25.基礎練1
二年の部長が顧問が座る用のパイプ椅子を慌てて準備し、そのパイプ椅子の前で堂々と立ち止まり練習していた部員達に一旦やめて集合するよう促した後挨拶をする。
「えー、顧問の柏木です」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
「ん、じゃあ早速ね外行こうか」
――え?なんで――
言われた通り下駄箱で靴を履いて正門に集まる。
「よし、えぇ卓球部は基本午後練の最初は学校外を二周するところから始めます。まぁ一年生たちは最初ということもあるので一周だけ今日は走ろうか」
――へ?――
「それじゃよーい」
――ちょちょちょ、まってくれって――
「どん!」
柏木先生の合図で駆け出す二年生たちと、ボーっと突っ立ってしまう一年達を急かすように走らせる。
恵は最後尾で嫌嫌走り、角を曲がり柏木先生の目が届かないところで歩き始めた。
「なんで卓球で走り込み?しかも相当な距離、陸上かよ」
なんて愚痴をこぼしていると先頭組にいた獅子先輩が速度を落とし恵の隣にやってくる。
「おい少年」
「恵です」
「おい恵君、内の顧問は昭和脳でな」
「昭和?」
「おまけに卓球もミジンコも知らないんだ」
「はぁ」
「つまりここは卓球部というより卓球遊び場なんだ」
「そうなんすか」
「まぁなんだ、恵君が卓球熱心なのにこんな場所で気落ちしてんじゃないかなって思ってな」
――熱心?俺が?――
「うちにもいたんだよ、卓球好きで上手くなりたくて入ったのに顧問がカスのせいで気落ちした奴がな」
――竹先輩の事か、初耳だな――
「っとこんなこと話してるうちにもうすぐ角曲がるな、またあとでな恵君」
「はぁ」
「なんかあったら俺に相談しろよ?それとサボるんだったらうまくな」
そういうと先頭に追い付くために猛ダッシュし角を曲がっていった。
――別に足遅くたって歩いてたなんて疑われないだろ、それにこっちは大人だぞ?――
などと歩きながらサボりのコツを誰かに説明しながら恵も角を曲がる。
――なめんなって、大丈夫!柏木が見てる通路はダッシュする予定だ――
「おい走れーーーー!」
角を曲がって少ししたら誰かの怒鳴り声が聞こえて来た。
――おいおい先行った一年達か?まったくサボりがなっちゃいないな。あれほど最後はダッシュしろって言ったのに――
「お前だよ、何歩いてるんだ」
「ん?」
目の前を見るとそこには柏木がいるではありませんか。
「え?なん、、、で」
――はっ!?もしかして――
そう、柏木はこんな生徒が出ると分かっていたので、最後に走り出した恵が角を曲がったとこで柏木も反対方向に歩き出していたのだ。
無論一周歩くと時間がかかるので二つ目の曲がり角で止まり見張っていたところ歩いてる生徒を発見したのでその生徒に近づいて行ったのだ。
分かりやすく言うと
学校の外周を仮に正方形で表し、それぞれの辺を1,2,3,4。それぞれの角を1A、1B~4A、4Bで表すとして、恵が1から1Bの角を曲がったタイミングで柏木は1から1Aの角を曲がり4Bから4を通り4Aで待機。恵が2Aから2を通り2Bを曲がり3Aから3を通ってる最中に4Aで見張っていた柏木が恵を発見。
ということ。
――こいつそう言う事か、それじゃあ!――
【サボるんだったらうまくな】
――そう言う事か――
「ほらダッシュ!」
そう急かされダッシュすることに。
――あの角曲がったら歩くか――
なんてもう一度サボる手段を考えていると背後から視線を感じ振り向くと、何故か柏木が付いてきていた。
「え!なんで!」
「なんでってそりゃお前がサボらないように監視するためだろ、ほら後ろ観てないで前見る!」
――鬼だ、悪魔だ――
3Bを曲がり4Aから4を走る。
「ここ車通り多いから気を付けて!」
――まだ追いかけてくる――
「ほらあとちょっと!頑張ってー!」
4Bを曲がり1Aから1の途中にある正門を目指すがそこまでは結構急な坂になっているがそんなのお構いなしに。
「はいダッシュ!」
――だ・か・ら!――
「陸上じゃねぇーからーーーーー!」




