18.新しいクラス
校舎の二階にある全三クラスが二組専用の教室で恵は今、二階に上がるための階段を全て登り切った。
「ばbっばばっばばばあああ」
「めぐみ大丈夫?」
「だdっだっだddd」
「大丈夫だね」
「!?」
前よりも辛辣になっている紫音に驚きつつも二年一組の教室の前まで来た。
「名前あるかなー?」
「紫音と一緒、紫音と一緒、紫音と一緒、紫音と一緒…」
「お母さんかな?」
そしていざ表を見る。
「や行、や行、や行…無い!」
「廊下近いから一組が良かったのにー」
「よし、よしっ!次!!!」
紫音と同じクラスになる確率が上がったから大喜びのまま次に向かう。
――にぶいちで外れる確率とか、余裕ーだっつうの――
「こちとら金木君に二万カツアゲされてるんだぞ?」
恵は初めてのパチンコで訳も分からず二万スッた経験あり。
「カネキクン?」
「二組二組ーっと」
表を満面の笑みで見る。
「どれどれー?」
松田 須美
柳木 紫音
渡辺 薫
「ッガ・・・・・・・・・・」
「ま、まぁ、うまくやれよ」
自分とは違うクラスに入っていく紫音の背中をただ茫然と眺め続ける。
――どれくらいの時間がたったのだろう――
――一か月?数年?分からない――
――俺の心はほうし
「恵君、教室に入りなさい?」
「あ、すみません」
恵が新しいクラスの、新しい椅子に着席したところで帰りの会が始まる。
「起立、きおつけー礼!」
「「「「「おねがいしまーす」」」」」
「はいお願いします、着席!」
ジャージ姿で背の高くがたいの良い男性教師が元気よく挨拶をし、軽く自己紹介をする。
「三組の新しい担任になりました小林です。」
――終わった、体育会系だ、絶対怖いというか――
当時小学校五年生だった恵。
【せんせい…】
【お、どうしたー?】
【体操着忘れちゃいました…】
【は?】
【体操着わ】
【いや聞こえてるよ、で?どうすんの?】
【友達に借ります…】
【いやいや、その子体育で使えなくなるじゃん、今日合同だって言ったよね?】
【はい…】
【いやだからどうすんのって聞いてんだよ!!!?】←持っていた書類を床にたたきつける。
以後、恵が忘れ物をすることが無くなった。
――こここここおわわわわわ――
「みんなの自己紹介は明日するから!今日は解散!」
――あばばばばbっばばっば――
「それじゃあ最後の号令だけーーーー吉田!頼む」
――あばばっばば――
「吉田ーーー?」
――こここkkっこ――
「吉田くーーん?」
「っは!」
「聞こえてるかなぁぁぁ?」
――この声の振るわせ方、バ先の店長が無能な新人に優しく接しようと頑張ってた時の震え方だ――
「はい!」
「うん!じゃあ号令お願いね?」
「きき、きりつ!れい!」
「「「「ありがとーございました!」」」」
「有難うございました!!!」




