31.迷いネコ
一同は部活の用具を全て片付けて指定された教室まで歩いていた。
「お前ら止まるの初めてじゃね?」
「小学校では何度かあったけどね」
「やっぱりな!」
「シシセンパイスゲー」
――今年初めての雨なんだから当たり前だろ――
「それじゃあれも初めてか」
「「あれ?」」
――あ、そっか――
指定された教室に着くとカーテンとドアのガラス部分は紙やカーテンで覆われており、教室の中央にはお湯がたまってる少し大きめなプールが置いてあった。
「「だからお泊りセットなのか」」
「ちゃっちゃと入るぞー」
「先輩!しゃ、シャンプーとかどうするんすか?」
「ん?ねぇよ」
「は、はい?」
「だから、無いよ?」
田中と鈴木が天を仰ぐ。
「ご愁傷様」
「恵は驚かねえんだな」
「はい」
――一回目ってわけじゃないしな――
「ま、小学校でも一緒だったのか」
「いえ、小学校はちゃんとシャワールームがありましたよ」
「「「いまなんて」」」
先輩たちが天を仰ぐ。
――小学校違うのか?――
談笑しながら湯船で体を拭いてジャージに着替えた後、食堂に歩いていく。
「もう夜ご飯ですか?」
現在時刻は約午後3時
「いや準備だよ」
「「準備?」」
――またか――
食堂に行くと先に吹奏楽部が食堂の外にある炊事場に米袋を運んでいた。
「あ、獅子手伝ってー!」
「それくらい運べよなー」
――…――
「「…」」
「それじゃ俺たちもとっとと」
「「彼女かな」」
「彼女だな」
「お前らな…」
食堂の人から飯盒5つとチャッカマンをもらって炊事場に行き、飯盒に米と水を入れかまどにつるしチャッカマンで火をつける。
「チャッカマーーン!」
「そんなガキみてぇな遊びしてないでとっととやる」
――ひどい――
「でもなんかキャンプみたいでいいね」
田中がそうつぶやくと皆が少し微笑んだ後に横の校庭をみて同じことを思った。
――ぽかぽかとして暖かかったらいいんだけどね~――
雨はだんだん雹になりつつあった。
米が炊けたタイミングで食堂の人がカレーのルーを持ってきてくれてみんなでカレーを食べ終わった後それぞれの部室に戻っていく。
「流石に寒くなってきたな」
「日も落ちる時間だろうしなーー」
「…」
「なんすか?」
「いや恵お前、なんか敬語抜けてね?」
「そそそそそんなことないっすよ?ずっと尊敬のまなざしで目が焼けそうっすよ?」
「そうか?」
「うっす!」
――あぶね~、そういやまだ入って短いんだよな――
額に書いた汗を拭いながらふと自転車置き場を見ると何かが座っていた。
それは自転車のタイヤよりもはるかに小さく、雑草かと疑うほどにもこもこした物体。
いや生物がこちらを凝視していた。
「ニャー」
「猫?」




