22.爆誕
母の看護師から「陣痛が来ました!」と連絡を受け急いでラーメンを流し込み、走って車に乗る。
ここから産婦人科までは20分くらいの近さだ。
「う、うま、生まれた!?」
「ままままだだだだだだっだだ」
「お、おとととううさんおちおちちち」
――そんなに慌てて事故ったら元も子もないぞ――
恵の心は妹がもうすぐ生まれるのに加えて父の比較的安全ではない運転でどうにかなっちゃいそうにいた。
そして産婦人科に到着した。
「はは、ははははは!」
「うま、いも、いもももおお」
「あ、吉田さんですね。もう出産は終わっててあらかた片付いたので赤ちゃんと会えますよ」
「あ、あか、え?」
「いもももも」
――え?今なんて?――
二人とも、看護師の行ったことが全く理解出来ず、もう一度繰り返し言うようお願いする。
「だから、娘さん生まれましたよ?」
「うまれ、た?」
「今さっき陣痛来てもう生まれた?」
「はい」
――――2人目ってスゲー――――
父と子が全く同じことを思った。
「吉田さん、入りますねー」
看護師に案内されるまま分娩室に入っていくとそこには横たわっている母の姿と、抱きしめられた妹の姿があった。
「あら、まだ帰って無かったの?」
「あ、あぁそれより」
「なんか、あっさりね」
笑いながら笑みを浮かべる母と父、が今の恵にはそれらは一切どうでもよくただただ12年ぶりに再会する妹に喜びを隠せずにいた。
だからついうっかりとしてしまったのだろう。
「しずく…」
「しずく?」
「あ」
――しまった!これじゃあアンジェリカコースに!――
「いいな、しずくか」
「いい名前ね」
――あれ?――
恵の考えすぎというのもあるだろうが、そんなことよりも片や出産で片や夜中までの運転で疲弊しきっており名前を決めないとというのが頭になかったからしずくですんなりと通ったのだろう。
「吉田しずく…いいわね」
「漢字も決めないとな」
「恵?しずくはどういう字で書くの?」
「それは―――――」
数か月後…
家内では。
「ちょっと恵ーミルクお願い!」
「ミルクって、ボトルどれ?」
「食器棚に名前が書いてあるのがあるでしょ?」
「んーっと」
吉田 静玖
「あった」




