第92話 憩い
プールを遊びつくした俺達は家へと帰って来ていた。
庭にテーブルが置かれていて肉や野菜、酒が準備されている。
「今夜はバーベキューだー! やったーー!!」
ミュフィスが言った通り今夜は庭でバーベキューをする。
既に母さんとメイド達が準備を進めてくれていて、いつでも始めれる状態だ。
「レイ! ちょっと手伝え!!」
「はーい!」
俺は父さん達の準備を手伝いに行く。
「あ! 私ビール冷やしますよ!!」
ミュフィスが冷気で冷やし始める。
「助かる! いやー、夏はやっぱり冷えたビールだよな!!」
父さんは火の番をしているから汗をかいていて今すぐ飲みたそうだった。
そんなこんなで準備も終わって全員に飲み物が渡る。
「よっしゃ! 皆! グラスは持ったか?」
「「「はーい!」」」
「じゃあ、レイとマシュアの結婚を祝して! 乾杯だ!!」
「「「乾杯!!」」」
皆の乾杯の声でスタートを切る。
「美味い!!」
ビールを早速飲み干した父さんがもう一杯! と追加を注文する。
それを母さんに少しだけ注意される。
これが我が家の日常だ。
「メイル、肉は逃げないからゆっくり食えよ?」
「ガツガツガツ……!! モグモグモグ……!!」
うん、全然何て言っているか聞こえない。
そもそも聞こえていない、いや、聞いていないまである。
まあここにはライラもいるし喉に詰まったくらいじゃ大事にはならないが……。
「ドレイク様ー!! 焼きあがりましたよー!!」
メイド達が焼き立ての肉を振舞ってくれる。
「ありがとう、焼いてばかりいないで食べろよ?」
「はーい!!」
せっかく皆集まったんだ、全員が楽しまないと。
「それにしても娘が増えたから家が華やかになったな!」
父さんが嬉しそうに母さんと話している。
「そうね! 私は早く孫の顔が見たいわ!!」
「「ゴフッ!!!!」」
マシュアと俺が盛大にむせる。
「だな! まあ命は授かるものだからな……」
良かった……予定とか聞かれるかと思った。
てかそろそろマシュアとアイルースの結婚式の事、言った方が良いんじゃないか?
マシュアにアイコンタクトをする。
「レナイゼル様、エレナ様、報告が……」
「どうした?」
「実は……四日後に結婚式を挙げようかと思っています」
!!!!
「本当か!!」
「はい、サプライズでお呼びしたかったので黙っていました……」
「四日後……セイベル! 四日後の予定は確かなかったよな?」
「はい、結婚式をやると聞いていましたので空けております」
「良かった……エレナは知っていたか?」
「ええ、私はセイベルがこそこそしていたから聞いちゃいました」
「そうか……マシュア、アイルースもおめでとう!」
皆で拍手を贈った。
「ありがとうございます!」
「皆様……!! ありがとうございます!」
「そうか、マシュアの結婚式か……セイベル、本当に良い時代になったな……」
「ええ……!!」
その後も食事を楽しみ、暗くなってきたから女性陣は家へと戻っていった。
外にいるのは男達だ。
俺と父さんとマシュア、ジノの父であるハザックさん、後は何故かメイル。
「メイルちゃんは虫平気なのかい?」
「モグモグモグ、工房に蛾とかいっぱいいたんで平気っす!」
「蛾の話をしながらよく食が進むな……」
マシュアが呆れる。
「ジノは元気にやっていたか?」
「誰よりも元気ですよ、もう少しでLv.100になる所です」
「そうか……あのジノが……」
エストア酒をちびちび飲みながらハザックさんはジノの話をしだす。
「ジノはな、ドレイクの事を手紙でよく褒めていたぞ」
「……え?」
「ドレイクは頼りになる相棒から、魔法師団のフラム・グレース様の右腕になったってな」
「ジノ……」
「悔しいけど、何よりも誇らしいと。そんな友達を持てたことが一生の自慢だとな」
「俺もあいつには助けてもらってばかりですよ……ジノがいなきゃ今の俺は居なかった。マシュアとも出会えていなかった」
「儂もレナイゼルにはよく助けられた、戦場で何度も命を救ってもらったことがある」
「ハザック、よせよ。お前がいなきゃ死んでいたのは俺だ」
「そうか? すまんな、飲みすぎてしまったようだ……儂はもう家に帰るとする」
「泊ってけよ? エレナには言ってあるぜ?」
「いや、どうにも熱が冷めん、しばらく歩いて帰るとする。ではな」
最後に握手を交わして、ハザックさんは帰っていった。
「まったく、かっこつけなのは昔からだハザックは」
「大きい手だったよ」
「むにゅう……」
あ、メイルが寝落ちしている。
「……幸せそうだな。遅くまで付き合ってくれてありがとな?」
「良いって、俺はこの後マシュアと朝まで飲むぜ?」
「若いなー、若い! 羨ましい!!」
「そうだ! 明日はジノとバアルを誘って飲みに行かないか?」
「それもいいな、なんだかんだ四人で会うのは久しぶりだからな」
「はー……、飲みに行くのはいいけど、歓楽街で羽目外しすぎるなよ??」
「それは大丈夫だろ、なあ? マシュア?」
「誓って大丈夫だな」
「俺は昔やらかして、エレナに朝まで怒られたことが……」
そこからは他愛もない話をして解散した。
メイルはリビングに母さんとアイルースさんが起きていたから預けて来た。
そして俺は朝までマシュアとテラスで語りながら、夜を過ごした。




