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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第96話 激闘

「お待たせしました!! 続いて第二試合、本日最後の試合となります!!」

 ワーッと会場は盛り上がる。

「ジノ先輩! 隣良いですか?」

「刀刃! 早く座れ!」

 刀刃はなんとか間に合ってほっとする。

「騎士の入場です!! 魔法師団補佐! ディアス・ブルーグ様! 魔法師団補佐! ドレイク・ランドロック様です!!」

「ディアスー!! 負けるなよー!!」「嫁さんに良い所見せろよーー!!」「負けたら奢れよー!!」

 ディアス先輩が闘技場内へと姿を現す。

 会場は依然盛り上がっているが、ディアス先輩を知っている人は息をのんだ。

 纏っている空気がいつもと違う、おちゃらけた先輩ではなかった。

「ドレイク―!! 勝てよー!!」「レイ―!! 行け―!!」「ドレイク坊ちゃまーー!!」

 俺も闘技場内へと進む。

「「「せーの! レイ―! 頑張れー!!」」」

 ミュフィス、ライラ、メイルの声援へ手を振って答える。

 中央へと進みディアス先輩と対面する。

「覚えているか? 去年この場所で俺はお前に負けた」

「覚えていますよ。今年もあんたは俺に負ける」

「悔しすぎて、今日までまともに眠れなかったんだぜ?」

 知っている、ディアス先輩が毎朝フラフラしながら訓練に励んでいたことを。

「それは知りませんでしたよ。この一年、後ろを振り返る余裕は無かったんで」

「生意気さに拍車がかかってるな、今日で分からせてやるよ」

 ディアス先輩はクレイモアを肩に構えた、集中力が上がっているのが分かる。

 今日この日の為に仕上げてきたのだろう。

 それは俺も同じだ、決して油断できない相手だからこそ、準備を怠らなかった。

 目の前のディアス先輩に注意をめぐらす。

 会場の声が聞こえなくなる、俺は極限まで集中していた。 

「それではーー!! 試合!! 開始!!」


「戦神テュール様、私を勝利へ導いてください」

 テュール様への祈りを捧げる。

 メキメキと音を立てながら俺は巨大化していく。

 竜化、魔族ならではの時間制限のある進化を果たす。

「グルルルルルルルルッ!!」

「へえ、いきなり進化か、おもしれえ! 狂神ベルセルクよ! 俺に殺戮の許可を!」

 ディアス先輩も悪魔へと進化を果たす。

 クレイモアを握り締める音が聞こえてくるほど強大な力だ。

 俺は戦神の加護を使って雷の斧を生成する。

雷斧(らいふ)マーニバルディッシュ!」

「行くぜ、ドレイク!!」

 駆けだす力だけで地面を抉りながら、ディアス先輩が接近する。

「神竜の加護よ!!」

 雷斧に加護を付与して万全の状態で挑む。

 互いの間合いに入ったその瞬間、一切のためらいなく互いの武器が激突する。

 余波が観客席まで届くほどの轟音、互いに一歩も譲らない膠着状態へと入る。

「ガアアアアアアッ!!!」

「うおおおおおおお!!!」

 歯を食いしばり、目を開き、声を出して心を鼓舞する。

 持てる力のすべてをここに集約させた一撃。

 それはディアス先輩も同じだった。

「舐めるなよっ!! ドレイクーーー!!!」

 互いに武器を弾いて距離を取る。

(力は互角だ……!!)

 俺は駆けだした。

 武器を消して右爪を地面に引きずるくらい長く伸ばす。

「うおおおおおおっ!!」

 飛んで勢いをつけ、上空から爪を振り下ろす。

「ぐぅううっ!!」

 受けに回ったディアス先輩。

 竜の尾を突き刺し、ディアス先輩の手首に風穴を開ける。

「ッ!!!!」

 そして手首に尾を巻き付けて勢いよく引っ張り、回し蹴りを頭へとくらわす。

「グッ!!!」

 更に追い打ちで右爪を薙ぎ払い胴体を切り裂く!

「ガアアアアッ!!」

 宙で翼を羽ばたかせて勢いをつけ、腹部に強烈な蹴りを叩き込んだ。

「ゴフッッ!!!」

 ディアス先輩は闘技場の壁に叩きつけられて動かなくなった。

「……はっ! 勝者!! 魔法師団ドレイク・ランドロック!!!!」

 場が静まっていた。

 ディアス先輩は生きているのかという疑念だ。

「がはっ!! ごほっ!!」

「!!」

「まだだ……!! まだ俺は戦える!!」

 血まみれでボロボロのディアス先輩が立ちあがる。

「そこまでだ、ディアス」

 フラム副団長が止めに入った。

「グレース様……俺は、まだ……」

 そう言ってディアス先輩は倒れた。

「治療を急いで! エルダーポーションを!!」

 医療班が慌ただしく動く。

 俺は、竜化を解いた。

 思ったよりも体力を消耗していたのか、片膝をついて息を整える。

 勝った、勝ったがもっと競るかと思っていた。

 竜化を完全な状態に仕上げてこれたのが大きかったな……。

 短期決戦にディアス先輩が乗ってきたのも運が良かった。

 いや、多分付き合ってくれたんだろう。

 先輩はそういう所がある。

「よくやった、ディアス相手に完勝だ」

 後ろから歩いてきたフラム副団長に頭を撫でられ髪がグシャグシャにされる。

「ありがとうございます」

「観客が待っているぞ、お前からの勝利の報告を」

 周りを見渡すと観客はざわついていた。

 俺は立ち上がり拳を天へと突き上げる。

 するとパチパチと拍手が次第に起こり、歓声に包まれた。

 そこでやっと勝利の実感がわいてきた。

「レイ―!! おめでとう!!」「ドレイク坊ちゃまーー!!」「かっこよかったぜ!!」

 皆が勝利を祝福してくれている。

「皆……!!」

 大きく手を振って答える。

「これが勝利の光景だ、よく、目に焼き付けておけ」

「はい!」

 俺は満足いくまで観客に手を振って、最後に王族の方々へと一礼をして闘技場を後にした。

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