27.基礎練3
――足がはち切れそう、震えが止まらん――
足が震えて片足立ちが出来ないので座り込んで靴を履いているとそこへ。
「よっ」
「紫音と和人…」
「え?どうしたのその顔」
「ちょっと…疲れて…」
「お前…」
――思い出した、この時だ。俺が文化部って馬鹿にされたの――
今までは記憶の無い出来事だらけでピンと来ていなかったが、今回は鮮明に覚えている。
正夢で見たのが現実で起きたときの困惑と興奮。
似非占い師がぼやいた戯言が本当に起きたときの恐怖と驚き。
そして、過去をもう一度やり直していると改めて思い知らされる希望と絶望。
目を見開き、心臓の鼓動は加速する。
「お前って―――」
――来た――
「やっぱり努力型だよな」
「―――ッ!ん?」
「あんなに嫌嫌言ってたからてっきりサボるんだと思ってた」
「言っては無いけど態度と顔に出てたよな」
――ん?――
思っていた、決められていた言葉が出てこないことに戸惑って靴を反対に履いているのを和人に指摘される。
「お前バナナじゃん!」
「バナナ?」
「ほ、ほんとだ」
――くそ恥ずかしいぃ――
「ねぇ和人バナナって?」
――にしてもなんでいきなり褒められたんだよ――
「え?バナナって言わない?」
――この頃から褒められることが無くなったから動揺しちゃったぜ――
「言わない」
靴を履きなおして正門を出る。
「いやいや、バナナだろどう見ても」
――ていうか未来って変えられるのか?――
「どこが?」
――そもそも俺って本当に人生やり直してるのか?――
「ほら見てみ」
――顧問だって違ったし――
「確かに、バナナだ」
――夢、なのか?もしかしてこれは走馬灯とかなのか?――
「逆に履き違えたらなんて言ってんだよ」
――にしては長すぎるか?いやどこにも走馬灯の記録は無いし…――
「履き違え」
「おもんな」
――そもそも俺って――
「「恵!」」
「お、なんだよ」
「これ何に見える?」
二人が足元を指さすので視線を下ろすと何故か二人とも靴の右左を逆に履いていた。
「え?バナナ?」
「ほら見たことかー!」
「えー恵がずっと言ってたら僕にも移ってると思うんだけどなぁ」
――そうか!確かにこれは前の和人から教えてもらったことだ――
「おもんないヤツ」
――前の記憶も持ってるからつまり!――
「ひっどぉぉい」
――つまり…んーっとつまり――
恵の脳に迸る電気信号が急加速しそれは脳が焼かれているのかと錯覚するほどの熱を生み出した恵の思考は。
――まぁいっか☆――
思考を停止した。
――もう一度ガキをやり直せてるんだし――
「なぁ恵もそう思うだろ?」
「ん?俺子供だからわかんなーい☆」
「「なんだコイツ」」
――何も考えずに人生謳歌してやろーっと☆――
「にしても恵」
「なんだーい☆」
「文化部で疲れるってシャシャんなよな」
「な’’っ’’」
突然の現実。




