No.010 一味
大半が回想です。
……長過ぎかな……
PVが6000を越えました
皆様ありがとうございますm(._.)m
アレクセイ・リーア国王夫妻が帰った翌日。ソウルリキッド旗艦軍基地に1隻の特選型母艦が降りて来ている。
「直接の顔合わせは初めてだな」
「そうですね、通信だけでしたから」
「彼等のおかけでこっちは助かってるんだから相応の見返りはしておかないといけないな」
「あの人達ならそれはこちらの方だとでも言いそうですがね」
「経緯を考えればそうだな」
母艦が着陸し、搭乗口が開かれて現れたのは2人の虎獣人と他何人か。
虎獣人の片方は大男で、筋肉で凄い事になっている。
もう一方は少女で、黄色い髪を伸ばして大人に見せようと背伸びをした感じがする。きっちり虎耳も付いていて、好きな奴は好きそうだ。俺にそう言う趣味は無いが。
一緒に降りてきた特軍兵士5人と諜報員1人はかなり緊張している。総統が目の前に居るのだから当たり前か。
「初めまして、で良いですかな総統閣下」
「そうなりますかね、オリエントさん。遠路はるばるようこそ」
彼の名はオリエント・ドンフェル。表の顔はファイデンブルグ王国内の都市ミルディオンの大商家の家長であり、裏の顔はイルアース内の無数の情報と金、物資に傭兵をさばく大組織、一味の首領である。
「それにしても素晴らしい場所ですな。何度も驚かされてきましたが、ここにはどれも及びませんな」
「お見せした物は全てここにあった物ですからね。驚かない方がおかしいですよ」
「そういう物ですかね。本日はここを案内していただけるのでしたよね」
「ええ、そうですよ。最もその後は仕事ですが」
「いつも通りの方法でも良かったのですがね、1度見ておきたかった物ですから」
「当然でしょうね。貴方の纏める情報屋には未知を知る事こそ人生の目的と考える方もいますし。」
「自分もそうなのですがね。蔵書はざっと1000は越えているので」
「それは素晴らしい。このまま話して行きたいですが、時間が押しておりますので良いですか?」
「申し訳ありません。こちらに付き合わせてしまいまして」
「お気になさらず。では、楽しんで来て下さい」
「ありがとうございます。エリシア、行こうか」
「分かったわ、お父様。シゲモリ、早く連れてって」
「ちょっと、引っ張ら無いで下さいよ。では総統、自分達はこれで失礼します」
「ああ、しっかりな」
あの少女はオリエントの1人娘のエリシア・ドンフェル。とある理由で特軍兵士の七沢重盛一等兵に懐いている。
全員が駆動機に乗って行った後……
「総統、本当に彼等を信じて良いのですか?」
「瑛子か、何故そう思う?」
「悪事はしてい無いとはいえ裏の組織。信じられるはずもありません」
「だが、仁義に厚いのは事実。恩を仇で返すような真似をしなければ誠実だよ、彼等は」
「……分かりました、総統のお考えを信じます」
「結局俺なんだね」
彼女は特軍第1-2-1-1-2中隊、またの名を特殊部隊“ダークナイト”の隊長かつエースである徳田瑛子少佐だ。先程までステルスを使って中隊で俺を警護していた。今は中隊員全25人が姿を現しているが。
「怪しいのは分かるが、彼等は優秀だからな」
「その通りですね、マスター。彼等からも情報が手に入るのはかなり良いですよ」
そして俺は彼等との接触の日を思い出すのだった。
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2ヶ月前(ソウルリキッド登場3日後)
ファイデンブルグ王国ミルディオン付近
特軍第1-3-2-1-2-4小隊所属
七沢重盛一等兵
「分かっているとは思うが、我々の任務はそこの安並諜報員をミルディオンに無事に送り届け、町と周辺の地理を調査する事だ」
俺も含めた5人の前で小隊長の下田礼香中尉がステルスモードで飛んでいる駆動機の中で言う。ミーティングの通りなのだが。
「隊長は心配し過ぎです」
「大丈夫ですよ、中尉」
今のは順に副隊長の仲俣ゆい少尉と坂地歩軍曹だ。隊長は鬼軍曹的な感じの人で、訓練は1日しなかったが厳しいものだった。そして隊長の暴走を止めるのがこの2人だ。
「これくらいなら余裕だよね、重君」
「塚田さん……重君と呼ぶのは止めて下さいよ……」
「良いじゃん、あたしの自由だよ」
今のが俺と同じ一等兵の塚田綾さんだ。明るく、この小隊のムードメーカーなのだが、接し辛い所もある。
この5人は全員MTを着て待機している。残りの1人は諜報員なので、この世界での一般的な服だ。
「おいらの為にすんませんな〜」
「その話し方、この世界の人の前ではやめろよ」
その諜報員が彼、安並満一等兵で俺のくされ縁の友人だ。3日でくされ縁というのも変だが、意識が出来た時からそうなのだから仕方が無い。まあ、居ないよりは居た方が良いのは当たり前だが。
「間も無く着陸です。ご武運を」
駆動機の機長からの語の後、森の近くにステルスモードのまま着陸し、俺達の小隊は周辺に展開した。
「周辺に敵影無し」
「モンスターも見えません」
「街道確認しました」
「民間人無し」
訓練通りの確認を行う。既に上空から見ていたのだが、念のためだ。
「よし、では予定通りn「キャーー‼︎」何だ⁈」
「悲鳴⁈どこからですか⁈」
「東の街道からのようです!」
今居るのは南の街道の東側なので近い。
「先行します!」
「待て、七沢一等兵!仕方が無い、全員行くぞ!」
「「「「り、了解‼︎」」」」
早く助ける為に俺は勝手に行動した。命令違反だが、気にしていられない。
「見えたっ!」
俺の視線の先には馬車とモンスターが見える。馬車の方には護衛らしき4人がついているが、モンスターはムカデみたいな奴が10体程のため劣勢だ。負けていないのは彼等が強いからだろう。
「な、何だよあいつは⁈」
「おい、こっちに来るぞ!」
「そこの人、援護します」
今の見た目は全身黒だからな。多分じゃ無くても怪しい。
気にしたらきりがないので戦闘に集中する。俺は背中から刀を抜いた後、スラスターも使って加速し上段でムカデの首を落とす。意外と楽に斬れた。
「は?ポイズンピードを一撃で⁈」
「何者だよ、あいつ!」
今のはポイズンピードって言うのか。毒持ってそうだな、MTには効かないだろうけど。
「メルダ、後敵は何体だ?」
『あのムカデは残り10体です』
「分かった、メルダは周辺警戒を頼む」
『了解』
今のは俺のMTのAIのメルダだ。MT全機には特有のAIが載っていて、状況判断や管制等で協力してくれる。ただのプログラムとも言えるが、俺達にとっては大切な仲間だ。
「さてと、次行くか」
『七沢一等兵待てー!』
「……怒られるのは覚悟しておかないとな……」
俺は刀を左手に持ち、右手にビームピストルを持って突撃する。
前に出てきた3体のうち、左の首を落とすと同時に真ん中の顔をビームピストルで撃つ。そこからスラスターで急旋回をし、右の頭も落とす。
一度ビームピストルをしまって爆弾を取り出したら、時限式にセットして右前方へ投げる。同時に俺は左前方へ跳び、1体の頭を落としもう1体を取り出したビームピストルで撃つ。爆弾も炸裂し、さらに3体を葬る。これで残りは2体だが、内1体はデカイ。他の2倍はあるだろう。
「はぁ、体への負担がキツイな…」
『ですが残りは2体です。頑張ってください』
「了解、いっちょ行くか!」
スラスターで突撃するのと同時にデカイ方が何かを吐き出した。恐らく毒なので、スラスターを噴かせて右前方へ回避し、ついでにそこにいた雑魚を斬り倒す。
さっき避けた毒らしきものは、地面に当たって音をたてていた。溶解液だったか、危なかった。
「後1体、やるか」
もう一度突撃して斬りかかるが、弾かれた。ビームピストルも甲殻で止まってしまっている。
「固いな……」
『隙間は殆どありません。今の装備では正面突破は不可能かと』
「だったら定番をやるしか無いでしょ!」
ビームピストルを再度爆弾に持ち替えてムカデの正面にまわる。当然ながら溶解液を吐こうとするが……
「定番ご苦労さん!」
スラスターで横に避けた俺は開いたままの口へ爆弾を投げ込む。今度は触発式なので対処する時間は無い。
ドカーーン
ムカデは頭をふきとばされて絶命した。戦いが終わったので俺は馬車の方へ向かう。
「ありがとう、お陰で助かったよ」
「いえいえ、困った時はおt「コルァーー‼︎」a……」
突然の横からの衝撃でふきとばされる。地面を何度も跳ねて止まった後見たのは……
「七沢一等兵、覚悟は出来ているか?」
激怒した下田隊長だった。
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馬車内
「大変申し訳ございませんでした!」
俺は土下座した。誰に?勿論他の5人にだ。ちなみに、MTは頭部を外して顔を出している。
「軍法会議にかけてやるからな」
「隊長、人命救助の為ですので、多目に見てあげましょうよ?」
「中尉は規則にこだわり過ぎでは?」
「軍に規則が無ければ軍では無いぞ」
「重君は暴走しすぎだよ」
「よく分からないけど、シゲモリを悪く言うのはやめてくれない?」
……ああ、俺死んだな……こうなったら隊長は絶対に止めない。多分、銃殺刑だろうな〜
ちなみに最後の台詞は馬車の中にいた虎獣人のエリシアという少女だ。どうやら大商家の家長の1人娘らしい。
「部外者は静かにしていてくれないか?」
「シゲモリは私達を助けてくれたのよ。お礼はしなくちゃ。貴女だって馬車に乗っているんだから文句は言わせないわよ」
「むぅ、分かった。そっちの用事が終わるまでは好きにさせてやる」
「やった!シゲモリ、楽しみにしててね!」
「あ、ああ……」
……エリシアちゃん、隊長に勝っちゃったよ……流石は商家の娘だな。俺の寿命は少ししか伸びてないだろうけど。
「お嬢様、到着いたしました」
「分かったわ。シゲモリ、こっちよ」
何故か俺は腕を引っ張って行かれる。後ろから痛い視線が2対4本程刺さっているが……
「お帰りなさい、お嬢様。そちらの方は?」
「彼が私達を助けてくれたシゲモリよ。お客さんだからね」
「承知しました」
「あの……なんかすみません」
「いえいえ、お嬢様はいつもこの調子なので」
いつもなのか……大変そうだな……
ちなみに助けた直後に1人が伝令としてここへ来たようで、歓迎の準備は万端らしい。
ただ、途中の部屋は無視して奥まで引っ張られている。どういうつもりなんだろう?
「お父様、この人が私達を助けてくれたシゲモリなのよ」
「おお、貴方が。どうもありがとうございました」
「いえ、困った人を助けるのは当たり前ですので」
「その為に勝手に戦いに行って私達を困らせたのですがね」
隊長、そんな事言わないで下さい……人命救助は大切じゃないですか……
「それで、貴女方はどこの国の者ですかな?」
「いえ、私達は唯の旅人ですが?」
「誤魔化しても無駄です。軍に所属していると言っていたそうではありませんか」
「ちっ、重盛お前のせいだぞ」
「違うわ。言ったのは隊長よ」
「そうですね」
「……そうか」
バレたか……危険だな、この人達が。こっちに不都合なら母艦の戦力も含めて殲滅する事になっているからな。
「そんなに殺気を出さないで下さい。娘の救助の分も含めて取引をしたいのです」
「どういった条件だ?」
「少しお待ちを。ルミナ君、人払いを」
「畏まりました」
馬車の護衛の1人だったダークエルフらしき女性が出て行く。人払いって事は一筋縄じゃいかない問題かな?
「さて、我々ドンフェル商会はここミルディオンで最大、ファイデンブルグ内でも1、2を争う大商家です。表は、ですがね」
「なら裏があるのか?」
「ええ、我々は裏では一味と名乗っています。自分で言うのもなんですが、イルアース内で仕入れられない情報はまずありません」
「つまりは情報屋か。それで、取引の条件は?」
これは着いて行けないな。隊長しか対応出来ないだろう。
それにしても情報屋か。もしかしたら銃殺刑無しかも。
「貴女方と協力関係を結びたいです。こちらからは情報をタダで提供させて頂きます」
「それではそちらが不利過ぎるのでは無いか?」
「ええ、このままならそうです。そちらにはレンデングスト連合の勢力を落とすように活動して頂きたい」
「ふむ、これは一度上司に報告させてもらうぞ」
「ええ、どうぞ。こちらは待っていますので」
「そこまで時間はかからんけどな。小部屋を一つ貸してもらうぞ。おい、お前ら集まれ」
そうして広さ4m四方の部屋へ行く。まず最初に盗聴等の危険が無いかを確認した後に本題だ。
「さて、あいつらの提案をどう見る?」
「提案自体は良いんじゃ無いの?」
「自分は、彼等が何故あそこまでこちらに肩入れしようとするのか気になります。連合がどんな形で関わっているのかも分かりませんし」
「こっちに利があるのは分かるんだけど……」
「話が旨すぎる気もしますな〜」
「俺としては利があると助かります。銃殺刑は勘弁して下さい……」
「決定によっては軍法会議は無しにしてやろう。取り敢えず母艦、もしくは総統府に伝えるか」
隊長が持つタブレット式通信機を母艦へ繋げて事情を言うと、即刻総統府へ繋げられた。当然ながら艦長では無理か。
『第1-3-2-1-2-4小隊、聞こえる?』
「戸山元帥⁉︎お忙しいところ申し訳ございません」
『構わないわ。それより詳細を教えてくれる?』
「は、はい」
……まさか戸山元帥が出るとは……こういうのはまず一般オペレーターが出る所だろう……
今は隊長が元帥へ事情を話している。艦長よりも当事者から聞いた方が良いのは当然か。
『そう、難しい問題ね。一旦総統へ伝えるわ。そこで待機していてくれる?』
「了解しました」
そうして待つこと15分。通信機に出てきたのは……
『あーあー、聞こえるか?』
「そ、総統⁉︎」
『驚き過ぎだ、春の時も同じだったそうじゃないか。っと、寄り道はせずに聞かないとな。七沢一等兵は誰だ?』
「はい、自分であります」
『勝手な行動はいけないが、人命救助は正しいぞ。今回はそれが良い方に転びそうだ』
「はい、ありがとうございます」
『さて、一味のトップと会談をしに行こうか。この通信機をそのまま持って行ってくれ。後、万が一の時は戦闘になる。母艦にも通達したが、君達は敵の中だ。十分に注意しておいてくれ。』
「「「「「「了解!」」」」」」
その後、総統とオリエントさんの会談は何の問題も無く終わり、ソウルリキッドと一味は協力関係となった。
オリエントさんが連合に固執していたのは父と元々リンデンスブール大陸(現レンデングスト連合勢力下)にいた為に、獣人排斥の中ここに逃げて来たからだそうだ。今までは商家として資金を貯めながら、連合内のレジスタンスや抵抗する国へ情報提供や武器等の運送を行っていたらしい。
俺達は総統の命令により一味との連絡役兼監視役となって活動する事になった。
俺は何故かエリシアに振り回されているのだが……
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現在
総統府内応接室
「どうでしたか、オリエントさん?」
「理解が殆ど出来ませんでしたよ。科学とは素晴らしいですな」
「我々からしたら魔法も十分素晴らしいですよ。発展すれば科学と変わりない状態になると思いますね」
「そうですか。まあ、それを見れないのは残念ですね」
「確かに、見てみたいですね」
俺は本国視察(観光?)を終えたオリエントとの仕事に臨んでいる。エリシアや重盛達はゲームコーナーや遊園地で遊んでいる事だろう。
「ではそろそろ本題に入りましょうか」
「そうですね。実はこの間このような情報が入りまして」
「2つですか……前者はマズイですね。直ぐに軍を動かします。後者はまだ大丈夫ですね。ただ、これには連合の神代が関わっていそうですが?」
「恐らくはその通りでしょう。早く対処して貰えますか?」
「先ずはこちらの諜報員及び潜入人員を行かせます。このまま行ったら嫌な事がありそうなので」
「分かりました、良い報告を待っています」
「期待していても良いですよ」
「そうしておきます。そろそろ良いですか?エリシアが怒りそうですし」
「そうですか、ではどうぞ。後2日ですが、滞在を楽しんでいって下さい」
「ありがとうございます」
連合の動きがここまで分かるのは良い。彼等と協力できたのは良かったな。
フラグはちゃんと回収するのでご安心を。
次回、暴れます。




