリーア陛下の婿になるんだろ?死ぬよりかはアールディスにでも行って幸せになれよ」
「それでは民を見捨てる事になるんだ。それは俺もリーアも望んでない。大体、お前だってソリティア将軍に言わないのか?」
「え……どうしてそれを……」
「態度を見ればバレバレだよ。俺を誰だと思ってる?」
「何だよ……隠せてると思ってたのに……」
「まあ良い。これで互いに負けられないな」
「そうだな。勝とう、アル」
「ああ、レル」
「敵接近‼︎」
「皆の者、行くぞーー‼︎」
「「「「「おおー‼︎」」」」」
俺達は軍議での決定通り走り出した。第8軍では大盾を持った兵が先頭を走り、その後ろを長槍を持った兵が進む。第6軍は槍兵の後ろを駆けている。
敵はライデルング皇国が主体なので、ベヒーモスやジャイアントオーガ、岩竜、トロール等を先頭にし、その後ろに人間の兵がいる。
モンスター対人間では普通正面では勝てないが、ここが第8軍の見せ所だ。第8軍には魔法を武器に付加して戦う兵が多く、盾に付加する事でモンスター共やりあえるのだ。
しかし、俺達の覚悟は無駄だった。
敵まで後300m程になった時、
空から銀閃が走り、
敵の先頭のベヒーモスが左右に割れ、砂煙が舞った。
その光景に敵味方全ての動きが止まる。
砂煙が落ち着いた後、その場にいたのは……
巨大な刃と長い柄を持つ謎の武器を持った、白い体と青い羽と肩覆いのある人型の何かだった。
この人型は何でしょう?




