29.銃撃戦の基本
静寂に包まれた草原の大地に多くの廃墟が並ぶ中、砂が擦れる音がした。
『敵だ、あと何発か覚えてる?』
『んー、多分3?』
『おけ』
『合図で出るぞ』
足音が近づいてくる。
『3』
『ゴクリ』
扉が開く音がする。
『2』
同じ階の廊下で足音が響く。
『1』
恵たちのいる部屋の扉が開く。
『GO!』
和人の合図とともに扉の見えるところまで一気に走る。
耳が震え、心臓まで伝わる轟音がしばらく鳴り響く。
『ごめんやられた!』
『俺に任せろ!』
恵の持っている銃は6連式のリボルバーで貫通力が高い代わりに球数が極端に少ない武器。
さらにこの静寂が普通のせいで物音ひとつ立てるだけでも命取りになってしまう。
つまり、リロードをするなら最適なタイミング、撃ち終わったタイミングこそベスト――――
「もう一人いたのか!」
「ぐっばーーーい」
カチッカチッ
『ん?』
「ん?」
――ん――
ダダダダダダン
視界が反転し赤い文字が浮かび上がってくる。
『ゲームオーバー』
『おしー』
『球無かったのかよぉぉぉ、俺の物資がぁぁぁぁ』
『ドンマイドンマイ』
『もー、やっぱゲームは俺じゃなくて紫音誘えよ。俺じゃ無理だ』
『でもこの前紫音とやった時なーー』
【紫音!敵だ撃て!】
【ふれんどりーしーっぷ】
【【ん?】】
【何してる?撃てよ】
【ふれんどりーーしーーっぷ】
【な、なんで武器構えないんだ。これじゃ撃ちにくい】
【ふれんどりーーー】
【あああああ】
【しーーーーーーーーっぷ】
『タイムアウト』
『ってそのまんま時間切れになって、敵もキョロキョロしてたしちょっと気の毒だった』
『いやいや、流石にーーーーーあり得るな』
『あり得たんだよ』
ふと時計を見ると午後10時を過ぎていた。
『やべ、俺まだ宿題やってねぇ』
『そうなのか』
『わりー、また明日な』
『おう、また明日』
そういい終わると通話を切ってゲームの電源を落とす。
「夏休みなのになんで宿題をコツコツやんなきゃいけないんだよ」
テストが赤点だらけだったので顧問から毎日やる宿題を決められていた。
「はぁ、ていうか俺もあいつも対人ゲー向いてなさすぎだろ」
――ぷよテトだったら行けるんだけどな――
小学生の頃恵宅にて。
『ばよえ~ん、ばよえ~ん』
『ティースピンバースト、テトリス』
【二人ともお昼出来たわよ】
【ん】
【あとでいただきまーす】
『ばよえ~ん、ばよえ~ん』
『ティースピンバースト、テトリス、テトリス』
「銃は専門外なんだよ、えいむってなんだよ」
窓の外を見上げると宇宙船の光が2本見える。
「宿題するかぁ~」




