34.二度目の初大会
『―――象庁も何故いきなり雨が降り、止んだかもいまだ分かっておらずまた急激な温度変化により数名が―――』
「行ってきまーす」
「頑張ってねー」
「ばぶぅ」
「はーい」
午前9時に卓球道具を入れたリュックを持って家を出る。
「いっそげ!いっそげ!」
何故こんなに急いでいるのかというと今日が大会というのもあるが一番の理由は。
「恵のやつ遅いな」
「まぁ急遽参加することになったからしょうがないんじゃない?」
「でも出発予定8時50分だぞ?」
大遅刻をかましたからであった。
吉田恵はマイペースになっていた。
午前9時15分。
「とうちゃーく」
「とうちゃーくじゃねぇよ」
そういうと獅子が恵の頭を軽く叩く。
「いて」
「はぁ、それじゃ吉田も来たので出発します」
「お前のせいで練習時間無くなったじゃねぇか」
「へへへ」
殺意を抱いた獅子と竹であった。
午前10時星官総合競技場にある体育館に到着する。
「はいちゃっちゃと着替えて」
「「「「はーーい」」」」
――そういえば入部時にはもうちょっと先輩がいたはずなんだけどな――
今日来ているのは神田と獅子と竹と恵、それから柏木の五名。
「着替えたら下で登録ね」
「「「「はーーい」」」」
他の先輩がどこに行ったのか疑問に思った恵が小声で神田に聞く。
「ねぇ」
「ん?」
「俺たちの上ってもう少しいたよね?」
「あーそれはね」
神田が何かを言い終わる前に柏木が二人を急かす。
「喋ってないで早く」
「「うす」」
背中にゼッケンがつけられた体操着に着替えた後、学校名と本名を鉛筆で書きに行くために下に降り壇上まで歩くのだが道中に他校の生徒がヒソヒソ声でしゃべっているのが聞こえて来た。
「あいつら体操着やん」
「ユニホームもらえてないのかな」
「雑魚中だろざこちゅう、卓球なんてやってないで開拓の手伝いした方がいいんじゃないか?」
壇上に上がり神田から順に登録していく。
「次の方どうぞー」
「…」
「次の方?」
「おい、恵!」
「…」
何か暗い表情をしながら学校名を書くのだが、筆圧が以上に高くなってしまって書いてる途中で鉛筆の芯が折れる。
「あぁ、今交換しますねー」
「…」
「恵?どうした?」
「――――ぶす…」
「ブス?お前ッ!」
「―――潰す…」
「恵?」
「―――員、潰す…」
「こちら新しい鉛筆ですー」
新しい鉛筆を渡されたので受け取るのだが、今度は鉛筆を握り折ってしまう。
「あぁ、変え用意しますね…」
「お前何やってんだ」
「もう折らないでくださいね」
また新しく渡された鉛筆を持ちながら竹の方に顔を向け瞳の奥の燃え滾る炎を見せる。
「何って…」
メシメシとなく鉛筆。
バキンと折れる音が館内に響く。
「全員、潰すんすよ」
「あぁ~~~!もう勘弁して~~~!!!」
恵、人生二度目の初大会初戦2セットともラブゲームで圧勝する。




