24.顧問
部活が決まった日の午後、早速部活に行く一年達。
「そそ、それじゃじゃいっててくるは」
「お、おう」
「一緒に帰ろうね」
「わわわわかかかった」
よろめきながらも体育館に向かう恵の後姿を紫音と和人が眺めている。
「大丈夫かなあいつ」
「まぁ何とかやっていくんじゃない?それより早く行こー!」
「お前はテキトーだな」
友達が一人もおらずかつ顧問がクソなのが確定しているので足取り重く体育館に向かう。
――なんで俺卓球って書いちまったんだ、なんで――
後悔しないように生きようとしてたのに早速後悔し始める恵。
――帰りたい帰りたい帰りたい嫌嫌嫌嫌――
「よー一年か?お前」
「ん?って獅子先輩じゃん」
「なんだお前、俺のこと知ってんのか?」
――やべ、そういや初対面か――
何とか誤魔化そうと必死に言葉を探しているとこれまた卓球部の先輩が助けに来てくれた。
「獅子、お前一年相手にいびるな、だせぇぞ」
「それがよぉーこいつ俺のこと知ってるんだぜ?」
「お、そうなのか?物珍しいやつもいるんだな」
「シシセンパイニアコガレテタッキュウブニキタンデスー」
「お、お前ってやつは!」
咄嗟に思ってもいないことを口にし乗り切る。
するとそこへ部長が彼らに手伝うよう声をかけに来た。
「お前ら手伝えー」
「「うぃーっす」」
――神田部長だ懐かし――
先輩たちが用具の準備をしてる間、一年たちはステージの上で待つことに。
そして十分後…
「よし!改めまして部長の神田です!」
「副部長の獅子でーす」
――あれ?獅子先輩ってこんなやる気なかったっけ?――
「今日は僕たちがやってる練習を一通りやっていきましょう、それじゃあそこのラケットを一人一個持ってって」
「「「はーい」」」
そして言われた通り、かごに裸で入っているラケットを取りに行くが。
――汚い…――
ラバーはところどころ剥げており木は欠け滑り止めはもちろん機能しておらず。
――こんなんだったっけ?まぁいっか――
「はいじゃあラリーからやろっか」
一年は三人しかいないので、部長と一年、副部長と一年、さっき助けに来てくれた先輩と一年で打つことに。
「よろしくー」
「お、お願いします」
――竹先輩、うまいんだよなー――
そして始まるラリーだが、当たり前にどの一年も良くて4、5回のラリーしか続かず苦戦してるところだが恵たちのペアだけ一向に球が落ちることが無く、むしろラリーのスピードが上がり続けていた。
「すげぇーあいつ」
「恵君てやってたのかな?」
「なんだって俺に憧れてんだからな!」
――この子、本当にあいつに憧れてんのか?――
「君上手いね」
「あ、あざす」
――めっちゃ久しぶりだけどやっぱ体は覚えてんだなーー――
「もうちょっと強く打ってみようかな?」
「え?」
そういうとさっきまで一年が目で終えていた玉が強い破裂音と同時に見えなくなり、周囲を探している間に何故か恵が倒れていた。
「いってぇぇぇぇぇえ!」
「あ、ごめん」
台目掛けて打ったつもりの玉だったがどうやら玉に穴が開いていたらしく、狙いが外れて恵の頬に強打した。
「割れてるねーこれ」
「大丈夫?」
「ダ、ダイジョブっす」
頬を抑えながら立ち上がっていると突然体育館の扉が開く。
「お、顧問来た」
――!?――
脳内を駆け巡る以前の記憶。
【――田先生って――――だよな?】
【俺はみんなに―――――――】
――っ!頭がっ!――
緊張からなのか少し震えがし始める。
扉が徐々に開かれていき顧問の顔が見えてくる。
「――っ!?」
「紹介します、卓球部の顧問の柏木先生だ」
――だ、誰?――




